限界集落から全国へ情報発信

2013/03/13

「限界集落で引きこもり農業をしています」

 

夫・靖一さんの自己紹介は、この一言で始まる。

 

 

限界集落・畑山で明るい未来を描きながら

人手不足で、あくせくと

時間に追われるような日々を過ごしているのは

確かなことだけれど

時折、我が家の土佐ジローや、暮らし振りを聴きたい

と呼ばれて出かけたり、

畑山へ視察に来てもらうことがある。

 

この1ヶ月は、比較的そんな嬉しいお話が多く

愛媛県宇和島市や、鹿児島県南種子町、東京へ出かけ

東京や愛媛県内子町から視察に来られたりしていた。

 

私が故郷の段々畑の保存活動をしていたこと

命の根幹である「食」を生み出す「職」がある農山漁村の強み

土佐ジローの飼育・販売方法

畑山温泉でのお客さんとの交流

 

時には20分、時には1時間

時には数時間にわたって話をしたり、交流をしたり。

人口の少ない畑山で飽きずに暮らせるのは

こうした出会いのお陰も多分にあるかも知れない。

 

去年の11月、東京へ出張に出かけた。

知り合いが連れて行ってくれた

イタリアーノレストラン「スクニッツォ」の

料理とワインが、とっても美味しかった。

それだけでなく、

食材を提供している生産者の様子を伝えるチラシが

店内に貼ってあるのも印象的だった。

 

もしかしたら、普通の鶏肉と違う

我が家の土佐ジローもこのシェフなら

美味しく料理してくれるかも知れない。

そんな直感を信じ、美味しいワインのチカラにも助けられ

シェフを呼んでもらってアタック。

 

若くて気さくな近谷シェフは迷惑顔もせず

「帰ったら送ってください。もちろん有料で」

と快諾してくれ、ジローを送ることに。

 

数日後、「美味しかった」と電話をもらい

続いての注文ももらった。

 

1月には近谷シェフがスクニッツォの田中社長と畑山へ。

鶏舎や加工場を見学してもらい

畑山温泉で提供している土佐ジローコースを味わってもらった。

 

時折、フェイスブックで見かける

スクニッツォでの生産者の会。

 

食材を提供している生産者が

近谷シェフの料理を前に

食材や生産地の話をしながら

お店のお客さんと交流をするというもの。

 

土佐ジローでもやってもらいたいなぁ…

という私の思いと

土佐ジローでもやりたいなぁ…

という近谷さんの思いが重なり

3月に企画してもらうことに。

 

引きこもり農業をしている靖一さんは

飛行機も、新幹線も、電車も乗らない人。

1歳の尚太郎と、もう一人の子どもを連れたような形で

東京へ出かけることに決めた。

 

 

生産者さんの会「土佐ジローの会」

 

企画は、受け付けスタートから約1週間で

35席が埋まったという人気っぷり。

わくわくしながら会場入り。

 

 

近谷シェフが登場し、

いよいよ幕開け。

近谷シェフが登場

 

まず1品目。

レバームースとコンソメスープ。

 

土佐ジローレバームースとコンソメスープ

 

土佐ジローのレバーはクセがないのが特徴だけれど

このムースは、ジロー!を主張してる逸品。

 

続いて肝のカルパッチョ。

肝のカルパッチョ

 

お刺身のようだけれど

きちんとイタリアンに仕上がってる。

 

近谷さんは、我が家のユズも気にいってくれて

ユズドレッシングも作ってくれている。

そのドレッシングをかけた一品がこちら。

 

土佐ジローの胸肉、山独活、うるいが サラダのようになっている

 

土佐ジローの胸肉、ヤマウド、ウルイ(いずれも山菜)が

サラダのようになっている。

 

 

 

時折、靖一さんはマイクジャックして

土佐ジローについて、畑山について

語り始める。

靖一さん

 

土佐ジローの卵だけを使ったカルボナーラ

 

 

土佐ジローの卵だけを使ったカルボナーラ。

この下には、オランダ産ホワイトアスパラガスが隠れてた。

 

 

 

土佐ジローモモ肉のインボルティーニ

 

次は土佐ジローモモ肉のインボルティーニ

ハツで作ったボロネーゼとふきのとうのリゾット

砂肝のコンフィと手羽のフリット

 

 

最後に…

土佐ジロー卵のバニラアイス

イチゴとフルーツトマトのバルサミコマリナータ

 

 

脱帽!!

土佐ジローが我が家で食べるよりも

はるかに美味しく料理されていた。

初めて食べるお客さんも

土佐ジローの美味しさに笑顔がこぼれ

感謝の声を届けてくれ、

畑山来訪の約束を結んでくれた。

 

とても高揚した夜を過ごし

興奮もさめない内に帰高した。

 

 

その週末は、愛媛県内子町から視察研修に

石畳自治会さんが畑山へやって来た。

 

石畳自治会さん視察研修に

 

石畳は私が学生時代に

「村並み保存」の勉強をさせてもらったところ。

 

なにもないけれど

農村文化が色濃く、農村景観がとても美しい。

農家民宿「石畳の宿」が国内外のファンを魅了し

移住者もちらほら、と。

 

 

石畳の景観や、人に魅せられて

随分通わせてもらって

むらの皆に可愛がってもらった。

それにも関わらず

故郷の遊子でもなく、石畳でもなく

私が選んだ畑山に皆、興味津々。

 

個別に訪ねて来てくれる人もいるけれど

今回は、自治会の研修先に選んでくれた。

 

人口が300人以上いる石畳は

畑山に比べれば恵まれている方。

けれど、10年先を考えると

危機的情況には変わりなく

人口面では先を行く畑山へ来ることになったそう。

 

靖一さんと二人で、

畑山の話をさせてもらって

畑山を案内して数時間。

それぞれの集落の課題や

今後の展望、未来のあり方について

お互いが議論をし合った充実した時間になった。

 

石畳自治会さんと記念撮影

 

限界集落だから、といって

何もしないで消滅するのを

ただ待つのでなく

都会の人にも、畑山と同じような集落の人にも

情報を発信しながら、

畑山ファンを増やしていきたい。

 

そんな小さな積み重ねが

いつか実を結ぶと信じて

今月も変わらずドタバタと慌ただしい日々を過ごしている。

 

 

 

 

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