『乗車券』をもらって国境の島へ。夢が叶う場所は東京ではなかった。

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執筆者 吉野由起子
所 属一般社団法人MIT

2014/06/18

 

 初めまして。一般社団法人MITの松野由起子と申します。私は日本最北西端の地、対馬で「島デザイナー・画家」として活動しています。

 

 東京下町生まれ育ちの江戸っ子です。総務省の地域おこし協力隊(対馬市 島おこし協働隊)の島デザイナーとして2011年から3年間、対馬に移り住み、活動してまいりました。任期終了後、「今ここに自分の生きる道がある」と感じ、仲間と立ち上げた一般社団法人MITの社員として、対馬生活第2弾が始まったところです。

 

 今の私を支えているのは愛すべき同志たち!! 我らがお父さん的存在 一般社団法人MIT代表 細井 尉佐義と、島おこし協働隊で同期の専務理事 川口幹子が担当した記事です。どうぞごらんください。

 4月:細井 尉佐義 https://inaka-pipe.net/20140424/

 5月:川口 幹子 https://inaka-pipe.net/20140527/

 

 MITメンバー 対馬

 

 

<動物画家になるという夢と挫折の連続だった東京時代>

 

 「画家」として生きていきたい。それが小さい頃からの私の夢でした。しかし現実は、美大を出ても東京で画家として飯が食えるようになるなんて夢のまた夢です。大学生の頃はバイトが忙しすぎて作品に打ち込めず、大学を卒業しても何を描いていけばいいのかわからないスランプ状態で、日々悶々としておりました。

 

高校生の時のデッサン

高校生の頃描いた美大受験のためのデッサン

 

 家から近いから、という理由で勤務していた上野動物園での仕事が最初の転機。毎日見かける動物たち。偶然触れ合う機会があったり、アシカの出産シーンに立ち会えたり、動物たちが普段見せない生き生きとしたシーンを目の当たりにしていく中で、「動物を描く画家になりたい」と思うようになってきました。その頃、園内に迷い込んだ子猫を飼うことになり、愛猫のグッズを作りたい動機で「消しゴムはんこ」作りに没頭していました。猫のはんこが作れたなら動物のはんこも作れるかもしれない。いつのまにか動物のはんこを作ることに夢中になり、たくさん作品が生まれました。

 

stampzoo

STAMP ZOO 松野由起子動物はんこ

 

上野動物園

上野動物園スタンプラリーはんこ

 

 「松野さんの動物はんこは上野動物園で披露すべき!」と言ってくれた友達の勧めで、園の普及課にプレゼンをする機会が来ました。プレゼンは見事通り、その後3年ほど園内のスタンプラリーや消しゴムはんこ教室、夏のイベント、展示、ポストカード販売、パンダの貯金オブジェのデザインなどの活動をすることができました。こういう仕事こそやりたかった事!と思いましたが、それで飯を食えるほど甘くはなく、仕事と制作の両立の難しさにただただ立ち止まる日々が続きました。

 

 

<対馬からの『乗車券』>

 

 東京吉祥寺・井の頭自然文化園にツシマヤマネコがおり、【ツシマヤマネコ祭り】が開催されることがあります。対馬で活動する団体から頂いたツシマヤマネコの消しゴムはんこのオーダーきっかけでイベント会場に行く事ができました。会場には島おこし協働隊のマネージャーであったM氏や、対馬市役所の方、ヤマネコセンターの方など対馬の関係者がどっと集まっておりました。

 

ツシマヤマネコ消しゴムはんこ

人生初オーダーのツシマヤマネコ消しゴムはんこ

 

 会場で、ツシマヤマネコのはんこを捺したポストカードを販売しました。売り上げの一部はツシマヤマネコ保護の基金へと寄付されます。自分の作品が、モチーフとなったツシマヤマネコへと還っていく。そのような経験は初めてで、描いた動物のためになるような活動をしたい、そう思うようになりました。

 

 動物園でのイベントを通して面識のあったマネージャーから、島おこし協働隊 島デザイナー募集のメールをもらったのはそれからしばらくした頃でした。

 

「対馬に住んで 対馬のいいところを発見し、発信してくれませんか?」

 

佐護(佐護ツシマヤマネコ米の認定田) 

佐護(佐護ツシマヤマネコ米の認定田)

 

佐護、井口浜

佐護、井口浜

 

 対馬 赤島(有人島)の海

赤島(有人島)の海

 

 東京で暮らしながら自然を描くというのは容易なことではありません。土の感触、風のにおい、動物がくらす環境を目で見て感じとった上で描くということ。これが出来なければ、動物画家と言えないのではないかと思ったタイミングで対馬行きの乗車券をもらってしまった今、乗るしかない!と直感して応募。合格を機に対馬へ移住しました。

 

 

<対馬市 島おこし協働隊・島デザイナーとして活動した3年間>

 

 2011年4月から2014年2月まで約3年間、対馬市 島おこし協働隊・島デザイナーとして活動をさせていただきました。

 米袋からキャラクターデザイン、ゆるキャラ着ぐるみ制作、グッズ制作、公用車・バスのラッピング、そして対馬の記念切手。個人では依頼されることがないような、ありとあらゆるジャンルのものを作らせていただいた経験は、私自身の成長にもなり大変感謝しているところです。

 

 対馬 島おこし協働隊時代

対馬市 島おこし協働隊 島デザイナー時代にデザインしたものたち

 

 東京からきたよそ者を快く受け入れてくださり、孤立することもなく、対馬ライフが充実しているのは、この島の人のあったかさであると思います。

 

 

<一般社団法人MIT 島デザイナーとして画家として>

 

 2014年3月に一般社団法人MITに入社いたしました。川口と島おこし協働隊時代に「こういう会社があったらいいよね!」と語っていたものが少しずつ実現しています。

 

 にがおえはんこ 対馬 長崎

 

松野由起子が担当する業務

・ ものづくりLabo.…市民が集う「Labo=工房」。目で見て感じたアイディアをカタチにします。(加工と商品開発、ものづくり、デザイン業務)

・ MITオリジナル商品デザイン制作

・ 消しゴムはんこ販売(STAMP ZOO動物はんこ・にがおえはんこなど)

・ 消しゴムはんこワークショップ、イベント講師

・ オリジナル大漁旗、応援旗制作

 

 島おこし協働隊時代に大変好評を頂いた、クールビズポロシャツを、今後、一般社団法人MITにて販売を続けさせていただけることになりました!MITオリジナルTシャツも近日発売予定です。今後は通販サイトにて販売を継続していきます。

 

 

対馬 ポロシャツ

 

対馬 ポロシャツ 

 ポロシャツ

 

対馬 Tシャツ

MITオリジナルT

 

 

<この道は未来へと続いている>

 

 島おこし協働隊の任期が終わっても、東京に帰りたいとは全く思いませんでした。ふらりとやってきた対馬への道。運命は決まっているので何も考えず乗り込む。そうしたら画家になりたいという夢が叶ったのです。田舎には夢もなにもない?と嘆く声もあるけれど、田舎だからこそ夢は叶うのかもしれないなと思います。

 

 この道はどこにつながっているのだろう?次はどこへ向かう乗車券をもらうだろう?分からないけれど迷いもなくさっと乗り込むことでしょう。目指す世界を共に歩めるなら、今まで絶対ないとおもっていた結婚もしちゃうかも。(笑)

 未来を待ち望み、日々のくらしに感謝してまだしばらくはこの島で生きていきたいと思います。

 

松野由起子

 

 

 

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