草木をまとって山のかみさま

2015/06/29

 

 私が暮らす西会津町は、古くから会津の霊地・信仰の里として知られ、山の神を祀る「大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)」があります。「一生に一度の願いは3年続けてお詣りすれば、なじょな(どんな)願いも聞きなさる野沢の山の神様」として、県内はもちろん新潟や山形一円から厚い信仰が寄せられている大山祇神社。毎年、6月に「大山まつり」が開催され、多くの参拝客が訪れています。

 ここを舞台にして昨年6月、「森のはこ舟アートプロジェクト2014」のプログラムの一環で「草木(くさき)をまとって山のかみさま」を開催しました。

 

草木をまとって山のかみさま

 

 草木をまとって山のかみさま

 

 福島県は、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故により、大きく傷つけられました。 福島再生のために、美しい自然と人々が愛しみ育ててきた豊かな森林文化をテーマとした新たなアートプロジェクトを展開し、未来へ希望を発信するとともに未来に向かう福島のイメージの創造を目指すプロジェクトが「森のはこ舟アートプロジェクト」です。

 

森のはこ舟アートプロジェクトHP】 【森のはこ舟アートプロジェクトFB

 

 「草木をまとって山のかみさま」は、西会津町の中で摘んだ「草」「花「木」「葉」をまとい、山のかみさまになりきって、その姿を大山祇神社の神楽殿でお披露目するというアートプログラムです。

 昨年は、華道家でありアーティストの片桐功敦氏による指導を受け、私たちスタッフはその素晴らしい魅力とおもしろさにはまり、今年度は、6月13日(土)に「森のはこ舟アートプロジェクト2015パートナーシッププログラム」として開催に至りました。

 

 実はこの「草木をまとって山のかみさま」は、私自身が西会津町に来て間もない頃に、はじめて運営に関わったプロジェクトであり、とても思い入れのあるイベント。もともと祖父母が、お花屋さんをしていたので幼い頃から私もお花がだいすきで、社会人になり華道を習っていたこともあったこともあり、このプロジェクトにすっかり魅了されはまってしまいました。

 私が暮らす町の中にはお花屋さんはありません。移住してきて、お花屋さんが無いことを残念に思っていたのですが、このプロジェクトを通して、野花や草、葉、自然の美しさや魅力を知り、お花屋さんが無くても季節の花を楽しむ暮らしを送ることができることに気が付きました。

 とっても魅力的なこのイベントをご紹介させていただきます!

 

 

草木摘み

 

まずは参加者自身が、はさみを片手にバケツを持って自分でまとう草木を摘み取りに行きます。ただ摘むのではなく、葉の色や形を観察しながらひとつひとつをよく見ると「この形はおもしろい!」「かわいい!」とか。

 

草木選び

 

自分がまとう草木を選び葉っぱを見る感覚が変わってくるんです。色も濃い、薄いなど種類によって全く違う見え方をするから不思議!その違いに気づくことができたのはこのプログラムに携わったことがきっかけです。

 

葉っぱのバランス

摘んだ草木をまとうために、園芸用の金網を頭に乗せてそこに草木を活けていきます。

 

 葉っぱの色や形、まとう人のイメージとバランスをみながらどんどん活けていく。活けてもらう人は、なんとも言えない不思議な気分になっていきます。

 だんだんと頭の上がずっしりと重くなり、水切りしている草花も時間が経つとしおれてきてしまいます。自然の儚さを体感しながらも、その美しさを感じる。お花屋さんで買ってきたお花を活ける行為とは異なり、草花の変化を感じながら活けていくことはとてもおもしろいです。

 

山のかみさま

 

草木をまとった人は、カメラマンによるポートレート撮影。カメラマンがイメージに合わせた動きや表情を指示しながら、みなさん「山のかみさま」になりきった雰囲気を出しきって撮影してい」る姿は迫力があります!

 

山のかみさま

 

山のかみさま

 

 写真を撮り終えた参加者は、大山祇神社まで行列行進していきます。

 大山祇神社の参拝客が沿道でカメラを構えていたり、驚きの表情を浮かべたりと様々な反応。遠方からの参拝客らは、「毎年やっているお祭りなんですか?」と質問されたり。西会津町の新しい行事の一つになりつつあります(笑)

 このイベントに大山祇神社周辺の自治区の方々も携わるイベントにしていきたいなと考えています。昨年・今年と2年連続で自治区長さんは、イベントに協力してくださっています。昨年は、草木を実際にまとって参加者として・・

 

自治区長さん

 

今年は、なんと「俺も今年は活けるぞ!」とおっしゃられ、運営スタッフとして協力してくださったのです!!

 

自治区長さん

 

 我々、若者の活動に地元の方が理解を示し、協力してくださる。西会津町の人々の温かさを感じる瞬間でもあります。摘んだ草木、花はイベント終了後に、西会津町で唯一存在する「草木塔(そうもくとう)」に弔いを行いました。

 

草木塔

 

草木塔

 

 草木塔は、自然の草木の命を大切に想い、その命の供養する碑や塔のことを言います。西会津町の草木塔は片岡さんとおっしゃる方が、ご自身で建てた草木塔であり片岡さんは自然に感謝をしながら暮らしています。

 西会津町は全体の約80%は森林であり、私たちは森に囲まれ暮らしており、「草木をまとって山のかみさま」というイベントを通じて、森の一部に触れて恵みを感じることで自然についても考えるきっかけとなりました。

 

草木をまとって山のかみさま

 

来年もまた開催したいと考えておりますので、ご興味ある方はぜひご参加をお待ちしております。

 

草木をまとって山のかみさま

 

草木をまとって山のかみさま

 

記事の感想送ると100ポイント進呈!
ポイント貯めてプレゼントGETしよう

いなかマガジンを読んだら「いなかパイプアプリ」へ感想をぜひお送りください。
アプリを下記からダウンロード→「お問い合わせ」へ感想を送信でOK!
ポイントを集めるとプレゼントがもらえます!

FacebookTwitterLine