ともに歩む 村が元気であり続けるように

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執筆者 上田知子
所 属ハンター民宿 BA-BAR

2016/05/23

 

地域へ移住、ハンターチーム結成!

 

 鳥取県鳥取市河原町弓河内。私、梅野知子は、2011年にこの村に移住し、私は借りた空き家でハンター民宿BA-BARを開業した。獣肉料理体験を中心に、狩猟や田舎暮らしに触れる場を提供し、獣害対策×憩いの場づくりをコンセプトに民泊受入を行っている。

 決して私1人でできるはずがない、少しずつではあるが細長く続けることができている。それは、地域の人による多大なる支えが大きいのは言うまでもない。獣害対策を楽しくやりたくてこの事業を始めたが、自分よがりにならず地域にとってプラスになるように取り組もうと当初より思っていた。だが、最初は何が地域とって本当にプラスになるのかイマイチつかめておらず、自分よがりになってしまっていないかのジレンマもあった。とにかく動きながら考えるしかないと、猪突猛進で進んでいた。

 

弓河内集落

弓河内集落の風景

 

 

 そのような中で、笑顔で元気に挨拶をするなど、とってもシンプルなことから少しずつ住人とのコミュニケーションを積み重ねていった。そして、弓河内の住人で、ずっと前から趣味で狩猟を続けて磨かれた技術をもった方、地域の課題解決に貢献するために狩猟者になった方、獣害対策をとにかく楽しく取り組みたい私の3人で、約4年前にハンターチームを結成した。その名も「三矢弓援隊(みつやきゅうえんたい)」。

★弓河内の山野を守りたい!

★弓河内の「風景」「人間性」「調和性」といった、3つのよいところを大切にしたい!

それをコンセプトに活動中である。

 

三矢弓援隊(みつやきゅうえんたい)

三矢弓援隊(みつやきゅうえんたい)

 

 

地域の想いからの広がり

 

 私がハンター民宿BA-BARをはじめた当初、地域で獲れた猪・鹿肉を使わせていただき、民泊受入を通して外部にそれを発信することが主であったが、3人でお酒をかわしながら美味しい獣肉にありつきながらの会話をする中で、「獲れた肉をもっと村の中で還元していこうではないか!」という意見が合致した。そこで、3年前の春から、獣肉を使って村の中での交流会(以下、獣肉交流会@弓河内)を三矢弓援隊で企画・開催するようになった。30世帯前後の村で、10代~60・70代まで幅広い年齢層の方が20名前後集まってくださっている。

 

獣肉交流会@弓河内

獣肉交流会@弓河内

 

 

 獣肉交流会@弓河内を開催するにつれ、獣肉への関心が村中に少しずつ広まっていく。会の中での会話でも、次はこうしたら面白いのではないか等、どんどん広がっていく。「これから20~30年後、その後もずっとこの村が元気であり続ける村であってほしい。」という村への熱い想いを込めた言葉が飛び交う。地域のよいところをもっともっとたくさん発信していこうと意見が合致する。それに向けてよりよいものをつくる1歩として、獣肉料理のレパートリーをもっと増やしていこうという方向に。

 そこで、昨年度の冬より、村の女性の方々の力をお借りすることに。家庭で気軽につくれる、優しい味の獣肉料理が増えていく。鹿肉大和煮、鹿肉ロースト、猪肉お好み焼き、猪肉ミルフィーユ鍋、猪鹿ハンバーグ、猪肉コロッケ等々。田舎ではよく、知り合いの猟師さんから猪・鹿肉をいただくがどうしたらよいかわからずブロックのまま冷凍庫に眠っている家庭も多い。そのような肉が冷凍庫から目覚める可能性にもつながる。

 これらを民泊の体験メニューに取り入れることで発信につながる。この村に民泊軒数が増えたとして、受入の際は、夕方・朝ともに料理体験は村の集会所にてみんなでする形にして、家には宿泊のみという形にすれば民泊受入をする方も無理なく取り組めるよね、というお話で盛り上がる。

 このように、住人同士で想いや案を語り合うことと、何かやってみることを繰り返すことで取り組みが具体化されていく。

 

獣肉レシピを検討

村の女性の方々の協力を得て獣肉レシピを検討

 

 

そしてやってきた 今年の春の山菜・獣肉交流会

 

 平成28年、今年も春がやってきた!中山間地域は、山菜がたくさん出てくる季節。私は、6年前より鳥取に来て、農村に触れて山菜料理がとっても大好きになった。新緑もとても綺麗で青空も心地よい。この時期の鳥取は、個人的に一番好きであり、ワクワクする。

 この時期の獣肉交流会@弓河内では、弓河内の住人で山菜採集に積極的な方のご協力により、獣肉料理+豊富な山菜料理を楽しむことができるようになった。昨年までは、獣肉交流会@弓河内では、大勢向けのシンプルなものを主に作っていたが、村の女性の方々のご協力により、今年は一味違う。

 準備の際には、それぞれの得意技やこだわりを大切に役割分担し、味見をしながら、「美味しい!」と言い合いながらワイワイ楽しめる雰囲気。今年は私の息子も準備も合間に可愛がっていただいたり。

 

山菜・獣肉交流会

 

交流会

 

てんぷら

 

梅野知子

20名前後の参加者も大満足。

 

 

ともに歩む これからも

 

 さて、ただいま育児のためハンター民宿BA-BARは休業中だが(今年7月より再開予定)、再開時には、弓河内の人と資源をより発信していける形にする予定だ。とにかく動きながら考えるスタンスは移住時と同じだが、私自身が地域の中でどのような立ち位置であるかをより具体的にイメージできるようになった今は、最初とは明らかに違う。私自身は、狩猟の腕も料理の腕も、自他ともに認める未熟さである。だが、積極的に外部に発信したり、やってきたことを文章などの形にコンスタントに残したりすることはできる。

 それぞれの得意分野を活かしてともに歩む。ずっと元気な村であり続けてほしい、楽しくやれる雰囲気を大切にしたい。その想いを共有し合い、大きなことをしなくてもひとつずつ続けていく。それが、元気な村であり続けるための何よりのエッセンスだと思う今日このごろである。

 

 

 

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