きらめ樹で、山を強く美しく、まちを元気に。

2016/06/30

 

 こんにちは!広島市・上多田集楽のトん佐藤です。

 春になり忙しい日々を過ごしていましたが、田植えと野菜の植え付け、そしてほんもろこの孵化作業がほぼ終了し、ようやく一段落した今日この頃です。昼間はかなり暑い日もでてきましたが、標高が500メートルあるので、朝晩はまだ寒い日々。でも、町内ではホタルの便りも聞こえてきて、この集落での飛翔が今から楽しみです。

 さて、初回にも少しお伝えしましたが、この集落はもともとは林業のまち。林業で栄え、多い時には人口が1000人を超えていました(今は100人切っていますが…)。そのため、杉や檜が所狭しと植林されているわけですが、今となっては林業に関わる人も集落では僅かになってしまい、山は荒れ果ててしまっています。。それが要因となり、冬には雪の重みで倒木が相次いだり、鳥獣の問題、そして土砂災害の危険性。川も大きく姿を変え、魚が減ったり、水量の増減が激しい川になってしまっています。

 

 水量の増減が激しい川

写真はイメージです

 

 

 という僕も、この集落に移住してくるまでは、山のことをほとんど知りませんでした。ここに住みだして、初めて自分事になり、色々と勉強したり、技術的な研修に通ったりもし始めました。でも色々と知り、山を見る視点が変わってくると、逆に様々な可能性が見え出しました。むしろ、日本の山は可能性だらけ!今日は、そんな一つの事例をご紹介したいと思います!

 

 ご存知の方も多いかもしれませんが、僕が今注目し、実際に取り組んでいるのが、通称「きらめ樹間伐」という手法です。これは、樹の皮を下から上へ剥いていき、立ち枯れさせ、山に光を呼びこむと共に、木材としてもしっかり活用していこう、という方法です。

 最大の魅力は、誰でも安全に、しかも楽しみながら山に関われる!という点。今まではどちらかというと、山は危険で、林業は専門家しか関われないというイメージ。でも、日本の山を再生させていくには、いかに今まで山に林業に関心がなかった人に、山に興味を持ってもらうかがとても重要だと思っています。

 やはり体験して自分事にならない限り、物事は動いていかないですからね。そういう意味で、このきらめ樹間伐は大きな可能性をもっているなと思います(具体的なやり方は、後半でお伝えします!)。

 

きらめ樹間伐

 

 しかもこのきらめ樹間伐は、山を再生させるだけではなくて、人の再生にも大きな可能性があるのではないかと思います。人の再生というと少し聞こえが変ですが、今はストレス社会。企業にとっては社員の精神的ストレスによる休職は大きな課題になっています。

 最近では森林セラピーなど、自然の力を活用して、ストレスにアプローチしていこうという取り組みも始まっていますが、このきらめ樹間伐は、間伐を体験することで、山も蘇るし、社員も蘇るし、そこに人の流れが生まれることで、地域も元気になってしまう。そんな面白い循環を生むことができるのではないかと考えています。

 

 もちろん木材としての可能性も大いに秘めています。立ち枯れさせることで(ポイントは地面から4~5メートルほど樹皮を剥いているということ)、虫食いのない、天然乾燥の木材を得ることができます。木を乾燥させてから切り出すので、切り出すときには生木に比べて重さは3分の1。2メートルくらいに切れば、女性でも方に担いで運び出すことができます。乾燥に必要な機械もスペースも必要ないので、必要最低限の設備投資で、林業の6次産業化の基盤を整えることが可能なのです。

 

女性でも方に担いで運び出す

 

 もちろん課題がないわけではありません。体験となると多少山を選ぶ必要がありますし、ひび割れを極力避けようとするならば、一定の期間で伐採の必要もあります。ただ、それを上回る、楽しい体験という魅力が、このきらめ樹間伐にはあると思います。

 ちょっとここまで長い説明になってしまったので、実際にどんなやり方なのか、ご紹介したいと思います!

 

 

具体的なやり方

 

 まず、どの木を間伐するのか、選別の作業をしていきます。今回は詳細は省きますが、山主さんに説明するための、重要な作業となります。そして、山の神様に祈りを捧げた後、いよいよきらめ樹を行っていきます。

 まずは鎌で少しだけ樹皮に切り込みを入れたあと、竹べらを使って樹皮を剥いでいきます。

 

樹皮を剥ぐ

 

これを一周させます。

 

樹皮をはいで一周させる

 

続いて、樹皮の端をみんなで持ちます。

 

樹皮の端をみんなで持つ

 

そして、勢い良く、上へ向かって樹皮を剥きあげます。合言葉は「Let’s きらめ樹~~」。

 

Let’s きらめ樹

 

剥いたあとは、こんなに美しく、瑞々しいです。ヒノキは場合は樹液が甘い!

 

 ヒノキは樹液が甘い

 

 美しく、瑞々しい

 

あ、大崎上島の松本くん!

 

 大崎上島の松本くん!

 

参加者のみなさんからは、こんな感想が。

 

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◇20代男性

 私自身、実家で林業から木材製造業までを行っておりますが、過疎化が進み林業従事者も高齢化し、今や山は荒れ大雨が降ると土砂災害が起こるなど極めて危険な状態にあります。林業は最小でも4、5人はいないと計画、伐採、搬出などできないと考えておりましたが、今回の手法なら、もっと少人数でも可能です。

 特に田舎暮らしへの気風が若い世代で高まっている中、自伐型の少数で行う山林管理と持続可能な森林経営ができるのならば、ある程度の収入も、社会的にも貢献でき、非常に過疎地域にも大きな未来と魅力を感じることができ、若者の移住者が多くなっていくのではないかと期待しています。

 

◇30代女性

 今回初めて体験したんですが、一皮ペロッとむけるんですよ檜さん。木肌がとっても美しかった。こうしてむいた木は立ち枯れするので乾かす場所を取ることなく材木にできる。この皮剥き作業がなんとも楽しいのです。こんなにペロリといくなんて!?

 カサブタとかシールとか剥がすの好きな人にはもうたまらんのではないかな。そうやって楽しく山の手入れをしていってそれが地域の為になっていくならば続けたらナイスだなぁと思いました。そーゆーこと、これから大事だなと思ってます。

 いい経験をありがとー!!

――――――――

 

 毎回やるたびに、僕自信も本当に楽しんでいます!

 

 楽しくて、山も蘇り、参加者もリフレッシュできる、きらめ樹間伐。僕はこれに色々な可能性を見出しています。全国でも広まりを見せつつあり、全国で連携しながら、日本の山が蘇っていく、一助になれたらいいなと思っています。

 まだまだ材の活用など、やらねばならないことはたくさんありますが、地道にやっていこうと思います!8月にはまた体験会やりますので、よかったら遊びに来てみませんか??

 

 

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