いなかパイプ 「いなか」と「とかい」のパイプWEB

井仁棚田体験会が終わって

2016/07/13


 

 安芸太田町地域おこし協力隊のトーマスこと友松裕希と申します。梅雨に入って、稲がすくすく育っております。

 井仁の棚田では、年に二回、春の田植え体験会と秋の稲刈り体験会があります。今年も6月5日に田植え体験会が開催されました。その前日の準備と開催当日について振り返らせていただきたいと思います。

 棚田体験会は、平成11年に「日本の棚田百選」に選ばれたのをきっかけに地域の行事として始まりました。はじめのころは、「棚田まつり」という名称で、地域の人たちが集い田植えをする「地域のための」行事でしたが、近年は「都市住民との交流」が主となり、「井仁棚田体験会」と名称が変わりました。

 

田植え

 

 春の田植え体験会は、その年の最後の田植えに行われ、広島市などの近隣市町村の一般の方(大人も子供も)が、100名ほど参加します。参加者はピークの時期と比べると減ってはいますが、最近はリピーターと新規の参加者の入れ替わりで、安定しています。

 しかし、集落の人口減少や高齢化によって、地域住民の参加者が少なくなり、体験会の内容も簡素化されてきています。地域の方の中には、マンネリ化しているので、何か新しいことをしたほうが良いのではないかとの意見が出ており、今後の課題となっています。

 

 

6月4日(土)体験会前日

 

 前日の準備は、主に当日にふるまう昼食の準備です。体験会では、井仁の棚田の野菜や山菜を使った料理を作ります。今年は、井仁伝統料理である「一合寿司」を作ることになりました。昨年、料理を作るリーダーのおあばちゃんが入院していたので、弁当となりましたが、今年はリーダーの一声で手作り料理が復活したのでした。

 「一合寿司」とは、木製の枠に酢飯と煮た山菜や野菜いれて、押し寿司にした伝統料理です。ちょうど木枠に入るご飯の量が一合であることから、「一合寿司」となったようです。

 

一合寿司

 

 当日の昼食に間に合わせるために、一合寿司の具材を切ったり、山菜の煮物を作る下準備のために、地域のおばあちゃん達が集まりました。

  今回は、井仁の棚田のPRのために、映像作家に依頼し、体験会の様子を撮影してもらうことにしました。撮影のカメラが入ることを知って、恥ずかしがったり、「綺麗な恰好しとけばよかったー」と言ってましたが、そのうち、いつも通り、世間話をしながら淡々と準備をしていました。おばあちゃんたちの世間話は地域の情報がよくわかるし、聞いているだけでも面白いんですよねー。わきあいあいとしながら、この日の準備は終わりました。

 

一合寿司 撮影

 

6月5日(日)体験会当日

 

 当日は、予報は雨のち曇り。準備開始時は雨が降っていました。雨が弱まってきたので、開会式までには止んでくれーと願いながら、準備を進めました。井仁棚田交流館の中では、前日に料理の下準備をしていたので、お米が炊けたらさっそく、一合寿司づくりが始まりました。参加者約100個ぶんの寿司をつくるため、各家庭で受け継がれた木枠に、慣れた手つきでせっせと米と具材を詰めています。

 

伝統料理づくり

 

 外ではテントを張ったり、青空市の準備していると、広島大学の学生たちが到着。毎年、ある研究室との古い繋がりで、学生が体験会の手伝いをしてくれることになっています。地域の方と顔合わせとスケジュールの打ち合わせをしたあと、学生が参加者の受付をします。

 

広島大学生

 

 自治会長さん

自治会長が野菜を集荷していました。なぜか照れてます。

 

 

 参加者が到着したところで、開会式が行われました。(ありがたいことに町長がご挨拶に来てくださいました!)そのあと、班に分かれて田植え開始です。田んぼに足を入れる瞬間は、慣れない感触に驚いたり、楽しそうにしたり、賑やかになります。体験会を開催するまで、いろんな準備がありましたが、あっという間に田植え体験は終了。

 

田植え体験

 

 天気が悪かったため、室内で昼食を食べました。伝統料理「一合寿司」を皆さん美味しそうに食べていました。(やはり農作業のあとのご飯は美味しいです。)

 体験会の簡素化のひとつには、昼食のことがあります。昼食を弁当にすれば地域の人たちの負担は減るので、弁当を希望する人もいますが、中には「おもてなしをするのだから、ちゃんと作って食べてもらいたい。」、「体験会の売りのひとつなんだから。」という方もいます。

 今回は自分たちで作ることに決まりましたが、今の現状を考えると、どちらが良いのか判断がしにくいところ…体験会が終わったあとに、「美味しいと言ってくれて良かった。」、「来年は○○にしたほうが良いね。」などの声が聞こえてきたので、今年は、疲労<達成感だったと思います。気持ち次第で人は動くのかもしれません。

 

昼食

 

 昼食が終わって、体験会は終了。(以前は昼食後にも、竹細工やわら細工づくりの体験などもしていたそうです。)その後は、学生の授業のひとつとして、井仁の棚田の散策と最近の活動について講義がありました。地域の方の参加が少なくなっている現状、学生の支援は大変ありがたいことです。ただのお手伝いとしてでなく、学生の皆さんにも来て良かったと思える内容にしていけたらと思います。

 

田植え講義

 

 今回も、無事に終えることができました。去年から体験会を経験するなかで、井仁の人たちにとって、体験会が重要な行事であると感じました。一過性のイベントは地域への効果が少ないなどと言われたり、地域に根付いたイベントであっても、続けていくことが困難な現状であったりと、イベントをするうえで問題が多々ありますが、地域の人たちがこれからも続けていきたいと思う限り、負担ばかりでなく充実したイベントになるよう、地域おこし協力隊としてサポートしていけたらなと思っています。

 

 

▼コメントをどうぞ

顔の写真 友松裕希 さんのプロフィール・記事一覧はこちらら >>