喫茶王国!高知に根ざした喫茶文化!

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執筆者 安澤真希
所 属かつおゲストハウス

2017/03/29

 

 皆さんは、自分の住んでいる県や市や町が「日本一」と銘打っているもの、何があるかご存知ですか? たとえば高知なら、ナスの出荷量が日本一だったり、いまや仁淀ブルーとも呼ばれる仁淀川は水質&透明度ともに日本一だったり、飲酒代が日本一(これはもはや周知?)だったり。

 なんとなくは知っていたものの、改めて振り返ってみると、その部類(ランキングの良い悪い)は別として、日本一の「物」や「事」って意外と多いもので、その地域の県民性や特色を大いに表しているとも言えるでしょう。

 

 さて、今回は、高知県が日本一と銘打ってはいるものの、それがいささか意外な分野でのランキング一位ということなので、ぜひご紹介したいと思います。

 ズバリ「喫茶店」です! といっても絶対値ではなく、人口10万人あたりの店舗数が一位なのです。

 

モーニング

喫茶店といえばモーニング! そして高知のモーニングといえば、トースト×味噌汁が定番!(画像はデポーHPより)

 

 

 そもそも一般的に「喫茶店」と呼ばれる事業所は全国におよそ7万軒近くもあり、人口10万人あたりの平均店舗数はおよそ55軒あります。気になる高知県はというと、人口10万人に対しおよそ155軒という驚異的な偏差値をたたき出しているのです! 全国平均の3倍近い数値です! これはもう群を抜き過ぎです。

 そういえば、宿に泊まりに来るお客さんからも、時おり「気のせいかもしれないですが、高知って喫茶とかカフェが多くないですか?」なんて声が上がっておりました。お察しの通りです、気のせいではありません、実際に多いのです。

 しかし一体なぜ、高知県はこれほど喫茶店の数が抜きん出て多いのか。どうやらその背景、諸説が飛び交っているようです。

 

その1・人口が少なく、市場も小さくなりがちで専門的な飲食店が成り立ちづらいため。

その2・働く女性が多いため、その受け皿として発達した。

その3・地元の人のコミュニケーションツールの場として発達した。

 

 などなど… どれも一理あり的を射ていると思いますが、共働きの主婦(私)的には「朝ごはんや食事を作るのが億劫のため」説も、ややあり得るのではないかと考えます。これは致し方ない県民性によるものですが… いずれの説にせよ、高知県民は喫茶店をこよなく愛する! ということに相違ありません。

 私も子どもが生まれる前は、行きつけの喫茶やカフェがあり、何はなくとも足しげく通ったものであります。仕事の打ち合わせで使わせてもらったり、本を読んだり、友達としゃべったり…。いま思えば青春の一ページの片隅にはさりげなく喫茶店があったものです。と、私の話はさておき、高知の喫茶文化の今昔を知らない人のために、ザ・王道の喫茶店といえばココ! を、さくさくっとご紹介したいと思います。

 

 まずは県民なら誰もが知っている「現代企業社」。高知市内を中心に18店の喫茶を展開する老舗店です。その展開している場所もユニークかつバラエティに富んでいて、高知市街地を一望できる場所には「パノラマ」が、街中のオシャレなストリートの一角には「ファウスト」や「メフィストフェレス」、そして戦前は兵舎、戦後は学舎、その後に牧舎として残されていた舎を改装した「穀物学校」など、その場所と土地柄に合った雰囲気を提供してくれます。

 メニューもリーズナブルなものから、ちょっとリッチなものまで幅広く取り揃えており、朝は場所により開店待ちの行列が出来ることもしばしば。地元民は、それぞれ行きつけの現代企業社の喫茶へと足を運びます。

 

ファウスト

「ファウスト」。創業から半世紀以上経っても変わらぬ人気で、おびさんロードのオアシス!

 

 

メフィストフェレス

「メフィストフェレス」。その名はドイツのファウスト伝説に登場する悪魔が由来。インパクトある外観です。

 

 

●メフィストフェレス

住所/高知市帯屋町2-5-23

営業/8:00 ~ 21:00

定休/無休

駐車場/無し

TEL/088-823-7871

HP/http://www.gendaikigyosha.co.jp/【現代企業社】

 

 つぎは、こちらも高知を代表する喫茶店「デポー」。現代企業社と比肩する老舗喫茶でありながら、今も昔も変わらぬ佇まい。外観や店内からどこかあわいノスタルジーをおぼえるのは、創業時から良い意味で変わらないスタイルだからでしょうか。その懐かしさや昭和テイストのままの様相に、人は安心して何度も訪れてしまうのです。

 そしてデポーでは「和洋モーニング」なる摩訶不思議なメニューが存在します。トーストと味噌汁が、はたまたトーストとおにぎりが一緒のプレートにのって登場するのです(これ、実は県民にとってはいたって普通の光景なのです…)が、これに他県民はビックリするようです。

 さらに、モーニングの提供時間もすごい! なんと店舗によっては午後15時までオーダー可能なのです。というより時間の守備範囲がひろすぎて、それってもはやモーニングと言えないんじゃ… なんて野暮なことは考えませんし気にもしません、その実、ランチ時になってもモーニングはわんさと注文されるんだもの。恐るべし、高知県民の自由時間!

 

デポー

菜園場店、知寄店、京町店と3店舗を展開する「デポー」。京町店は小学校の時からほぼ変わっていない気が…

 

 

●デポー 菜園場店

住所/高知市菜園場3-8

営業/8:00 ~ 17:00

定休/無休 ※元旦のぞく

駐車場/有り

TEL/088-884-4973

HP/http://depot.main.jp/depot/depot.html【有限会社デポー】

 

 さて、最後にご紹介するのは「日曜社」と「じんぜんじゅカフェ」。こちらは、前述のようなチェーン店ではなく、どちらかといえば隠れ家的な雰囲気の喫茶で、いずれも私のいきつけです。(周辺の地域住民の方々は知る人ぞ知るって感じですが)かつおゲストハウスからもほど近いこともあり、よくゲストさんに案内しております。もちろん、その味や雰囲気の評判も上々です。

 「日曜者」の店内はオーナー夫婦がセレクトしたレトロな照明や布張りのソファ、本や雑誌がいくつもあり、居心地のよい空間になっております。店名のとおり、日常の雑多から解放された日曜日に訪れたくなる店ですね。本を呼んでいるお客さんが多いので、私も読書や書き物があるときに利用させていただいております。

 

日曜社

風景とマッチングしすぎて、一見では喫茶店だと気づかないかも? 日替りランチもありますが、オススメはやっぱりコーヒー。

 

 

●日曜社

住所/高知市愛宕山南町4-12

営業/11:30 ~ 18:00

定休/火曜

駐車場/有(2台)

TEL/088-872-2153

 

 「じんぜんじゅカフェ」は、高知のエンターテイナー・下尾仁さんのカフェ。かつおゲストハウスの被り物を創作いただいた人物でもあり、個人的にも大好きなオーナーさんです。建物は廃材を利用した完全手作り。薪ストーブやピザ釜にはじまり、五右衛門風呂やトイレにいたるまで、カフェにある全てのものが創意工夫に満ちあふれています。

 置いてある書籍はサブカルなものが多く、お客さんも個性豊かな面々が集まるので、コーヒー一杯で1時間の滞在はざら… おしゃべりでアッという間に時間が過ぎていきます。ランチメニューもあるので昼から夕方まで楽しく過ごせますよ~。

 

じんぜんじゅカフェ

上階には五右衛門風呂が! いつ行ってもどこかをリノベーションしていたり、作品を作ったり。とにもかくにもアートなカフェ!

 

 

●じんぜんじゅカフェ

住所/高知市北秦泉寺30-3

営業/11:30 ~ 18:00

定休/水曜

駐車場/有り

 

 さて、高知市の喫茶事情をさらっとご紹介いたしましたが、これはあくまでごくごく一部です! いや、ほんとうに。小説でいえば、序文です。その全容を伝えるとなると… 店が多すぎて書ききれません! それほど高知の喫茶は日進月歩しているのです。

 ところで、朝や昼はしょっちゅう喫茶やカフェでモーニング or ランチ、そして夜はSAKE。喫茶も行って酒も飲んで… となると、高知県民のフトコロがさびしいのは単に所得が低いからだけではないようですね。と、そんなことを冷静に分析しつつ、私がこの記事を締めくくっている場所も、例によってやはり喫茶店となっているわけでございました。

 

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