「半農半X」なライフスタイルの実現

2017/03/31

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執筆者 藤本和志
所 属京都移住コンシェルジュ

 

「いつかは、自然豊かな環境で、お米や野菜を作りたい」

「自分の興味があることや好きなことに使う時間を増やしたい」

 

 そんな思いを実現するための選択肢として「田舎暮らし」に興味を抱く方が増えてきているように感じます。同時に、自然豊かな地域(田舎)では、どのような暮らしになるのか? 仕事はあるのか? どうやって生計を立てていくのか? などのご相談も受けます。具体的にイメージすることができないと、田舎暮らしや移住という選択に一歩踏み出しにくいのだと思います。

 

 実際に地域でどのように生計を立てていくか、また、自分にあった暮らしをどのように実現するのか。今回は、京都府の中丹(ちゅうたん)地域(福知山(ふくちやま)市・舞鶴(まいづる)市・綾部(あやべ)市)から全国に広がっている「半農半X」というライフスタイルについて、実際に都市部から地域に移り住み、実践している方々を具体例として挙げながら紹介します。

 田舎暮らしや移住という選択肢のイメージを具体化するための一助としていただければと思います。

 

田舎暮らし1

 

福知山市・三和町で農家民宿「ふるま家(や)」を営む沢田さんご夫妻

 

綾部市・上林地域でゲストハウス「クチュール」を営む工忠さんご夫妻

 

 

京都府中丹地域とは?

 

 まず、京都府の中丹地域はご存知でしょうか?

 

中丹地域

 

京都府への移住、Uターン相談・イベント・現地案内はこちら

 

 

 京都府中丹地域は、京都府の北部に位置する福知山市、舞鶴市、綾部市からなる地域で、京都市からは車で約1時間半〜2時間ほどの距離にあります。

 このエリアには、若狭湾に通じる雄大な河川・由良川が流れており、四方は山々に囲まれ、豊かな自然環境に恵まれています。市街地から少し車を走らせれば豊かな田園風景が広がり、様々なライフスタイルを選択することができる地域です。

 

福知山市・三和(みわ)町の風景

福知山市・三和(みわ)町の風景

 

綾部市・上林(かんばやし)地域の風景

綾部市・上林(かんばやし)地域の風景

 

舞鶴市・瀬崎(せざき)地域の風景

舞鶴市・瀬崎(せざき)地域の風景

 

 

その地域で選ばれる「半農半X」なライフスタイルとは?

 

 みなさんは「半農半X」という言葉を聞いたことがありますか? 「半農半X」とは、綾部市在住の塩見直紀さんが1990年代半ば頃から提唱している “自給農” と “自分のやりたいこと” を両立させたライフスタイルのこと。自分や家族が食べる分の食料は小さな自給農(半農)でまかない、残りの時間は、自分のやりたいこと(半X)に費やすという暮らし方です。

 

塩見直紀さん(半農半X研究所代表)

塩見直紀さん(半農半X研究所代表)

 

 農のある暮らしをしながら、自分が大切だと思うこと、大好きな仕事をすることで、精神的に満たされるというこの「半農半X」という暮らし方は、たとえ収入が減少したとしても心豊かな暮らしをしたいという人たちから共感を集めており、実際に中丹地域でも20代〜40代を中心に、半農半Xな暮らしを実践する移住者が増えてきています。

 

 

「半農半X」について知る機会(セミナー)

 

 中丹地域で、移住後のライフスタイルとして半農半Xな暮らしをすることは、具体的にどのようなことなのかを学び、移り住むヒントにしてもらうための移住セミナーを、大阪や東京で開催してきました。

 

「半農半X な暮らしを学ぶセミナー」の様子

「半農半X な暮らしを学ぶセミナー」の様子

 

 

 セミナーでは、半農半Xな暮らしを実践している移住者をゲストに招き、なぜその暮らしをしようと思ったのか、その暮らしをどのように実現していったのかなどの話を聞きながら、参加者同士で、自分の好きなことや興味・関心ごとを共有し、それぞれのXになりうる何かについて考える機会をつくってきました。

 

半農半X な暮らしを学ぶセミナ2

 

半農半X な暮らしを学ぶセミナ20

 

 

 2016年10月に大阪で開催した「半農半Xな暮らしを学ぶセミナー」にゲストでお越しいただいたのは、舞鶴市瀬崎地域でタイ料理店「FonDin」(フォンディン)を経営する渡邉直樹さん。

 渡邉さんは、自然農法で野菜を育てることや、山の近くで暮らすこと、カフェを開くことなど、“いつかこうしたい” と思っていた暮らしを少しずつ実践してきました。やりたいことを叶えるための選択が、瀬崎地域への移住だったそうです。

 

「FonDin」を経営する渡邉さん

 「FonDin」を経営する渡邉さん

 

FonDin6

 

FonDin8

 

FonDin30

 

FonDin32

 

 

 今ではお店を週4日営業していて、お店で出す分と、自分たちが食べる分の野菜や果物などの食材をできるだけ栽培しながら暮らしています。また、最近は、育てた果物をジャムにしたり、近くの海でとれた海苔を加工品にしたり、地域のマルシェで出張店舗を出したりと、様々な生業をつくりだしています。

 

食材

 

食材5

 

 

 お店は思っていたより早く軌道に乗りつつあり、自分たちが暮らしていけるだけの生活は成り立つようになっているとのこと。お店の準備や、自然農の畑での作業はもちろん、最近ではいろんな場所に出かける機会も増えたため、毎日の忙しさはありますが、「自分たちが好きなことをして暮らせていて、満たされた生活です」と、語っていました。

 

「田舎暮らし体感ツアー」で参加者がお店を訪れたときの様子

「田舎暮らし体感ツアー」で参加者がお店を訪れたときの様子

 

 

「半農半X」について知る機会(ツアー)

 

 セミナーで話を聞いたゲストを現地まで訪ねて行く「田舎暮らし体感ツアー」も開催してきました。農家民宿やカフェの経営、農業など、様々な活動をしている移住者などを訪ねて、実際に現地でその取組を見て、想いを聞き、体験や交流を行うことで、田舎暮らしや半農半Xな暮らしの実現に向けて、イメージを具体化してきました。

 

 2016年9月にツアーで訪れた古民家の宿「ふるま家(や)」を経営する沢田さやかさん。

 

福知山市・三和町で農家民宿「ふるま家(や)」を営む沢田さんご夫妻

福知山市・三和町で農家民宿「ふるま家(や)」を営む沢田さんご夫妻

 

 

 沢田さんは、京都府京田辺市出身。関東の企業でしばらく勤めていて、ホームパーティなどを開いて料理をふるまったりするのが好きだったそう。そして、ある地域を訪れたことをきっかけに、農家民宿をしたいと思うようになり、京都の田舎で物件を探す中で、一目惚れした福知山市三和町の古民家を購入し、移住。しばらくは京田辺市と行き来しながら、2年半ほどかけて古民家をリフォームし、ふるま家をオープンしました。

 

ふるま家(や)2

 

ふるま家(や)4

 

ふるま家(や)8

 

ふるま家(や)6

 

 

 ふるま家のコンセプトは、“外国人との架け橋になる農家民宿” になること。そのためにホームページは6ヶ国語で対応しており、宿泊客の9割以上は海外から来られるそうです。JRの最寄り駅から車で30分ほど離れた場所にありますが、それでもお客さんの絶えない人気の宿です。

 海外の方や都市部の方に、農作業体験や共同調理、地域住民との交流や行事への参加などの機会をつくり、日本の田舎の暮らしを体感してもらっているそうです。

 

日本の田舎の暮らしを体感50

 

日本の田舎の暮らしを体感52

 

 

 また、農家民宿のすぐそばに、畑や田んぼもあり、そこでとれた食材をその日の食事として提供したり、他にも地域の食材を使ったりと、できる限り地産地消でまかなわれています。

 

地産地消4

 

地産地消6

 

 

 沢田さんは、地域活動や環境保全、人づくりにも力を入れていて、塩見直紀さんの開く「スモールビジネス女性起業塾」での講師や、福知山市三和町の移住定住促進部会などの活動もされており、「地域にいろんな方が入ってきて、みんなで地域をおもしろくしていけるようにしたい」と語っていました。

 

 

地域のローカルに触れ合う、知る

 

 2016年7月・8月とツアーで訪れた里山ゲストハウス「クチュール」を経営する工忠(くちゅう)さん夫妻。大阪府出身で、2016年5月に綾部市の上林地域にIターン。ゲストハウスをしたいと考えていた工忠さん夫妻は、縁のあった上林地域で古民家を購入し、自分たちの手でリノベーション。晴れてゲストハウスをオープンしました。

 口コミやネット、SNSで評判が広がり、初年度にして多くの宿泊があったものの、それでは十分な収入を得られないため、旦那さんは地域の宿泊施設、奥さんは自治体の仕事もされています。

 

綾部市・上林地域でゲストハウス「クチュール」を営む工忠さんご夫妻

綾部市・上林地域でゲストハウス「クチュール」を営む工忠さんご夫妻

 

クチュール8

 

クチュール5

 

クチュール2

 

クチュール4

 

 

 今後は徐々に自分たちのやりたいことであるゲストハウスに仕事の比重を置き、移住先である綾部市の地域の魅力をもっと多くの方に知ってもらえるよう、ローカルなツアーを企画する旅行会社をつくり、地域の方と交流したり、自然豊かな場所を回ったり、そこでの暮らしを体験するツアーやガイドなどを行うそうです。

 

工忠さんが経営するツアー会社MATA TABI が企画する「森の京都モニターツアー」

工忠さんが経営するツアー会社MATA TABI が企画する「森の京都モニターツアー」

 

 

 工忠さん夫妻は野菜作りや米作りもされていますが、それ以上に地域の方や半農半Xな暮らしをしている方々と都市部の方を結ぶ活動に取り組んでいて、地域に半農半Xな暮らしが広がっています。

 

半農半X なライフスタイ

 

 

最後に

 

 京都府中丹地域で半農半Xなライフスタイルを実践されている移住者を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

 都市部で会社に勤め、収入を得ている方からすると、少し想像しにくいかもしれません。ただ、実践している方の話を聞いてみたり、現地を訪ね、暮らしを体感してみたりすることで、初めて見えてくる部分も多いと思います。そして、自分の好きなことや興味を仕事にできると考えていくと、わくわくと胸が躍るような気持ちがわいてくるかもしれません。

 今回紹介した方々も、最初は小さな規模で始めながら、少しずつ軌道に乗せていくように努力されていました。小さくとも、まずは始めてみることが大事なのかもしれません。

 

 田舎での働き方は、都市部と異なるものもあれば、都市部に近いものもたくさんあります。今回紹介した方々以外にも、WEB・教育・ライター・作家・芸術家・NPO・公務員・介護士・看護師・保育士など様々な仕事をしている方がいます。それぞれ週5日勤める仕事もあれば、週何日か働き、残りの何日かは自分の好きな活動や農業などをする田舎ならではの働き方もあります。複業としていくつもの活動をされている方も多いです。

 

 改めて、半農半Xな暮らしとは・・・

●X(=なりわい)にあたる部分は人それぞれ。

●Xは一つでなく複数あってもよい。

●最初は誰しもXが明確でなく、徐々に形にしていっている。

 

 そんなライフスタイルに少しでも魅力を感じた方は、一緒にX探しを始めてみませんか? 京都移住コンシェルジュが全力でサポートいたします。

 

 

京都へUターンしたい方・移住したい方はこちらまで

 

 私たち京都移住コンシェルジュは、「京都にUターンしたい」「自然豊かなところで暮らしたい」そういった方々の想いをカタチにするため、移住相談から現地案内、地域定着に至るまで伴走支援しています。首都圏や関西での移住に関するセミナー、田舎暮らしを体験し、空き家を巡るツアーの開催や、個別相談など、移住に関わる様々な活動を行っています。

 自給自足を目指す方から、半農半Xや農家民宿開業などの暮らしを希望する方、都会と同じようにサラリーマンをしながら自然豊かなところで子育てしたい方まで。いろんな暮らし方ができるのが京都の魅力です。今まで知らなかった京都での暮らしの可能性を探ってみたい方は、ぜひ窓口にお越しください。

 

※こちらの相談窓口は、京都府の移住促進事業による補助を受けて運営しています。無料でご相談いただけますので、まずはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

※遠隔地にお住いの方向けに、電話相談も実施しています。お気軽にお問い合わせください。

 

東京窓口の京都移住コンシェルジュ

東京窓口の京都移住コンシェルジュ 左から坂田・安田

 

大阪窓口の京都移住コンシェルジュ

大阪窓口の京都移住コンシェルジュ 左から藤本・千葉・川中・川渕

 

 

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問い合わせ 075-441-6624

 

 

 

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