いなかパイプ 「いなか」と「とかい」のパイプWEB

仕事が先か、住むところが先か?

2017/04/21


 こんにちは。半年ぶりのご無沙汰です。対馬の事務屋ですよ。

 春は別れの季節ですね。先日、集落支援員として活躍していたTくんが対馬を離れ、新天地へと旅だって行きました。
 駐車場は車が満車、フェリーターミナルは人でいっぱい。乗り込む直前には子どもたちから胴上げされて、紙テープでお見送りとなりました。
 島の別れは情緒があって良いですねえ。

 

元気でな!

元気でな!

 

 さて、春と言えば別れだけじゃなく、社会人には年度末と年度始めがいっぺんにやってくる地獄の季節ですが、学生さんにとっては就職戦線が一斉にスタートする地獄の季節ですねえ。という訳で、今回はお仕事について考えてみました。

 実はこのテーマ、一昨年の離島サミット(アイランダーの前日に開催される勉強会です)でお話させていただいてから1年半くらい、ずーーーともやもや考えているのですが、結論がでなくて困っているのです。
 あのとき、「いなかには仕事が無いから若者戻ってこられないって言われるけど、仕事はありますよねえ」という話をしましたら、「やりたい仕事とか、個々の能力・特性を活かせる仕事が無い(から若者が戻れない)んじゃないの?」って言われまして、それからず~っとそのことを考えているのです。

 

 だって、会社組織で働いているあなた、最初に就職したとき「やりたい仕事」に就きましたか? その仕事って、「得意だ」という理由で選んだ結果でしたか?
 リクルートスーツを着て何十枚もエントリーシートを書いているあなた、絶対に「やりたい仕事」とか「得意な仕事」だけに応募していますか?
 おっと、今やっている仕事が好きだとか得意だというのは、また別のハナシですよ。就職したときのことを思い出してみてください。「やりたい仕事」とか「得意な仕事」からスタートしましたか?

 自分のことを思い返すと、最初に就職したときは、

1.国家公務員の試験を受けた(理由:父が国家公務員だから)
2.いろんな役所からオファーがあった(景気が良かったからね~)
3.父に相談して、経済企画庁の面接を受けた
4.面接の場で内定をもらった

と、バブルのおかげでトントン拍子に就職し、最初の配属先は長官官房秘書課給与班で、職員の給料を計算するというお仕事を任されたのでした。

 その時点ではもちろん、給与計算が得意ということもなく、希望して配属されたわけでもありませんでした。
 ところが、その後の異動先も2回に1回は会計課の予算係とか契約係とか、お金に関わる業務に配属されるという22年間だったので、人事の人からは「得意な仕事」とみなされていたのでしょう。実際、30歳で係長になってからは、それまでやったことのない業務より、土地勘のある会計課の方が楽かもしれないな、と思っていたものでした。

 

お金の管理に苦心する日々です
そして今でもお金の管理に苦心する日々です

 

 そういう社会人生活だったので、就職のとき、本当に「好き」とか「得意」な仕事に就くべきなのだろうか? と考えると、それほど重要な要素じゃなさそうな気がするのです。もちろん、そのことを大事にして就職する人も多いでしょう。
 子どもの頃から学校の先生になりたかったから、大学進学の際に教育学部を選ぶとか。看護師さんになりたいから看護系の学校に進学するとか。そのまま夢をかなえる人がたくさんいるのも事実です。

 ところが、野球選手になりたかったけど夢がかなわず、球団とか球場で働くという道に進む人もいます。この場合、「好きな業界」で働いてはいますが、「好きな仕事」かというと、ちょっと違いますよね。
 目標を持って進学、就職するのはすごいことだと思いますが、誰もが夢を叶えられるわけではないのもこれまた事実。「俺はミュージシャンになる!」と言って音楽活動を続けるために、牛丼屋さんでアルバイトをしながら糊口をしのぐ人もいます。
 いつしか牛丼屋さんのオペレーションを完璧にこなすようになって、「ウチで正社員にならないか?」とリクルートされたりして。

 

漁師になるためにストリートライブで稼ぐ
漁師になるためにストリートライブで稼ぐ、、、のは効率が悪いと思いますが

 

 なので、「やりたい仕事に就く」ということが、本当に重要なのかなあ?と思っているのですが、どうですかね?
 もちろん、仕事が人生みたいな人もいるでしょうし、働くことで社会に貢献せずに何の人生か! という人もいるでしょう。金さえ稼げればなんでもいい、みたいな生き方はどうかと思いますが、やりたい仕事をやることだけが人生の目的とか幸福とは限らないのではないかしら、と思うのです。

 

 断言してもいいけど、ある程度大きな企業に就職したら、配属先の希望なんて通らないですよね? 最初はみんな営業をやらされて、そこから適性を見極めて異動したりしなかったり、、、
 プレーヤーとして現場で働き続けたくとも、歳をとったら管理職に昇進して責任ばかりが重くなる、、、というのが一般的な大企業での会社員の働き方ですよ。それでも、好きな○○に関われているということに幸せを感じたり、最初は途方に暮れていた業務でも徐々に慣れてうまく捌けるようになったりならなかったり。
 だとしたら、就職先を選ぶときの優先順位を変えてみてはどうかと。つまり、「好き」とか「得意」ということで業種を絞る前に、まず「地元」とか「親戚がいる」という、どこに住むのかを最優先に据えてみたらどうでしょうか?

 

 だって、学生寮に住んでいる大学生なら、卒業したら引っ越さないといけませんよね。一般的には就職活動が先で、その後に住むところを探すと思うのですが、まず、どこに住むかを決めてから就職先を選ぶという順番にしたらどうだろうかと。
 だって、いなかと比べたら都会の方が通勤時間は長くなりがちですし、家賃相場も段違いですし、そもそも実家から通えるところに就職したら家賃という出費を回避できるんですよ! そしたら、ある程度は給料に差があっても損得勘定で判断できるでしょう? 通勤時間が往復で1時間多いなら、それって毎日1時間を無休で働いてるのと変わりませんよね?
 都会での給料が20万円でいなかの給料が15万円だったとしても、いなかの実家から通って6万円の家賃が無料になるなら、いなかの方がお得じゃないですか?
 だから、就職先の比較をするとき、単純に給料を比べるだけじゃなくて、どこに住むのかを想定して、どんな生活を送ることになるのか、そこまで考えた方がいいですよねえ。

 

 え?もちろん考えてるよ!って? ならいいんですけども。どんなに考えたって、実際にどうなるかはやってみないと分かりませんしね。

 

 でも、この会社だ! と思って就職したけど、想像以外のところで苦しんでいるなら、一度立ち止まって考えてほしいのです。
 化粧品メーカーの広告宣伝部門で華々しく活躍するはずだったのに、営業で得意先回りばかりなので苦しいとか、金融機関で大企業を相手に大きなお金をバリバリ動かすはずだったのに、個人客相手の定期預金の勧誘かよ! なんて話はいくらでもあるでしょう。
 だから、就職の際に「仕事の内容」にこだわっても肩透かしを食うかもしれないのだから、その優先順位を一番上には持ってこなくていいじゃないですか。

 

 地元に~帰~ろ~う~って歌があったでしょう?
 地元優先で、仕事の内容は二の次でってのはどうでしょうか?

 

 もちろん、地元でやりたい仕事ができれば最高に楽しいでしょう。でも、働き始めたらなんとなく違う仕事だったな~となったときでも、地元だったらヘロヘロになるまで働いて、満員の通勤電車で家と会社を往復して、週末も疲れて寝てる、、、なんて事態は避けられますよ。

 ほら。優先順位、見直してみませんか。

 

▼コメントをどうぞ

顔の写真 冨永健 さんのプロフィール・記事一覧はこちら >>