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こんやはこんにゃく

2017/06/15


 こんにゃくさんは悲しみました。だって、私は「今夜食う」って言われるんだから・・・

 田舎に伝わる昔ばなしのひとつです。昔話に出てくるということは、それだけ田舎に、日本に、昔からある食べ物だってことですね。今回はそんなこんにゃくの話。

 昔からあるものというのは、怏々として、それがどうしてあるのかなんかは考えなくて、実はこんにゃくもそんなもんかもしれませんね。
 田舎では手作りでこんにゃくを作るし、食べるけど、都会では、作られたこんにゃくが店頭に並ぶだけで、食べるためのアレがこんにゃくだけど、じゃあそもそも、アレがどうやってできるかなんて考えたことが無いわけですよね。
 どちらかといえば田舎よりは町に長く住んだ僕が、小菅村に移住して、いろんなおいしいものに出会いましたが、一番おいしいと思ったのは、こんにゃくです。売られているアレとは大きく違うわけで、同じものとは思えないとも思います。

 

こんにゃくいも

 

 これ、なんやと思います? ここまでいろいろと書いているからわかる人はわかると思いますが。
 僕と同じように都会から田舎である、小菅村に来て、この土のついた、角の生えた塊を見せると「なにこれ?」というのが大抵です。

「こんにゃくですよ」

それを言うと、「えっ!!!」という反応が圧倒的。そして続くのは「こんにゃくって、あの、おでんとかに入っているやつのこと?」。

 無理もないですね。これがこんにゃくなら、食べているアレは何なんだという話。
 これが原料になる、こんにゃくのイモですよ、というと、

「これをどうしたら、ああなるわけ?」

ここまでのやり取りが、こんにゃくのテッパン会話ですね。

 いつも見ている、見慣れた、食べている、アレとコレとが似ても似つかないから、これがどうしたら、あの食べる方のこんにゃくになるのかを知りたいという人は多いですね。
 はい、実に多いと感じます。以前、とある大学の講義の呼ばれ、こんなくだりのことを話したら、興味を持った学生さんが講義後に来てくれて、今度こんにゃくづくりに行ってもいいですか?と言われたこともあります。
 興味のアンテナがどこにあるか、琴線に触れるかどうか、人それぞれなわけですが、原材料と出来上がりのものが、ここまで乖離している食べ物もそうそうないように思います。

 ってことで、今回は小菅村名物のこんにゃくがどうできるか、そんな話です。

 

中はきれいな白色

 

 土のついたさっきのような塊が、コンニャクイモ。中はきれいな白色なんですね。
 じゃがいもやサツマイモと同じようにイモだけど、コンニャクイモが多くのイモと違うのは、なんでしょう? この大きさに育つまでに3~4年かかっていることです。
 多くのイモは、その年に植えて掘って食べることができるけど、コンニャクはできない。いや、できないことは無いんですが、しない、という言い方が正しいですね。
 しようと思えばできるけど、しないのにはわけがあって。大きく育たせた方がワリに合うから。

 これが3,4年だとしたら、1年のイモは本当に小さいです。小さい分キメが細かいのだけど、作れる量が全然ないので、だいたいこれくらいのイモを使うわけです。
 じゃあ何年でも置けば置くほどデカくなるからいいんじゃないの?!と思う人もいると思いますが、それはそれでできないんですね。4年以上畑においておくと、花を咲かせて、イモは老衰していきます。

 だから、いろんな意味で、3,4年のイモを使うのが一般的ですが、小菅村の中にも一人だけ、700人の人口のうち一人だけ、「おれは一年のイモでしか、コンニャクは作らない」という、おっちゃんがいます。
 そういう頑固なこだわりを持つ人は個人的に大好きです。

 

重さを測れば
まあ、重さを測ればこんなもんです。

 

 日本のコンニャクイモ産地は90%以上が群馬県。群馬といえばコンニャクといってもいいくらい。
 ただ、同じコンニャクイモでも、小菅と群馬が違うのは栽培方法。一般的にコンニャクイモは年掘りといって、土が冷える冬には貯蔵するために一旦掘り挙げ、春にまた土に戻します。
 一方で小菅村のコンニャクは一年中つちに埋めておく「自然薯」という栽培がメインです。これは南向きの畑にコンニャクを植えることで、冬でも日当たりが良く地温が比較的高いので、イモが凍みない、結果的に養分を吸って、おいしい芋に育つという効果もあるようです。

 

食べるコンニャク

 

 さあ、実際に「食べるコンニャク」を作っていきましょうか。

 写真の人は素手で皮をむいていますが、実際にこれをやると、人によってはヒリヒリしてきます。アクが相当強くてかぶれるんですね。
 皮をむいたら、おろし金で大根おろしのようにおろしていきます。しつこいですが、手がかゆーくなってくるので、手袋をして作業することが多いです。

 

おろした芋

 

 おろした芋に水を加えて、火にかけて、ノリのようにのばして、粘りを出していきます。
 この粘り具合はどれくらいかというと、経験!!という言葉で片づけられるのが、田舎のすごいところ?こわいところ?(笑)

 

透き通った感じ

 

 まあ、こんなところですね。この透き通った感じがきれいですね。
 最終的に粘りが出たところに、凝固剤を入れると固まってきます。

 

手でコネコネして

 

 固まったものを、おにぎりみたいに、手でコネコネして、丸めてみると、これが食べるコンニャクです。
 水に漬けて半日程度、アクを抜いておくと、もうその日のうちに食べることができるようになります。

 小菅村では、「こんにゃく御殿」とよばれるような大きな家があるくらい、こんにゃくで稼いだ家がありますが、今は本当にそんな時代があったのかなとすら思えるくらい、コンニャクは売れない作物になってしまいました。
 売れなくなれば、作る人もいなくなって、小菅村でも若い人はコンニャクを作ることはしませんね。極論を言えば、コンニャクを食べなくても生きていけますからね。
 でも、コンニャクってのは、カロリーがなく、「砂だし」と言われてお腹にたまった老廃物を押し出してくれたり、いろんな健康的な効能があるようです。

 健康ブームに乗って、いつの日か、もう一度コンニャクブームがやってこないかな。コンニャク芋に、淡い期待を重ねる今日この頃。

 

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