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目指せ、宮城の海のプロフェッショナル

2017/07/31

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執筆者: 鈴木陽子


 こんにちは。宮城県は石巻から、鈴木陽子です。
 今回は、石巻を中心にビーチクリーンの活動をしている「石巻海さくら」という団体の紹介をしたいと思います。

 東日本大震災後、任意団体として始まった石巻海さくらは、2012年11月に正式に団体登記をしてから2016年11月で丸4年、そして、2月12日に行われたビーチクリーンで記念すべき50回目を迎えました!

「月に1回、愛する海と浜のそうじをしよう!」

を合言葉にさまざまなジャンルの人たちと活動を続けて来た4年間。
 漁師さんも、ダイバーも、サーファーも、釣り人も、親子連れでも、カップルでも。参加資格は「海を愛する気持ち」だけ!
 漁師さん…? そう、7日間からの漁村留学「イマ、ココ プロジェクト。」の受入先の中にも、海さくらの活動に参加している漁師さんがいるんですよ♪

 そんな石巻海さくらの代表である、高橋正祥さん(通称 まささん)にインタビューさせていただきました。
 石巻海さくら立ち上げの経緯から、震災後の海の中の変化、そしてまささんの今後の野望とは…?

 

目指すは、宮城の海の魅力を伝えるプロフェッショナル

 
 石巻海さくら代表の高橋正祥さん。座右の銘は「有言実行」。やると言ったら必ずやる。そのまっすぐな気持ちといつも楽しそうな笑顔に、周りは惹き寄せられる。

 

まささん
向かって右が、まささん。

 

 ダイビングの技術を活かして海中の行方不明者捜索活動に参加していた震災直後から6年が経とうとしている現在まで、変わり続ける海と共に生きてきた彼は、今どんなことを考えているのだろうか。

 

自分がやらなければ。

 
「震災当時の海の中は、家があったり車があったり、信じられないような状態でした。子どもの頃から自分を育ててくれた海が日常じゃない姿に変わってしまったのを目の当たりにした時の気持ちは、ショックを通り越してましたね」

そんな状態の海に潜る度に、

「このままじゃダメなんじゃないか」

という思いが強くなっていったというまささん。その時の捜索チームに宮城の人がいなかったこともあって、

「自分がやらなきゃいけない」

と強く感じた。
 有言実行。行方不明者捜索の傍ら、海岸と海中の瓦礫撤去活動を始めた。最初の頃は任意団体としてスタートした石巻海さくらを正式に団体として登記したのは2012年11月。

「それまでは、陸で活動する支援団体と海で活動する支援団体の接点ってほとんどなかったんです。だから海の中のことって、ダイバーしか知らなくて。そうじゃなくて、もっといろんな人を巻き込もうと思いました」

 

震災直後の海と今の海

 
 震災直後の海の中は、重油などが混ざった真っ黒い土の様なものがあり、匂いも酷かったと話すまささん。海から引き上げて来る瓦礫も、同じ匂いがした。生物が生きていけるような環境ではなかったそうだ。

「その頃と比べると、今は瓦礫がだいぶ少なくなりましたね。魚は戻って来ているし、産卵も増えてきました!
 でも、まだ手が付けられていない場所の方が多いし、今でも台風などで海が荒れた後はたくさんのゴミが打ち上げられます。震災関連のゴミもそうじゃない物も。最近はプラスチックのゴミが目立つようになっていますね。
 ゴミを出しているのは人間です。プラスチック製品の生産量は今後も増加していくことが予想される中で、ビーチクリーンや、ゴミを捨てない啓蒙活動をこれからも10年20年と継続していくことが必要だと感じます」

こちらの目をまっすぐ見据えてそう話す。

 

水中で絡まる漁具などの瓦礫
水中で絡まる漁具などの瓦礫。震災から6年が経ってもなお、海の中にはこのような場所が点在している。

 

宮城の海に熱帯魚!?

 
 そんなまささんには、野望がある。

「宮城県の海の生き物図鑑を作りたいと思ってるんです!自分で撮った海の生き物の写真に、宮城県のデザイナー、使う紙は日本製紙(石巻の製紙工場)で作った紙で…純宮城県産の図鑑!」

宮城県沖の海は、南からの黒潮と北からの親潮がぶつかる場所に位置する。それがどういうことかと言うと、

「例えばクチバシカジカのように三陸沿岸でしか見られない北の海の魚もいれば、夏の台風シーズンには南からの波に乗って、チョウチョウウオやスズメダイなどの熱帯魚が北上して来るんですよ!」

 

卵を守るマダコのメス
卵を守るマダコのメス

 

卵を守るクチバシカジカのオス
卵を守るクチバシカジカのオス

 

季節来遊魚のシラコダイ
季節来遊魚のシラコダイ

 

北の海に住むハナヤナギウミウシ
北の海に住むハナヤナギウミウシ

 

 そんな背景から、宮城の海には200種類以上の生き物が生息し、世界三大漁場と呼ばれている。それらを全部網羅して図鑑に載せたいのだそうだ。

「石巻の人でも、地元の海のことって実は知っているようで知らないんですよね。だから、図鑑を作って宮城の人たちの海に対する関心とか知識を上げたいんです。地元の海のことならよく知ってるよ!って宮城県民みんなが胸を張れるくらい。」

 

見て楽しい、食べて美味しい海

 
 まささんの話は、止まらない。

「沖縄の海って誰でも憧れるじゃないですか。でも僕は宮城の海も負けてないと思ってます。確かに透明度は沖縄の方が上ですが、住んでいる生き物は宮城の海の方が断然面白い。
 だって、熱帯魚ってきれいだけど食べることはあまりないじゃないですか。でも宮城の海は、普段自分たちが食べている魚が目の前を泳いでるんですよ。それに牡蠣が海水を吸ったり吐いたりしているところとか、ホヤの口が開いているところなんて普通はなかなか見られないし、牡蠣の養殖棚にはいろんな海藻や海綿体や小魚、そしてそれを狙うスズキ、黒鯛なんかも居て、海の中の生態系が垣間見えます。宮城の海は、見て楽しい、食べて美味しい海なんです。
 そういうことをどんどん発信していくことで『宮城の海に行きたい!』って思ってもらいたい。被災地だからとか関係なく、すごくいい海なので」

 目標は、「この海だったらこの人に任せればいい」と言ってもらえるくらい、宮城の海のプロフェッショナルになることだ。最近は、海のことに詳しい漁師さんからも「海の中どうなってる?」と聞かれるようになって来たが、「もっとレベルアップしなければ」と志は高い。

 

豊かな海を守るために

 
こんな話もしてくれた。

「『海中四季』っていうのがあるの知ってますか?新緑の春はわかめ、暑い夏は真っ赤なホヤ、秋にカナダの海から自分達が生まれた宮城の川へ白鮭が遡上する姿は生命の力強さを感じるし、冬の宮城の海は生物達の産卵など沢山の感動的なシーンが見られます。
 そんな豊かな海を守っていくためにも、ビーチクリーンだけじゃなくて、ごみを捨てない教育もしていく必要があると思っています。10年前くらいまでは学校の授業でゴミ拾いの時間があったっていう話をよく聞くけど、今は、海は危ないから近づいちゃいけないって教える学校も多いらしくて。」
 
「海仕事を生業としている人たちからは、子どもたちにもっと海に触れてもらって、好きになって貰いたいっていう声があるんですよ。それをサポートしたいなって。大人ももちろんですけど、これからを担っていく子ども達の意識を変えたい。『パパ、ゴミ捨てたらダメだよ!』って子どもに言われたらさすがに大人も捨てられないじゃないですか(笑)
 海と触れ合う機会を作ること。そして、ごみを捨てるのは格好悪いことというのを定着させれば、捨てる人は絶対減りますから。」

宮城の海への想いをたっぷり語ってくれたまささん。最後に、今一番お気に入りの魚を聞いた。

「ダンゴウオとかも可愛いですけど、最近は「フサギンポ」がぶさ可愛くてお気に入りですね。本当はダイビングの時は生き物に触っちゃダメなんですけど、魚が自分で泳いで来て手に乗ったりするんですよ!面白いでしょ? こういうことを、これからもどんどん発信してきたいですね。」

 

フサギンポ
まささんお気に入りのブサ可愛いアイドル「フサギンポ」

 

Photo by 平井慶祐、高橋正祥

 

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