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ヤマネコ愛ランド

2017/09/22


 ツシマヤマネコを追いかけて対馬には2007年からほぼ10年通っていたが、ついにこの春、32年勤めた会社を退職し、対馬に移住した。
 前の職場の退職挨拶で各地を廻った際、「対馬に移住します」と言っても、対馬がどういうところか知る人は少なく、こんなイメージを持っているようだった。

・奄美大島付近にある
・暖かい
・人口は数千人程度

おそらく上の二つは、

「対馬→対馬海流→暖流→暖かい→南方」

というイメージなのだろうが、実際、冬は普通に寒く、風が強いので体感温度はかなり低い。
 三つ目は「離島」というイメージでそんなに大きくないと思うらしく、「最寄りのコンビニまで65kmですよ」というとかなり驚く。

 

浅茅湾上空からみた対馬空港
浅茅湾上空からみた対馬空港

 

 長崎県の東京サテライトである日本橋長崎館にでかけると、同じ離島の五島に知名度でもアピール度でも負けているなと思う。たしかに五島と比べると、つばきのような特産もないし、教会群のような世界遺産の候補になっているものもない。「つばきねこ」のような公式キャラクターもない(ツシマヤマネコがいるのに)。
 さらに、鮮魚や農産物など、おいしいものはたくさんあるのだけれど、対馬でなくては食べられないものはほとんどない。
 
 対馬独自のかすまき、ろくべぇ、いりやきはいまひとつ地味だし、韓国が見えますよ!といってもわざわざ時間を掛けて対馬に見に来るくらいなら、釜山に直接行くだろう。(日本国内で海外のケータイ電波を拾う唯一の場所ではあるけど)
 旅行ガイドなどをみると、対馬について載っている物はほとんどないし、載っていたとしても、トレッキングやシーカヤックなどが紹介されているが、一般人が「行こう」と思うにはちょっと弱いと思う。
 
 対馬は(野生の)ツシマヤマネコが見られる世界で唯一の島だ。自分も、ツシマヤマネコがいなければ訪れること(位置ゲーで来たかも知れないが)なかっただろうし、ましてや移住することはなかっただろう。
 「地元の人でもほとんど見たことがない」と言われるが、場所と時間(時期)と「あいたい!」という気持ちがあればほぼほぼ出会うことできる。実際ヤマネコ米の栽培農家の方はヤマネコを見たことがない人はいない。

 

ツシマヤマネコ
ツシマヤマネコ

 

 ツシマヤマネコは13年程前から福岡市動物園を皮切りに現在は全国9園館で飼育下繁殖個体を公開している。各園館でのツシマヤマネコ啓発イベントの開催努力もあり、認知度も上がってきており、SNSでの投稿も増えてきている。

 では、ツシマヤマネコ以外ではどんなものがあるだろうか。
 対馬は古代より日本と大陸を結ぶ接点であったこともあり、神社、戦跡(砲台跡)、産業遺産、ロシア人上陸の地(殿崎、芋崎)など実はマニアックな見所はたくさんある。ガイドには載っていない見所をいくつか紹介する。

 

天神多久頭(あめのかみたくづたま)魂神社
佐護(上県町)にある「天神多久頭(あめのかみたくづたま)魂神社」
社殿がないめずらしい神社

 

落土トンネル1

 

落土トンネル2
豊の砲台(上対馬町)につながる道にある「落土トンネル」
昭和9年(83年前)の完成

 

対州鉱山跡
対州鉱山跡(厳原町樫根) 日本書紀に記載のある日本最古の銀山跡でもある。1975年に閉山

 

 いずれも「風光明媚」というわけではないが、それぞれの史跡にはストーリーがあり、おもしろいと思うがいかがだろうか。

 動物園などで開催されるツシマヤマネコの啓発イベントで、対馬に来て下さいと言っても、空港やフェリーターミナルから先の公共交通機関がほとんどないに等しいので、「ツシマヤマネコに会うためだけ」で来るにはなかなかハードルが高い。
 対馬の魅力を発掘、発信するとともに、ツアーなどを企画してたくさんの人が訪れるようにしたいと思っている。

 

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