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円坐から学ぶ生命的な場の作り方 ~大人のための遊び場・学び場~

2017/09/27


 いなかパイプでは生命的な場の作り方を学び実践しています。

「生命的な場ってなに?」

って思われるかもしれませんが、その説明が難しいので、僕のいなかマガジンでは実際に自分たちが何をやろうとして、何が起こっているのかをもう少し詳しく伝えたいと数回に分けてレポートしています。
(過去のレポートはこちら → 「生命的な場の作り方・その1」 「生命的な場の作り方・その2」)

 今年の夏、徳島県の上勝町で「大人のための体験フリースクール」というプログラムに参加してきました。
 毎年夏に上勝町では呼び方が変わっても同じ内容のイベントを30年間続けて開催されています。まず30年同じイベントが続いているってすごい!ですよね。
 なぜそんなに続いているのかっていうところがミソだと思うんですが、まずは歴史的な流れを簡単に説明します。

 

体験フリーの歴史

 
 大元から辿ると、まず、山下和夫さんがアメリカのロサンゼルスのプレイ・マウンテン・プレイス(Play Mountain Place 以下、PMPと略す)というフリースクールに2年間の研修にいったことから始まりました。
 
 このフリースクールは1949年から自分の子どもに良い教育を受けさせたいという親が数名集まって、自分たちが教師になり学校を作ったとこから始まったそうです。
 PMPでは学びと遊びに違いがなく同等に知的価値があるもの、また、主体的に子どもが学び、遊べる場として運営されています。
 その教師であり親である人たちは、どういう教育の方法なら子どもを最高の環境で学ばせることができるかということを勉強しながら作っていきました。多民族の子ども達が自由に学び・遊ぶために先生側はコミュニケーション能力や何か起こった時の問題解決の能力を身につけられるように綿密に仕組みが作られているということです。
 自分の子どものためにと集った熱心な親御さん達なので、教育に対する身の入れようは仕事で他人の子どもを教えている先生以上だったかもしれませんね。
 
 山下さんは2年間PMPにインターンに行って、そこで生まれたい様々なオリジナルの方法を実践的に学ぶ中で、自分の求める教育はここにあると確信したそうです。
 山下さんが日本に帰国後、PMPで体験したことを大人にも体験してもらって、こういう教育の素晴らしさを分かってもらいという想いを持っていたようです。そして、同じ大学で当時からご縁のあった橋本久仁彦さん達と共に、「大人のための体験フリースクール」というこの企画が徳島の上勝町ではじまりました。
 
 PMPで山下さんが学んできたことや山下さん、橋本さんが大切にしていた場の作り方で、大人の参加者と一緒に自分たちも学び、遊ぶという独自のプログラムを作ることになりました。
 一回目の参加者1号であった佐竹昌之さんと橋本久仁彦さんはこのやり方で「もっと遊びたい」ということで「上勝少年探偵団」という同じ構造のプログラムを立ち上げ、上勝では夏に2回、同じ内容の企画が実施されることになりました。
 その後、「大人のための体験フリースクール」「上勝少年探偵団」は夏に両方実施したり、どちらかが実施しなかったりしながら現在30年上勝で毎年実施されています。

 

大人が集って何やってるの?

 
 上勝町に大人が集って何をやっているのか?と気になるところかもしれませんが、それは、

「PMPで子どもたちがどんな過ごし方をしているのか?」

ということのもつながります。
 山下さん曰く、

「PMPでは、学びも遊びも同じと捉えている」
「主体性を育てる教育ではなく、元々主体性はみんなが備えている。ここはそれを取り去らない場」

ということを校長から聞き、自らも体験していったということでした。
 
 この体験を大人にも!と始まった「大人のための体験フリースクール」なので、参加者は主体的に学び・遊びます。
 PMPでやっているように朝にモーニングミーティングをして、スタッフは人の話を聞くなど場を作る時に大切なポイントをおさえながら、スタッフ自身もやりたいことをやりながら過ごします。
 朝のミーティング以外は、参加が必要なプログラムはありません。

 

モーニングミーティング

 

 当然一人ひとりによって体験が全く異なってきます。
 やりたいことをやっているからみんなが楽しい経験をしているかというとそうではなく、

「やりたいようにやるから楽しいことばかりの人がいたり」
「やりたいことがわからなくて悩む人がいたり」
「みんなといることの一体感をかんじたり」
「みんながいる中で一人になることで自分を見つめてみたり」

強要されない場で人が集って、遊び・学ぶだけですが、不思議とそういう環境では自然とその人らしさが現れてきます。

 

主体的に楽しむ

 
 僕は昨年は「最後の上勝少年探偵団」に参加し、今年は「帰って来た!大人のための体験フリースクール」に参加しました。

 

上勝少年探偵団

 

 呼び方は違いますが、参加者側からするとそんなに違いはありません。強いて言うなら、「上勝少年探偵団」には橋本さん、佐竹さんがいて「体験フリースクール」にはそのお二人に加えて山下さんがいるというかんじです。
 何はともあれこの企画が30年続いているというのが凄いところです。
 
 「上勝少年探偵団」が始まったのは、若かりし橋本さん、佐竹さんが「もっとやりたい!遊びたい!」と言って始まったそうです。
 今年の「帰って来た!大人のための体験フリースクール」は、主催したフェンスワークスの若いスタッフの田中聡さん、橋本仁美さんが始まった当初のことを知らなかったので、山下さんの話を聞きたいということがきっかけで山下さんが招待されて開催されました。
 
 この流れをみると、
 
「PMP」は親御さんが「自分の子どものためにいい教育を!」という熱意を持って始まり

「大人のための体験フリースクール」はそこで学んだ山下和夫さんが「大人の人にもこの教育の良さを知ってもらいたい!」という想いを持って初め

「上勝少年探偵団」は橋本久仁彦さん、佐竹昌之さんが「もっと遊びたい!」という情熱で年に2回開催するようになり

「帰って来た!大人のための体験フリースクール」では田中聡さん、橋本仁美さんが「このプログラムのことをもっと知りたい!」という探究心で山下さんを招待して開催されました。
 
 やっていることは実にシンプルに「やりたいことをやる」だけなんですが、ただの「フリースクール」「フリーキャンプ」で「自由にやりたいことをやる」っていうルールだけではこんなに多くの人が何十年も続けてやれないでしょう。
 この流れに関わっている先生、子ども、スタッフ、参加者、それぞれが立場が違ってもそれぞれが楽しいと思ったことを主体的にやっていて成立しているのが何より面白いことだなぁと思います。何十年も受け継がれたヒミツはそこらへんにあるのかもしれません。

 

しまんと大人の休日シリーズ

 
 僕自身も実際に体験して、これは面白いと感じた一人です。その流れで、お決まりのように僕も「これは四万十でもぜひやりたい!」ということになりました。
 上勝町でも何年も実践されている田中聡さんにもスタッフとして入ってもらって、昨年は四万十で「しまんと大人の冬休み」を開催しました。

 

大人の冬休み1

 

 今年は「しまんと大人の秋休み」をまもなく開催します。

 

しまんと大人の秋休み

 

 はじめたのは楽しいから四万十でもやりたいということと、やりたいことをやれる職場の関係を作りたいという、ただの自分勝手な動悸でした。先輩方がそれぞれ自分勝手な動悸で始めてるからきちっと受け継がせていただきました。笑
 実際にやってみると、参加した人達の一体感をグッと感じました。なぜかは分かりませんが、たぶん、その人らしくある関係で繋がる一体感なのかもしれません。

 

大人の冬休み2

 

 お別れの時は本当に長く過ごした仲間と別れるようなかんじがしました。
 
 3泊4日のこのプログラムではただ遊んでいるだけですが、一人ひとりがその人らしくあり、この感覚・関係で続けていけるなら、結果的にそれが仕事であれ、何であれ、一人ひとりが最高の役目を達成することができるんじゃないかと思っています。
 PMPで子ども達が経験していることや、円坐や大人のための体験フリースクールなどで自分たちが経験していることには、人がその人らしくあるという生命的な場が共通してあります。
 そういう環境が今の社会には求められているように感じています。

 

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