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なんでこんなに優しい人ばかりなんだろう。地域特有の風土から「その人らしさ」を探る

2018/03/16


 こんにちは。宇和島市遊子(ゆす)地区地域おこし協力隊の鬼木です。
 協力隊に着任して3か月が経ち、車をやっと入手したり、妻が作ったパンを定期的に地元のお店に置かせてもらったり、生活の面でも仕事の面でもだいぶ慣れてきて楽しむ余裕もできつつあります。
 もちろんまだまだ自分たちだけではどうにもいかないことも多々あります。地域の方々に助けられてばかりなのは変わりません。

 

高松への移住

 

 僕は宇和島に来る前に高松への移住を経験しているのですが、移住のきっかけの一つに「人が優しい」というものがありました。これは大げさでもなんでもなく、どうしてこんなに他人に対して優しくしてくれるのだろうとか、どうして他人のためにここまでしてくれるのだろうかと思うようなことがよくありました。
 お野菜や魚をいただくのはもちろん、その量が半端なかったり、協力隊として着任して間もない頃、仕事を探している妻のために奔走してくださった方もいます。「人」が四国への再移住を決断した要因の一つでもあります。

 

半端ないお野菜の量
半端ないお野菜の量

 

 地域らしさ、その人らしさとはなんでしょう。
 
 思うに、東京の人は~だからとか、関西人は~だからと言った表現をよく聞くことがありますが、今まで僕は単純にカテゴライズしてしまう、もしくはレッテルを無意識に貼ってしまうそう言った表現はあまり使わないようにしていました。しかし地域の風土や文化といった視点に切り替えると、あながち地域性と人間形成は無関係はではないと思うようになりました。
 もちろん個人の個性について簡単にカテゴライズすることはできません。ただ、その土地の風土や文化が人を育てているということを、この地の優しい人々に触れて感じるようになりました。
 
 四国にはお遍路文化というものがあります。「お接待」と呼ばれるもので、遍路歩きをされている方々にご苦労様ですと声を掛け、無償で食べ物や飲み物を提供する思いやりの文化です。このお接待の文化が子供の頃から浸透しているから四国には優しい人々が多いのかなと僕は感じています。
 この人間形成に関わる地域特有の文化について、遊子の場合はどうなんだろうと考えると、そのヒントは漁協の精神から見えてきたりします。
 
 遊子漁業協同組合の運営要綱の一つに「海は地域住民の共有財産」というものがあります。この考えに基づいて、漁場を平等に行使したり漁業施設や養殖数が限度を超えないように制限をしています。
 青年漁業者の年に4回の海底泥調査や海をきれいにする運動、漁協女性部の環境に優しい手作り石鹸を拡める運動も地域住民の相互扶助という考えから活動されており、それが海の自治、村づくりに繋がっています。
 この分け合い、譲り合う精神が遊子の人々に備わっているのではないかと僕は思います。土地に根付く精神そのものが人にも宿っているからこそ、こんなに優しい人達が多いんだなと納得してしまいます。

 

助け合う精神

 

 助け合う精神は海だけでなく段畑にも表れていると思います。あれだけの急斜面での耕作はきっと一人の力ではできないでしょう。互いに協力し合い、支え合ってきた結果、あれだけの風景を築き上げることができたのだと思います。
 遊子の歴史や風土を考えながら段畑を見つめると、また違う光景に見えると同時に何としても守らなければいけないという気持ちになります。
 遊子漁協の運営要綱にはこういった言葉も書かれています。

「人間は孤立しているときは退歩する。社会的関係の中でだけ精神的にも健全な生活が営なめ、そして進歩する」

苦難を乗り越えてきたからこそ言える遊子の言葉には説得力があります。支え合うことで互いに社会的関係を構築し、未来に向かって自らが進歩して地域を作る。
 
 その人らしさとは何か。それは文化であり、風土だと思います。
 僕はこういった風土が根づいている遊子が大好きです。でも移住前に過ごしていた東京も好きです。東京で頑張っている友達がたくさんいます。だから僕は都市部の方が便利でかっこいいとか、地方の方が精神的に充足しているとか張り合うつもりはありません。それぞれに良いところがあり、それぞれに足りないところがある。
 僕が協力隊としてここに来たのは、僕自身に足りないものがここにあると思ったからです。その足りないものというのが「人々との関わり」であったり、「自然との関わり」であったのだと思います。こうやって充実した日々を過ごせているのは、周りの人々のサポートあってのものですし、遊子の大らかに包み込んでくれるような地域性が僕の求めていたものなんだなと感じました。
 
 移住の要因の一つとして「人」を挙げましたが、移住だけではなく、観光の面から見ても「あの人に会いたい」という理由でわざわざ遠出するケースは今後増えていくのではないかと思います。旅先の歴史や文化を予習してその地の人々と接してみるのも旅の楽しみ方の一つになるのではないでしょうか。

 
■参考文献
古谷和夫「遊子の歴史 天と地と海のはざまに生きる」遊子の歴史を記録する会
遊子漁業協同組合「海の心を一つに」

 
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