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「革人」池田崇物語・その6 ~革ぞうりの誕生~

2018/11/01

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執筆者: 池田崇 革人

革ぞうりの誕生

 真面目にコツコツとやり続けると、きっと何かが見えてくるはず。そう頑なに信じ、毎日を無駄なく必死で生きるしかないと思った。革人の主力商品は、もちろん『革ぞうり』。

 

革ぞうり

 

 オープンする前から唯一無二のオリジナル商品の開発が必要不可欠と考えていた。
 そこで閃いたのが、島ぞうりに革を貼るという発想。沖縄で以前から親しまれている島ぞうり。その島ぞうりに牛革を貼って履いたら、足の裏がめっちゃ気持ちいい!!凄く履きやすい!!

 

「よっしゃ!これや!!!」

 

 そこから実験の毎日が始まった。何足か島ぞうりを買ってきて、削ったり切ったりボンドで貼ったり叩いたり。ゴムぞうりであるシンプルな島ぞうりの形はそのままに、どう革とドッキングさせるか? 鼻緒の形は? 革の材質と厚みは? どう固定するか? ボンドの種類は? どんな道具で使って作ればいいのか?
 革を始めて一年未満で、履物に関しても全くの素人。何をどうしていいのかすら分からん・・・。それでもあーでもないこーでもないと何度も何度もトライし、少しずつ良くなってきた。
 そしてオープンから2か月後の2月末に店内で販売を始めた。値段は3,500円。理由は普段ディスカウントショップで売ってる島ぞうりが350円だったので、その10倍の3,500円。

 はたして誰か買ってくれるんか?ドキドキやった。名称を『革ぞうり』とした。

 

革ぞうり販売

 

 3月に入り暖かくなるにつれて、ポツポツと売れ始めた。あるお客さんは、

 

「へぇ~、革の島ぞうりなんて初めて見たわ~。デザインもカワイイし、履き心地もいいね!」

 

と。そういった評価が嬉しかった。
 「もしかしたら、いけるかも!?」と手応えを感じ始めた。と同時に、もしこのまま売れたら絶対に誰かがマネしよるなぁと。俺が命懸けで生み出したこの革ぞうりを、誰かにマネされてたまるか~!ってことで、特許を取ろうと考えた。
 すぐに那覇にある特許庁を訪ね、色々と調べて担当者からも話を聞いて資料ももらった。特許を取るって、素人には簡単なことではない。特許の種類も色々あり、勉強した。

 そこで一番しっくりくるのが『意匠登録』というもの。簡単に言えば、デザインのみの特許のひとつ。意匠登録に限らず特許全般に言えることは、過去と現在に似たような物がないかをチェック。特許庁で申請を出すと、他の方が似たようなものを登録していないかどうか厳しくチェックされ、類似品と判断されたら却下される。
 申請の書類作成も大変で、ハッキリ言って知識がないとかなり厳しい。普通は弁理士等に依頼するのが常識。そうすると、何万円か取られる。申請が通った時も、特許庁に登録費用として約10万円かかる。
 何をするにもお金が必要やなと痛感した。そんな時、ある言葉を思い出した。

 

革人

 

金のない奴は頭を使え、それもなければ体を使え

 

 いかにお金を掛けずしてやれるか?を考えた。色々調べてみると、特許に関する弁理士との30分無料相談があると知り、後日参加した。弁理士さんに色々聞いたり相談したりして、一連の流れは理解した。だけど、申請書類の作り方がどうしても出来なかった。
 そこで後日また30分無料相談へ行き、弁理士に泣きついて頼むと、

 

「もう、仕方ないですねぇ・・・。」

 

と言ってその場でパパっと書類を作ってくれた!ラッキーでした。
 意匠登録の申請&審査には、半年以上かかりました。申請を出してから半年以上経ち、ホンマに承認されるか不安になったけど、無事に承認されて嬉しかったな〜!
 日本中で革の島ぞうり『革ぞうり』が、自分のものになった瞬間やったから。これでめでたく革人の革ぞうりが、唯一無二の完全オリジナルになった。

 それからさらに革ぞうりは売れてきて、すぐに店の看板商品になった。
 この商売を始める前は、『命懸けではやるけど、自分ひとりでとにかくメシが食える生活』を望んでいた。大阪で弁当屋を経営してた時は、激しいお客さんや従業員とのやり取りに疲れ、人間不信に陥ったから。心身共にボロボロになり、逃げるように沖縄へ来た。事実、沖縄へ渡る前日に家族で外食をした際に、姉から

 

「アンタ結局、何しに沖縄へ行くんや?逃げるんか?」

 

と言われ、ホンマに悔しかったけど言い返せなかった。
 あの悔しい一言を糧に頑張った。店を潰さない程度に頑張る。けど、ちょっとずつ売れてくると、「もっと売るためにはどうしたらええか?」って考えるように気持ちが変化してきた。

 

シーサー

 

商売根性に火が着いた

 

 もっと売る為には道具や機械が必要。良い材料を安く仕入れて、しっかりと利益を出そう。スタッフも雇わなアカンな。そうこうしてるうちに商売人としてのハートに火が着き始め、ドンドン欲が出てきた。
 そしてスタッフをひとりふたりと雇い始める。2年目には2店舗目の経営を始め、3年目には3店舗目を始め、それと同時に土地を購入し、1号店である本店を新しく建てた。まさに『イケイケドンドン』! 火が着いたら止まらない。

 普通にやってたら10年ぐらいかかりそうなことを、3年でここまでやった。その間、まさになりふり構わず死にもの狂い。やると決めたらトコトンやってしまう性格。ボチボチから、なりふり構わずへの変化。これはもうラグビーの精神やな。
 練習をボチボチヘラヘラやっていては、試合には絶対に勝てない。何の為にやっているか?によるけど、勝負事はやっぱり勝たないとおもんない。勝つ為には何をすればいいか? 厳しい練習をするしかないねん。
 商売をうまくやる為には? 売上を上げる為には? キャリアもない知識もない、天才でもない凡人が這い上がるには、誰よりも努力をするしかないんや。

 

「自信と信念」へ つづく

 

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    • 池田崇