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「革人」池田崇物語・その7 ~自信と信念~

2018/12/07

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執筆者: 池田崇 革人

失敗

 それでもやっぱり急ぎ過ぎた。自分の意識にキャリアがついて行ってなかった。スタッフもついて来れないようなスピードで走ってしまった。
 2店舗目は3年で撤退し、3店舗目は僅か半年で閉店するハメになった。このまま続けたら、確実に赤字になると思ったから。
 痛い出費と、戻って来ないお金。残ったのは、新本店のみ。新本店はローンを組んでるから、赤字経営はありえへん。チャンスと思って得たものを手放すのは容易ではなく、色々と模索し悩んだ。
 けど、今手放さないと、とんでもないことになるという予感がした。今思えばこの判断が正しかった。
 この失敗を今後どう生かしていくのか?高い授業料を払ったと、後で笑えるか?ここから立て直さなアカンな。遊んでる暇なんかあらへんわ。

 

ソール

 

人生=仕事の図式が確立

 しんどくて辛い事ばっかりでもない。嬉しい事もいっぱいある。商品が売れて売上が上がった時や、「革人の方ですよね?」と、地元のスーパーなどで声をかけられるのも嬉しい。その中で1番嬉しいのは、リピーターさんの存在。

「去年来て買ったが、履き心地が最高!」とか、
「3年前に買った革ぞうりが、こんな感じにいい色に育ちました」とか。

 中には

「1年中コレを履いてます。コレを手に入れてからは、他のぞうりは履けません」

というお客さんまで。そういう声を力に、まだまだもっともっと頑張らないと!
 革ぞうりに関して、開店当時からお客さんとある約束をしている。それは、『修理無料』。鼻輪が切れた・鼻緒が外れた・革が剥離したなど、基本的に修理は無料です。ただし、海には入らないで下さいと。海水の塩分が革を傷めますから。
 ソール(ゴム底)の擦り減りに関しては消耗なんで、消耗の保証まではしません。ソールの貼り替えは、有料にて行います。

 

鼻緒

 

自信と信念がある

 開店して革ぞうりを売り始めて間もなくの頃、あるお客さんにこう言われた。

「修理無料?それは本当か?何年履いても無料なのか?」

そうですと答えると、

「そんないい格好をするなよ。そんな事を言ってたら、やっていけないんじゃないか?履き物で修理無料なんて聞いた事ない」

と笑われバカにされた。
 自分が作る革ぞうりは、簡単には壊れない。お客さんが履き心地の良さを感じ、愛着を持って履いてくれてるんであれば、このままずっと履き続けて欲しい。

「やっぱりぞうりと言えば、革人の革ぞうりやな」

と言われたい。それでも世の中に、壊れない物など存在しない。もし壊れたら直せばいい。お客さんからしたら、直してでも履き続けたい訳やから、そこでお金を取るのは自分のプライドが許さんのですわ。

 

革ぞうり

 

 その時は腹立ったけど、今思えばそれすらも良かったと思える。『簡単に壊れるような物は、絶対に作らない』と覚悟を決めれたから。
 あれから10年、1万足以上は作ったはずやけど、お客さんから変なクレームは一度もない。どんな修理にも、無料で対応して来た。すぐに壊れたら、新品と交換もした。中には一年以上履いて壊れたエイ革ぞうりを、新品に取り替えた事もあった。

 『より頑丈でカッコイイ革ぞうり』を目指し、日々試行錯誤を繰り返しながら、より完璧を追求。その『革人イズム』をスタッフに理解してもらい、継承していって貰わなければならない。
 厳しくも楽しい職場の環境づくりにも意識をしている。今のスタッフだけではなく、新しく入ってくるスタッフにもこの『革人イズム』を理解・継承していって貰わなあかんから。

「客に媚びない」へ つづく

 

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