命に関しての発信について思うこと

顔の写真
執筆者 上田知子
所 属ハンター民宿 BA-BAR

2019/04/12

 こんにちは!鳥取のハンター民宿BA-BARの上田知子(旧姓:梅野)です。民宿受入という手段で、狩猟・ジビエを楽しく発信していこうと進んでおります!

 3月中旬に、女性ハンター議員さんのSNS発信内容が炎上した件がありました。  
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/814695 (←ニュース記事)

 簡単に言うと、

・お腹を開いた後の熊の写真+ノリノリの文章

・解体中の鹿の横で変顔して包丁を持っている写真

の発信内容についてが、「命を軽視する言動だ」と誤解を受けて炎上したという件です。女性ハンターで狩猟・ジビエを発信していこうとしている私がこの話題に興味を持たないはずがない!とにかく全部言葉にするのは難しいのですがいろいろいろいろ思うことあるので、今回はその件をもとに、生き物の命に関しての発信について思うことを書かせていただきます。

 

①私の率直な感想

 まず、炎上した元ネタについての私の率直な感想。熊をとっても丁寧に内臓を摘出されていたり、鹿を綺麗に捌いていたりと、純粋にハンターとして、すごい!!と思いました。

 ただ、解体中の鹿の横で白目で包丁を持っているのは、ちょっと「お、おう(汗)」とは思いました。それはきっと「主観」。「獲物がとれて嬉しい!」とか「獲物を解体して肉にできて嬉しい!美味しそう!」という想いの笑顔で獲物と写真を撮って発信するのとどう違うのか、という基準は非常に曖昧であり、あくまで「主観」。(かくいう私も、私の自分が獣を解体している写真を改めて見返すと、「お、おう、これきっとSNSにあげたら誤解されかねないなぁ」と思うものだってあります。本当にその基準は非常に曖昧)

 そして、炎上した主な理由の、命を軽視している印象に感じる、といわれるのも「主観」。しかし、命を尊重しているからこそあんなに丁寧に獣を捌くことができるのだと思います。その議員さんのFacebookも拝見しましたが、しっかりとした想いをもって狩猟活動にも議員活動にも取り組まれており、決して命を軽視している人とか、いいかげんな人とは思えませんでした。野生動物の解体は、時間も手間もかかり、汗水流して真剣にやります。

 

解体

 

 私は、大変未熟なため、綺麗に捌くことはまだまだできておりません。真剣にやったからといって綺麗に捌けるとは限りませんが、綺麗に捌いておられるのは真剣にやっているからこそのはず。努力する人が成功するとは限らないが、成功する人は必ず努力しているというニュアンス。

 なので、きっとあの発信の裏では、真剣に野生動物の解体に向き合っておられたに違いありません。

 

②いきすぎた批判について思うこと

 多くの人が、「主観」をもって、不快だ!と感じること自体は、それはそれで仕方ないのかもしれません。ただ、批判のやり方がいきすぎていることが多いのも事実。

 ネット等でその案件を検索すると、それ単なる悪口やん!みたいなものが多いし、いい大人がよってたかって1人を叩きまくるという構図で、そりゃ世にイジメがなくならないわけだ、と「ぬぬぬ」と思うのです。

 不快にさせた、命を軽視しているように”見える”ということが、決して人をイジメたり傷つけてよい理由ではない。大変由々しき事態ですが、イジメもいきすぎた批判の構図もすぐに変わるのは難しいだろうなと。

 理解のある人に頼ったり、時には守ってもらったり等、攻撃により致命傷を負わないように進んでいくしかない。(私も昔イジメにあった経験があるので本当にそう思います。)

 

③命に関しての発信の仕方について

 この案件を機に、発信の仕方についていろいろ考えさせられました。とくに、命が関わる物事は、いろいろとデリケート。(もちろんそれでいきすぎた批判をしてよい理由には決してなりませんが)

 例えば、私は家庭というかけがえのない存在をもっている今、自分の大切な存在の命が消えてしまうことの恐れはいつも抱いております。スターウォーズで、妻を失うことを恐れる想いにつけこまれてダークサイドに陥ってしまったアナキンの想いは本当にわからなくもないです。きっと私も同じ状況に陥ったらダース・ベイダーになってしまう気がします。

 事故・事件などで人の命が消えてしまったというニュースを見た時、その人の遺族がどんなに深い悲しみを抱いているだろうかと思うと、大変いたたまれない想いになります。もしかしたら、多くの人も自分や大切な存在な命が消えてしまうことの恐れはいつも抱いているのではないかとも思います。家で動物を飼っている人にとっても、その動物は家族同然なのだと思います。なので、人でも動物でも命が関わる案件だと、いろいろとつなげてしまうのもわからなくはないです。(植物はどうなんだというとキリがないので、とりあえずここでは言及しません。)

 ただ、狩猟とか屠畜場とか、生き物の生死の瞬間と直接関わる人は、これから命を絶って食肉とする動物の命と、人や家族の命とは別に考えて割り切らなければとてもやっていけません。私もそこは覚悟の上で狩猟者になりました。命に関しての私の想いについてはコチラの記事にも書いております。

 

 炎上の案件については、そういったことを割り切れる人には十分理解できるものだと思いますが、割り切れない人が多くいるのも事実で、それで不快に思われたり誤解されたりしたことが炎上につながったのだろうと思います。

 生き物に携われている方が書いた記事で、大変具体的かつ建設的で学びになったものがあります。 http://shark-ricky.com/2019/03/20/chiakikodama_issue/
これを読んでから、炎上案件について私がまるで自分事のようにずっとモヤモヤしていて言葉にならなかった想いが、なんだか腑に落ちた感じになりました。炎上案件の批判については主に、

①そもそも狩猟・肉食自体に対する批判
②狩猟も肉食も理解できるがSNSにあげることに対する批判
③狩猟も肉食も理解できるし、SNSにあげてもいいけど、あげ方に対する批判

に分類されていて大変わかりやすかったです。

 

 ①についてはきっと何を言っても平行線になりそうなので、とりあえずはここでは言及しないでおこうと思います。炎上につながった投稿の目的の「残酷、きたないなどの鳥獣処理の悪いイメージを払拭する」(ニュースより引用)ということについて、それを狩猟・屠畜現場等を知らない人に伝えるためには、ワンクッション置いたり何のためにこの活動をしているのかを一言でも丁寧に説明することで、

 ②③のような意見とも少しでも歩み寄れる可能性が出てくるのだろうか、といろいろ考えさせられました。(本当にいろんな考えの人がいるので理解を得られないこともあると思いますが)

 そういえばFacebookの中で、国際紛争案件で残酷な写真がトップ画像で投稿されている記事にどなたかがいいね!していたので、たまたまそれが目に入り、「惨状を伝えたいのはわかるけれど、いきなりこの写真載せるのではなくもう少しワンクッションほしかったなぁ」と思ったこともあります。狩猟・屠畜現場を知らない人にとって、今回の件をそれと同じように感じた人もいたのかもしれません。

 肉料理が美味しい!というだけではなくて、美味しい肉料理の裏側には、命をいただいている、従事者(狩猟・屠畜をしている人)が汗水を流して取り組んでいる、そのようなことを発信していくにはどのようなやり方がベストなのでしょうか。答えはひとつではないとは思いますが。

 

肉料理

からあげ

 

 人の考えを動かすのは決して簡単なことではないし、批判を批判で返すのも建設的ではないことも多い。私は活動も発信もこじんまりとしか動けておらず影響力もまだまだ小さいのもあり現時点炎上したことはないですが、私はかなりガラスな心なので炎上したらきっと心が砕かれる気がします(汗)。炎上しない、でも伝えたいことを伝えらえるようにどう工夫していくかも考えさせられました。

 改めて、生き物の命に関しての発信がいかにデリケートなものなのかを感じておりますが、動かないと何も始まらないし進まない。私も私にできるやり方でじわじわと発信し、動いていこうと思います。

 

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