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スマホのおかげで生産者と消費者がつながれます ~フルーツ王国岡山の葡萄~

2019/05/10

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執筆者: 小林恵子 えん(縁)もたけ(竹)なわ


  秋になるとやってきます。葡萄のシーズンです。
 
 
 
 
 私の父は、岡山市で約40年以上の葡萄農家です。定年までは、仕事をしながらの兼業農家でした。
父の住む地域では、農業だけで生計を立てる専業農家の数は少なく、勤めに行きながら農業も行う兼業農家の多い地域です。定年退職をしてからは、葡萄作りにますます精を出しております。
 
 
 
 
 そんな父ですが、なかなか葡萄の売り場がなく困っている時期がありました
 
 2011年頃、市場の引き取りは安く、農協のアンテナショップに出荷しようとするも、なかなか難航をしました。というのも、これまでの農家は、市場の規格に沿ったものを、市場の決めた値段で市場に売っていました。
 
 市場が買い取ったものを、卸業者が入り、取引をされた上、スーパーで売られていました。卸業者は、何ヶ所も市場とスーパーの間に入ると言われています。そのたびに値があがって取引をされます。なので、市場での買い取り値と、スーパーの売値には大きな開きがあります。スーパーで買うより、さらに安い値で市場では取引をされています。
 
 規格外のブドウは市場には売れないので、まわりにお配りをしたり、ブドウジュースにしたり、破棄したりしていました。破棄する農作物のない農家はいないといわれています。販路が限られているからです。また、収穫で忙しい時期に、販路の開拓や注文、発注を同時に同じ人が行うことは困難であるとも考えれます
 
 まずは、規格外のブドウを捨てないですむようにしよう、と、農協のアンテナショップに売ることにしました。これまで、市場に販売をしてきた父には、販売については訳のわからないことばかりです。
値段も、パッケージも自由。自由ができると、決める自由もできますが、自分で決めた責任もでてきます。定年後のやや頭が固くなっているときに柔軟な発想も難しいことでした。農協のアンテナショップや色々なスーパーに何度も通いました。
 
 地元の値段や、どんなふうにパッケージしたらおいしく見えるか、目をひきやすいか、などを見て回りました。フリーマーケットに出店をし、お客さんの声を聞いたり、農協のアンテナショップで生産者から教えていただくこともありました。これまでは、ブドウを作ることに専念しておった父でしたが、販売方法を考えることで、買ってくださるかたをより意識するようになりました。それでも、破棄するブドウは、たくさんありました。破棄するフドウがもったいなく、私はフェイスブックのお友だちに呼び掛けました。
 
 
 
 
 少しずつ注文が入りました。最初は慣れておらず、配送の日に合わせて段取りをすること。配送の際の荷造り梱包の仕方、どこの業者にお願いをするのか、発送表、発送のやりとり、支払い方法など、本当に手探りでした。2011年のことでした。少しずつ、販路もひろがり、少しずつ少しずつ軌道にのりました。年々、口コミで買ってくださる方が出てきました。毎年楽しみにしてくださっているのも、父の大きな励みになっております。
 そんな中、家の事情で地元の岡山を離れ、私は小豆島に引っ越しをしました。
 
 
 
 
 毎年楽しみにしてくださっている方もおられます。岡山県のぶどうを、と、県外の方のリピーターの方もおられます。70歳を手前にした父は、ネットを使うことはできません。
 
 生産者である父のいる岡山と、私の住む小豆島。遠隔ながら、私が間に入り、買ってくださるかたと父とを結ぶ役割をさせていただきました。ラインやメール、フェイスブックでご注文いただくと実家に携帯メールか電話で連絡を入れます。
 
注文内容
送り先
送り主
希望の日にち
 
など伝えます
 それをもとに発送をしてもらいました。遠隔であったため不備や行き違いがありましたが、確実に伝わりますよう確認方法も考えました。今の時代は、ネットやラインや電話を通して遠隔でもやりとりができることに驚きます。
 
 
 
 
 スマホ一台あれば、ブドウの注文をいただき、父に連絡、発送させていただく、ができることに驚きます。昭和生まれの私には便利な世の中になったと感じます。浦島太郎のように思えることもあります。
 
 破棄する農作物のでない農家はないといわれています。せっかく手塩をかけて育て、食べられるのに捨ててしまう農作物は、本当にもったいなく思います。フェイスブックなどで、定期的にブドウ畑などの写真を投稿をしております。
 フェイスブックなどを通してブドウを作る過程も知ることができ、父がどのような思いで作られているかを知ることで、ブドウを買ってくださるかたもブドウに思い入れを持ってくださり、より楽しみに、より美味しく感じられているように思えます。
 スーパーに並べられたブドウは、スーパーに至るまでの道筋を知ることはできにくいです。○○さんの作ったブドウというのが、親近感がわき、毎年楽しみにリピートしてくださるのだと感じます。
 
 
 
 
 私の実家では、破棄するブドウが少なくなり、その分多くの方にお譲りすることができ、召し上がっていただける方に喜んでいただき、一石二鳥です。定年後の父の生き甲斐となっています。役割ができ、人様に喜んでいただき張り合いができることは、介護予防にもつながっています。
 まだまだ、改善点はたくさんあります。こだわりを持って作られた農作物の破棄が少なくなりますよう、願っております。
 
 
 

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