東京オリンピックの後を見据えて田舎で暮らすのをおススメする理由(前編)

この記事では、都会に住んでいて田舎に移住しようかどうか検討している人に向けて、東京オリンピックの後の事を考えると、早めに移住した方がよいという風に私が考えている事を書いてみたいと思います。

早めに地方移住をおススメする最大の理由は、住居費を減らす事でより自由度を保ちながら人生設計ができるという点です。地方で空き家を買えば、東京で新築のマンションを買う金額の10分の1ぐらいの金額で済みます。貯金がある人ならキャッシュでも買えますし、もしローンを組んだとしても新車を買ったくらいのレベルで済みます。

東京でこれから新築マンションを買ったとしても、資産価値が今後も上がっていくのかどうかは不透明です。超1等地の一部であれば上がり続ける可能性がないとも言えませんが、平均すると東京オリンピック後、徐々に東京の地価は下がっていくと私は思います。なぜ、東京の地価が下がっていくのかという理由をこれから述べて行きます。

 

日本では人口減少に伴い、空き家の戸数が全国各地で増えています。平成25年住宅・土地統計調査結果(総務省統計局)によると、平成10年(1998)度は全国で576万4100戸だった空き家は平成25(2013)年度には819万6400戸と1.4倍になりました。東京都だけを抜き出してみても、実は空き家数は全国とほぼ同じペースで増えています。

 

図1全国と東京都の空き家戸数の推移

図1全国と東京都の空き家戸数の推移

 

全国の空き家が各都道府県でそれぞれどれくらいあるのかを見ていくと、空き家戸数の第1位の都道府県は東京都で80万戸を超えています。2位は大阪府で70万戸弱、3位は神奈川県で50万個弱です。つまり、大都市圏ほど人口ボリュームが多いため、空き家戸数も多くなっています。

 

図2都道府県別空き家戸数

図2都道府県別空き家戸数 

 

そのような状況のなかで、東京オリンピックを控えて東京では新築マンションを含めて新たな建物が建設されており、近年地価が上昇しています。東京都財政局財産運用部管理課が発行している『平成30年東京都基準地価格』(図3)を見ると、平成20(2008)年をピークに下落していた地価は、東京オリンピック開催が決まった平成25(2013)年を境に上昇に転じ、平成30年には区部の商業地についてはリーマンショック前を上回っています。地価の上昇に比べて消費者物価指数はほぼ横ばいであることを見ると、私見ですが、今の東京の地価の高騰はオリンピックバブルではないか?と考えることもできます。

 

図3平均価格推移(指数)(用途別・地区別)

 

図3平均価格推移(指数)(用途別・地区別)
出所:『平成30年東京都基準地価格』 東京都財政局財産運用部管理課発行

 

東京の地価が高騰する一方で、東京都政策企画局計画部計画課が編集・発行した「都民ファーストでつくる『新しい東京』 ~2020 年に向けた実行プラン~」によると、東京都の人口は2025年の1398万人をピークに減少することが予測されています。

 

図4全国と東京都の人口の推移

図4全国と東京都の人口の推移

 

ただでさえ空き家が増えている東京で、これから人口が減っていくと予測されているにもかかわらずマンションが建てられて続ければ、需要と供給のバランスが崩れる日が来るのではないでしょうか?

消費税が上がるからと言って今のうちに駆け込みで東京で新築の家を買うという事はかなりのリスクがあると言えます。都会で家をローンで買ったとして、今は高いけど今後は資産価値が目減りするとしたら何のためにローンを組んでまで家を買うのかわかりません。加えて大手企業にいても定年まで会社が安泰かどうかは不透明な時代であり、何十年ものローンを組んで家を購入するのはこれから先の日本ではリスクが高すぎます。

一方で、地方の空き家は前述のようにかなり安く手に入ります。知り合いの地域おこし協力隊だった人の中には地域内での人間関係によって家をもらった人さえいます。住宅ローンに縛られて一生をやりたくもない仕事をガマンするくらいなら、地方に飛び込んでしまった方が見かけの収入は下がっても、色々自由に仕事を変えながら生きていきやすいと思います。特に、今後は年々社会が変わるスピードは速くなっており、AIの発達などで将来なくなってしまう仕事も出てきてしまうので、今やっている仕事に固執しすぎると、需要がなくなってしまう可能性もあるため、自由に仕事を変えやすい環境に身を置いておく事はリスク軽減につながります。

 

そうは言っても、地方には仕事がないんじゃないか?という疑問もあるかと思います。確かに、私が十日町市に移住した2010年頃はハローワークに出ている求人情報は月給14万円とかも多く、あまり仕事がないイメージがありました。ただ、団塊の世代が大量に退職した2012年~2014年以降に少し風向きが変わってきました。若い人手が不足してきたのです。私は十日町商工会議所青年部に所属していますが、地域の経営者の方から「(移住者や地域おこし協力隊卒業する人で)いい人がいたら紹介してほしい。」というようなことを言われたことが何度かあります。実際、有効求人倍率も1.63倍(平成30年12月)とバブル期の水準を超えていますので、職種にこだわりすぎず、自動車で通える範囲で探せばとりあえず食べていくくらいの仕事は十分見つかると思います。

 

図5有効求人倍率推移

図5有効求人倍率推移

 

また、地方の方が副業をしやすい環境にあると思います。働き方改革で副業も推奨されてきているように見えますが、都会の大企業では実態として副業はとてもやりづらいと聞いています。ところが、地方では、兼業農家もいますので、副業というものに対する周囲の理解は都会よりも得られやすいです。実際に私の周りにもいくつか仕事を掛け持ちしながら勤めている人がいます。というように、仕事の面についてはとりあえず生計を立てるという観点であれば、「行けば何とかなる」というのが実感です。そして、きちんと仕事をするという評判が立てば、引く手あまたになりますので、仕事を選べるようにもなってきます。

 

という事で、今回は東京オリンピックの後を見据えて、田舎で暮らすのをおススメする理由として、住居にかかる費用をできるだけ抑えつつ、副業を絡めて仕事を柔軟に選択しやすいという点を述べました。次回は、地方移住をするとしたら、なぜできるだけ早い方がいいのかという事についてお伝えしたいと思います。

 

十日町

 

(後編につづく)

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