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いなか仕掛人

社団法人中越防災安全推進機構 復興デザインセンター
チーフコーディネーター 金子 知也

金子 知也

小額支援金支給で地域の共感を呼ぶインターンシップ

取組紹介

ⅰターン留学にいがたイナカレッジ

 中越地震をきっかけに若者世代が市街地に流出することで、地域によっては20年~30年早く過疎化が進んだと言われています。復興を遂げる中で「地域の担い手をこれからどう確保して行くか?」という議論から“インターンシップ”の可能性が注目されました。現在、中越大震災復興基金で運営される復興デザインセンターが、復興の過程で培った地域づくりの手法を学ぶ講義と、現地での実地体験を2本立てとしたインターンシップ事業「ⅰターン留学にいがたイナカレッジ」を運営しています。「農村に入るきっかけづくり」としてのお試し的な2週間のプランと、「そこで暮らすライフスタイルを見つける」本格的な1年間のプランを提供しています。行政のインターンシップ事業や地域おこし協力隊事業の補完的役割も担っています。

社団法人中越防災安全推進機構 復興デザインセンター

入り口としてのインターンシップ、出口としての『移住女子』

 インターンから移住を考える際の大きな課題の1つに“仕事”の確保があります。その解決策の1つとして、移住者が抱く「自分たちが惚れた地域を何とか次世代に残したい」という“想い”を職業に出来ないかというコンセプトで、『移住女子』という取り組みをしています。“自分たちがやりたいこと”や“中山間地の存続につながること”で、若い人が活躍できる場を作ったり、物の販売をしようという活動で、移住した4名の女性で活動しています。主な活動内容は、ChuClu(チュクル)というフリーペーパーの発行や、執筆・講演活動。ウェブやSNS等の各種メディアで活動情報を発信して、そこから農産物の販売につなげたり、企業との商品コラボや、地域プロデューサーという活動を行っています。

入り口としてのインターンシップ、出口としての『移住女子』

 

ココがスゴイ!

適度な負荷で本気度を量る

 インターンのマッチングは1回自腹で現地に来て貰うというハードルを設けて本気度を試します。その上で1年間やっていけそうかどうか、地域と応募者がお互いを見て確認をします。1年間のインターン生には月5万円が支給されますが、地域おこし協力隊の16万円と比べると1/3以下です。月5万円だと、「あの子ちゃんと生活していけるのだろうか?」と、地域の方が手厚くサポートしてくれるので、地域の中に溶け込むことが出来るという理由で5万円に設定にされています。インターンを受け入れる地域にも謝礼として月5万円を支給します。受け入れには月平均8万円くらいかかるので、足りない分を地域に負担して貰うことで、地域の側の本気度も試されます。

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メディア注目度の高い取り組み

 『移住女子』の活動が報道や新聞で注目を集めることで、「イナカレッジ」という名前の露出度も高まっており、全国の大手メディアで特集されるなど、メディア注目度の高い活動が情報発信の面で強みとなっています。県内外で「何か良く分からないけど、中越が盛り上がってるな」という雰囲気を生み出し、インターンシップや移住者で賑わう中越のイメージを発信することで、後に続く参加者が集まるという良循環を生み出しています。
 広告塔的な意味合いの強い移住女子ですが、1人1人がフリーランスとして活動できる能力を持ちながら結束し、自分たちが移住した地域に対する強い想いを原動力に活動しているので、表面上の浮ついたものではない内容の伴った活動になっています。

社団法人中越防災安全推進機構 復興デザインセンター

 

困りごと

中越・新潟だからこそのアイデンティティ

 「人をどうやって集めるか?」ということに日々悩んでいます。月16万円貰える“地域おこし協力隊”ではなく、月5万円のこのプログラムに参加する意味は何のか?という、このインターンの“アイデンティティ”を構築していかなくてはいけない。また、主に情報を届けたいのは「田舎暮らしに興味ある社会人」だが、そういう属性の人がどこかにひと塊になっている訳ではなく、「どこに向かって情報発信すれば狙っているターゲットに情報が届くのか」がまだ見えて来ません。申込者の志望動機でも「新潟県だから参加した」という人はほとんどいないのが現状です。中越・新潟だからこそ経験できるプログラム、楽しさや雰囲気を醸し出し、その情報を適切に届けることで、イナカレッジの募集促進に取り組んでいきたい。

社団法人中越防災安全推進機構 復興デザインセンター

基金の終了とインターン事業の連携強化

 この事業の財源は中越大震災復興基金であり、スタッフもその復興基金で雇われています。復興当初からの地域づくりに役立ってきた反面、平成26年度で同基金が終了する予定となっています。いかに日常施策として、このような事業を継続していけるかということを模索しているところです。そのような状況ではあるものの、このような事業の必要性が徐々に地域や行政などにも認知され始めているので、今後、いかに地域や行政を巻き込み、“オール中越、オール新潟”として財源や実施体制を整備していくかが課題です。

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本ページは、平成25年度 地域をフィールドとした産業人材受入のための環境整備のあり方に関する調査事業(実施:四国経済産業局)において調査した時点のデータを活用して作成したものです。