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いなか仕掛人

株式会社ジブンノオト
代表取締役 大野 圭司

大野圭司

子どもたちが島に戻りたくなる教育

取組紹介

周防大島町立東和中学校コミュニティ・スクール コーディネーター

 大野さんは「教育から郷育」を理念に、将来地域を担う10代の起業家精神を育む、実践型キャリア教育事業を地域内外で展開しています。2010年からは島の中学校が「地域とともにある学校づくり」を合言葉にコミュニティー・スクールを実践しており、そのコーディネーターを担い、「起業家精神を育む」をテーマに総合的な学習の時間を使って実施されているキャリア教育の授業づくりを学校の先生と共に行っています。
 例えば、子ども達が、資金を1株500円として保護者から集め、それを資本金に道の駅で商品販売するということをやったり、そういった取り組みに学校の先生も、その授業を参観日にやろうと提案してくれたりと、コーディネーターからの提案を学校側も受け入れてくれ、逆にコーディネーター側への提案をしてくれたりと民間のコーディネーターと学校がとてもよい関係で取り組みが展開されています。この取り組みが評価され、2013年にキャリア教育優良学校として文部科学大臣表彰を受賞しました。
 将来、周防大島にUターンしようと思っても、自分で仕事を創るくらいの心と力がなければUターンはできない。その力を、中学生の頃から意識的に養うのが、地域とともにあるコミュニティ・スクールの魅力です。

起業家養成塾「島スクエア」コーディネーター

 2007年~2012年の間、文部科学省より大島商船高専が事業委託を受け、島の地域資源を活かして起業する人材を育成する主に社会人を対象としたプログラムで、今すぐに起業したい、近い将来、周防大島で起業して地域活性化に貢献したい、という大人たちが出会う場所となり、のべ191名の修了生を輩出しました。そして、UIターン起業家たちが集う交流会では毎回50人以上の仲間たちが集まるようになり、島おこしの機運が高まっています。 また、2011年には、「周防大島UIターンを応援する会 島くらす」をUIターン者が中心となり立ち上げるなど、定住促進の取り組みにもつながっている。

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ココがスゴイ!

地域と共に、子どもたちを育てる

 学校に関わることは、ほぼボランティアで関わることが多い。それでも「子どもたちは地域の宝、地域の未来のために」と思い続け諦めることなく関わり続けるその姿勢は、地域の大人が学ぶべきところではないでしょうか。そして、学校の先生にはできない教科以外のところで、民間人が関わってどう継続的にやり続けられるかを模索しながら取り組んでおり、学校や教育委員会との信頼関係もしっかりとつくりながら、たえず提案しています。学校教育を変えていく取り組みは難しいことではありますが、この取り組みが、将来のUターンにつながる取り組みになるのではないかと考えられます。

人口増加の奇跡の島

 周防大島は、過去2年間毎年500人以上のUIターン者が転入して来ているという現象が起こっている奇跡の島で、その中には、起業に挑戦する若者も増えており、島の柑橘ジャムで六次産業化したり、島産の養蜂家、島産のオイルサーディン生産者、空き家を活用した建築家、定住支援ファイナンシャルプランナー等様々な事業を生んでいます。また、Iターン者でも完全なIターンではなく、両親や祖父母の故郷が周防大島だという若者も増えており、温暖な気候、瀬戸内の多島美な風景、20代・30代の田舎志向、既にUIターン者が多いという事実等、が相乗効果を生んでいると考えられています。

株式会社ジブンノオト

 

困りごと

子どもをキーワードに島を一つにまとめたい

 島という小さなコミュニティの中では、地域のしがらみが多くあり、目立った取り組みや新しいことをすると、それを気に入らない人が現れ、足を引っ張られるようなことをされることが起こり、なかなか一つにまとまりません。しかし、子どものことであれば、地域が一つにまとまるのではないかと考えています。そうやって、子どもの教育について、地域が一体となって取り組んでいけるような仕組みを周防大島でつくっていきたい。

教育事業でどう稼いでいけるようにするか

 ボランティアに近い形で関わることが多くなってしまう教育事業をしっかりとした産業にして、稼いでいける仕組みをつくりたい。そういったビジネスモデルを考えて、実践していきたいと考えています。夢は、この島を「学びのリゾート」にしたいと思っています。単なる観光業ではなく、学びの要素を取り入れた体験プログラムやツアーなどが展開され、更に町立大学を創設し小中高を附属化した日本の「郷育」モデルとなる島にしていきたいという夢を持っています。

株式会社ジブンノオト

本ページは、平成25年度 地域をフィールドとした産業人材受入のための環境整備のあり方に関する調査事業(実施:四国経済産業局)において調査した時点のデータを活用して作成したものです。