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働きながら中山間地域の農業技術を学ぶ!しまんと農業研修生

働きながら中山間地域の農業技術を学ぶ!しまんと農業研修生

 日本最後の清流・四万十川。その中流域で、3年間の中山間地域の農業技術を働きながら学べる研修プログラムが2017年4月からはじまりました。
 中山間地域ならではの、複数の作物を育てる「複合経営農業」ができる農業者になることを目指して3年間学び、その後は高知・四万十で農家として独立すること、もしくは同地の企業や農家へ就業することがゴールです。

 なんだか「地域おこし協力隊」にしくみが似ているな、と思いましたか? そうなんです、これは民間版の地域おこし協力隊と思っていただいてもいいかもしれません!

 このプログラムで実際に栽培するのは、四万十栗・四万十茶・四万十川流域野菜(里いもやナバナなど)。さらには栗やお茶の加工作業まで働きながら学びます。

 農業(1次産業)に携わる人が、その生産物に付加価値を与えて加工し(2次産業)、販売する(3次産業)ところまでを行う「6次産業」が推奨されて久しいですが、四万十では地域の農家・企業が連携しながら、中山間地域で6次産業化が実現できている先進地域です。そのノウハウを学び取って欲しいというのがこのプログラムの狙いです。

四万十川

中山間地域ならでは 生業を複数持つくらし方

 このプログラムが生まれた背景のひとつには、四万十川中流域の「地形」があります。この地域は「中山間地域」と呼ばれる、山あいの傾斜の多い土地。農地の多くは、棚田や段々畑、傾斜をそのまま利用した果樹畑です。
 お茶や栗、原木しいたけ、柚子などがこの土地の地形と気候に適していて、さかんに作られています。

 広大な農地を使って大規模な農業ができる平地に比べると、山間部ではどうしても、ひとつひとつの農産物の収穫高が小さくなります。そこで、この土地では昔から、春はお茶、秋は栗、というように、季節ごとにさまざまな農作物を作る「複合経営農家」が多いのです。

 今回のプログラムでも、この土地に根ざした「複合経営農家」となるべく、季節に合わせて複数の農産物を組み合わせて栽培する技術を学んでいきます。お茶・栗・野菜とそれぞれのプロ農家が先生として指導にあたりますので、ひとつひとつしっかり学びつつ実践できます。

農作物の受け皿=地域商社と魅力ある加工商品たち

 背景の二つ目には、この土地ならではの地域商社『株式会社四万十ドラマ』の存在があります。住民株式会社として運営されている同社は、四万十川中流域の特産品の魅力を再発見し、全国にその販路を広げてきました。

 地栗のモンブランやロールケーキ、しまんと緑茶に紅茶など地元産の食材を活かした商品は、現在では百貨店の店頭にも並んでいます。また2007年に開業した、四万十ドラマが運営する『道の駅四万十とおわ』は今や年商2億円規模を誇るまでになっています。

 地元の特産品を活かした商品づくりや、販売のお手本としても語られることが多くなった四万十川中流域。ここまで地域生産者と四万十ドラマが二人三脚で作り上げてきた商品と販路ですが、原料となる生産物が足りなければ成り立ちません。
 この地域も、国内の他の地域同様、第一次産業の後継者が慢性的に不足しており、商品が売れているのに生産が追いついていない状態なのです。

 このように、生産物を地域商社に卸せるしくみが既に確立されていて、なおかつ生産が待たれている状態のため、就農者が売り先に困ることなく、経済的に安定しやすい利点があります。また商品開発や販売についても、四万十ドラマに蓄積されたノウハウを直接見て、学ぶことが可能です。

四万十ドラマの商品

農業技術をご指導頂ける先生たち

この研修プログラムの先生は、こちらの3名です。

●四万十栗・・・伊藤直弥さん

伊藤直弥さん

一般社団法人栗のなりわい総合研究社・代表。郷土菓子の栗きんとんの産地として知られる岐阜県恵那市で栗の剪定を学び、現在は四万十で栗の栽培および栽培指導にあたっている。

●四万十茶・・・矢野健一さん

矢野健一さん

四万十町十和出身。地域の農家60名余からなる「広井茶生産組合」中心メンバー。お茶の加工をメインに、地域のさまざまな仕事に携わる。

●四万十流域野菜・・・桐島正一さん

桐島正一

四万十町十和にて無農薬、無化学肥料で70種類以上の野菜作りを行う「桐島畑」代表。畑だけでなく加工所を持ち、自家栽培の生姜を使ったジンジャーシロップなどを作り、販売までを一貫して行っている。

お茶の先生は四万十暮らしのエキスパート

 代表して、お茶の先生である矢野健一さんに今回のプログラムについて、そして四万十暮らしについて伺いました。

 矢野さんは、四万十・十和生まれ。就職で一時、関東へ赴きましたが、長男ということもあり22歳のときにUターン。以来、お茶を中心とした複合経営農家として四万十に根を下ろし、地域の頼れるお兄さん的な存在です。二児のパパでもあります。
 現在は、「しまんと緑茶」「しまんと紅茶」を生産している広井茶生産組合の中心メンバーとして、60名ほどの地域のお茶農家さんとともに組合を構成し、しまんとブランドのお茶を栽培、加工しています。

紅茶

-健一さん、お茶づくりの一年ってどんなサイクルなんでしょうか?

 「お茶の栽培でとにかく忙しいのは4・5月の一番茶の時期。その時期は、毎日、お茶摘みと加工を同時にやっていく。その日に摘んだお茶は、その日に揉んで、蒸して、って加工せにゃいかん。
 摘み取りが終わったら、〈刈りならし〉っていう工程。次の摘み取りのときに、キレイに刈れるように整枝する作業。そうしちょかんと、お茶の芽が一定に出てこん。ばらついたら、手で取るにしろ機械で取るにしろ、量が取れんがよ。余分な葉っぱとかも混ざりやすいし。
 刈りならしが終わったら、その後、6月半ばくらいから7月いっぱいが次の二番茶の摘み取り。うちはそれを紅茶にしよるね」

刈りならし

-道の駅「四万十とおわ」の店頭でも、紅茶は大々的に展開されていますね。ペットボトルもそうですし、紅茶のロールケーキや大福とか。

 「紅茶はいくら作っても、足りない状況やねぇ。道の駅ができるときに製品化して、もう10年。そこからある程度のブランド力に育ってきて、それがちょっとずつ定着して売れてきてって感じやね」

しまんと緑茶焙茶

-緑茶と紅茶と、同じ茶葉なんですね。加工の工程はどのようにちがうのでしょうか。

 「緑茶は不発酵だから、発酵させないために最初に火を入れて、蒸すけんね。紅茶はうちの場合は、じわじわと低い温度で乾燥させる。そうすると発酵が止まらずに進みゆうがやき、ワインらといっしょで、熟成させたほうが、美味しくなる。

 紅茶でも、ものによっては、どーんと高い温度まで上げてしもて、発酵を止めるところもあるけど、うちは発酵が止まらない。だから置いておくと濃くなって、香りも強くなっていくね。この間、8年前の紅茶が出てきて。湿気でカビたりしてなければ大丈夫だから飲んだがやけど、かなり濃くて、もともとの味と全然変わってきちゅうね。

 紅茶の摘み取りと加工がだいたい6・7月。そのあとまた刈りならしをして。昔はそのあと三番茶とか、10月頃に秋冬番茶っていうのがあったがやけど。今はやってないので、お茶は7月末でだいたい終わり」

しまんと紅茶

-今回の研修プログラムに参加すると、お茶に関してはどのような働き方になりそうでしょうか。

 「工場での加工よりも、お茶摘みや刈りならしの農家の方の仕事が中心かな。でも、自分たちが摘んだお茶がこういう風に加工されて売れていくよっていうのを知ってもらうために、工場も一通り見てもらって。
 あとは、お茶の淹れ方も教えます。道の駅とかで、お茶をその場で淹れて、お客さんに飲んでもらいつつ売ったりできるように」

-お茶が一段落した、夏以降の健一さんの過ごし方はどんな感じですか?

 「夏は四万十川で鮎を取って、売って。友釣りか、網で。あとはウナギやエビも取るね。それで秋は栗をペーストにしたり渋皮煮や甘露煮をつくる加工場を手伝ったり、集落の人たちの稲刈りを手伝ったり…」

渋皮煮加工現場

-高齢化で、稲刈りのお手伝いの需要がたくさんあるんでしょうか。

 「そうそうそう。地域で買ったコンバインがあって、それであちこち頼まれたところに行って、刈っちゃる。去年は十数軒行ったね。そういう季節ごとの仕事がたくさんあって。今からだと、柚子の収穫とか、草刈りとか、そういう仕事がさらにどんどん出てくるね」

-四万十に来たら、仕事も遊びもたくさんありそうですね。

 「そうそう、魚とりをしたり、川で泳いだり。夏にいちばん盛り上がるのはハヤ釣り。人を連れて行ったら、みんな夢中になって、やめないくらい。秋は鯉釣りもできるね。山が合う人は山登りもできるし、資格を取って、山でイノシシ猟しよう人らもおるし。鮎とりも、漁業権さえ買ってもらえれば、とった鮎を販売してもらって収入にしてもええわけやし」

-農業だけでなく、猟とか漁とかを組み合わせて生計を立てることもできる。

 「そうそうそう。いなかの人は、ずっとそうやってきよった。自分もお茶の先生というより、川でじゃばじゃば遊ぶ方の先生かな。せっかくこっちでくらすがやったら、そういう遊びもせんと」

矢野健一さん

 3年間、矢野さんの近くにいたら、お茶の仕事はもちろん、地域での生活丸ごとから学べることが無数にありそうです!

参加する皆さんをサポートするコーディネーター

研修プログラムに参加する皆さんをサポートするコーディネーターはこちらのお二方です。

●株式会社四万十ドラマ 刈谷貴泉さん

刈谷貴泉さん

-刈谷さんは、高知市から四万十・十和にやって来て7年目。㈱四万十ドラマで働き、奥様と2歳の娘さんと3人で暮らしています。

「子どもが少ないのかなと思ったら、近所に同世代の子どもがいっぱいいるんです。なので親同士のつながりもあって、一緒に遊べて、いい環境だな、と思います。
 生産者の方から、野菜とかをもらう機会もすごく多くて。子どもがいるので食材がもらえてうれしい、というのはもちろんですが、そういう関係性があることがうれしいですね。子育て世代の方もぜひ参加してほしいです」

●一般社団法人いなかパイプ 佐々倉玲於さん

佐々倉玲於さん

-佐々倉さんは、一般社団法人いなかパイプの代表として、これまで多くの研修生のコーディネートに携わってきました。

 「四万十川中流域の地域商社モデルはいま、全国から注目を集めていますが、次は一次産業の部分で新しいモデルを作るタイミングだと考えています。特に、中山間地域の新しい働き方をいっしょに模索して、作りたいという人に参加してほしいな、と思いますね。
 農業というと、何か野菜を作ることに専念する、というイメージが強いですが、ここでは野菜も作るし、お茶も作るし、栗も育てるし、加工場へも働きに行く。矢野さんのように、そうした複合経営で暮らしているモデルがいます。その人たちを先生にしながら、農業技術を習得した上で、さらにITスキルなど参加する人それぞれの強みをかけ合わせて、自分なりの働き方を作ることも可能だと思います。
 この地域は「いなか」でありながら、閉鎖的ではなくて、外部の人との交流もさかん。そうした環境で積極的に接点を作って、可能性をどんどん試してみてほしいと思います」

3年間で目指すところ

「しまんと農業研修生」は、農業技術を学ぶだけの研修生ではなく、有期の雇用契約を一般社団法人いなかパイプと結んだ上で、業務内容を決め、仕事として農業に従事して頂くことになります。そして、3年後に独立できるだけの農業技術を身につけて頂くことを目指して実施する取り組みです。
 研修生のサポートは、株式会社四万十ドラマ、合同会社広井茶生産組合、桐島畑、一般社団法人栗のなりわい総合研究社、しまんと新一次産業株式会社、JA高知はた北幡営農センター、一般社団法人いなかパイプなど地域の農業者・事業者が連携して行います。

 農業未経験者の方も、自分で農業をやっていけるか不安な方も、3年間という研修期間中に実際に農業をやってみて、将来やっていけるかどうか検討することができます。
 そして、独立してやっていける!と自信がつき、覚悟が決まれば、いつでも卒業ができます。そうして新規就農を目指す方には、行政の補助制度など支援を受けることもでき、初期投資費用を減らしながら独立する道があります。
 また、独立する以外の道として、連携している地域の企業や農家に就職する道ももちろんあります。
 このように「生きていける農業」が、四万十にはあります。中山間地域の一次産業の未来のために、一緒に学び、働きましょう!ご応募をお待ちしています。

募集要項

求人名 しまんと農業研修生
業務内容

●四万十栗の生産に向けた農作業(剪定・選果・施肥・草刈・収穫など)や栗園管理業務
●四万十茶の生産に向けた農作業(お茶摘み・刈り慣らし・草刈など)や茶園管理業務
●四万十川流域野菜(ナバナ・さといもなど)の生産に向けた農作業(土づくり・定植・施肥・収穫など)や農地管理業務
●栗の加工場での1.5次加工(栗ペーストづくりなど)業務
●お茶工場での製茶作業や紅茶づくり業務

雇用形態 一般社団法人いなかパイプ 契約職員(常用雇用)
派遣先
(勤務先)

株式会社四万十ドラマ(高知県高岡郡四万十町十和地区)
●しまんと新一次産業株式会社(高知県高岡郡四万十町十和地区)
●合同会社広井茶生産組合(高知県高岡郡四万十町十和地区) ほか

契約期間 契約の日~3年間(契約終了後は、農家として独立するか、関係各社へ継続雇用されることを目指す募集になります)
勤務時間 基本8:00~17:00(季節や業務内容によって変動する1年単位の変形労働時間制、休日:年間105日)
福利厚生 ●社保完備(雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金保険)
●栗・お茶・野菜・加工・販売などの農業経営技術指導
●面談や会議でのメンタリングサポート(月1回程度)
●宿舎あり(利用料3万円/月。敷金礼金なし、水道光熱水費・wifi利用費込み)
●住居探しサポートあり
給  与 基本給150,000円(月給制)
採用人数 2017年度1名、2018年度以降3名
応募条件 ●中山間地域に暮らしながら、一次産業に従事していく意欲がある方
●地域づくりに関心があり、農業のこと・地域のことを学ぶ意欲がある方
●コミュニケーション能力を有し、人と協力し合って物事を進めることができる方
●どんな業務でも学ぶ視点・意欲を持って取り組むやる気を持った方
●一次産業に携わったことがあるような経験者大歓迎(未経験者でも可)
●農作業をするための体力に自信がある方
●普通自動車免許をお持ちで、仕事場まで車通勤できる方
応募書類 ●履歴書
●作文(A4用紙 1~2枚以内)
テーマ:現在の私と10年後の私
※応募書類は返却致しません。選考が終わり次第破棄させて頂きます。
選考方法 ステップ1:エントリーフォームよりエントリー

ステップ2:電話にて募集条件等確認後、応募書類送付

ステップ3:書類審査

ステップ4:面接審査(電話・スカイプ等にて面接)

ステップ5:インターン(研修生)として1ヶ月程度、現場体験をして頂き、業務が続けていけそうであれば、そのまま採用・契約(インターン中は無給になりますが、宿泊費用は不要です)
募集期間 ●定員に達するまで募集
●業務開始は随時
●定員に達した後も、この職種への仕事を希望する場合は、ウェイティングリストへの登録をお願いします。
問合せ 一般社団法人いなかパイプ
(特定労働者派遣事業・届出受理番号 : 特39-300209)

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