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とある役所の意見聴取で「いなかの問題は何だと思いますか?」と質問されて「問題があるのは都会の方だと思います」と答えたはなし

2016/04/01


 

 こんにちは。お彼岸を過ぎましたが、まだまだ寒うござんすねえ。対馬のいなかベンチャーMITの冨永です。

 1月の大寒波では我が家のトイレが凍ってしまい、危機一髪の大ピンチでした。(トイレで石油ストーブを炊いて解決しました) 対馬では、お風呂が凍った人、キッチンの水道に氷柱ができた人など、めったにない体験があちこちから報告されていました。

 

風呂

氷の張った湯船

 

 

 そんなてんやわんやが起こる前、年明け直後に東京の方から呼ばれまして。用務は国土交通省の「離島振興のあり方検討委員会」の有識者ヒアリングとのこと。ふふ。有識者ですって、笑っちゃうよねー。うふふ。

 一般的に、役所が選ぶ「有識者」と言えば、自治体の首長さんとか大学教授とか大きな企業・団体の偉い人とか何しろ「偉い人」で、「変なことを言わない人」が選ばれるものですが、何故かわたくしに白羽の矢が立ったようです。

 いえ、何故かと言えば、古巣だからでしょう。3年前に働いていた部署なので、あいつなら何を聞こうとしているか事情を酌んでくれやすいはずだ、という期待があったのではないかと過去の経験から勘ぐっております。

 

離島振興課

なつかしのあの部屋へ

 

 

 ところがどっこい、ヒアリングが「なぜ対馬に引越したのですか?」から始まったもので、のっけからヒートアップですよ。「いや~、離島振興課で働いてるときに島で暮らしたくなってしまったので、むしろわたくしは、なぜみなさんが島に引越さないのか疑問です」と答えたり。

 もちろん、家の事情とか家族の合意が得られず、引越したくても引越せないのかもしれません。しかし、過去60年の離島振興課の歴史の中で、自主退職して離島に移住した人は(たぶん)1人しかいないので、、、おそらく、家の事情や家族の反対で引越せないというより、そもそも移住したいと思っていないのではないか、と推測しております。

 つまり、「なぜ(便利でみんなが住みたいと思っていて実際人口が増えている)都会から(不便だし人口が減り続けている)いなかに引越したのですか?」と思っての質問なのでしょう。むむー、これでは話が噛み合いません。どこまで行っても平行線。

 

電気柵

電気柵のように、どこまで行っても平行線(触ればビリビリ)

 

 

 しかし、そんな回答ばかりしていたらヒアリングに呼んでいただいた意味がないので、ちゃんと参考になりそうな答え方をしつつ、ヒアリングは佳境に差し掛かりまして、ついに今回のタイトルになった質問をされたのです。

 「離島の問題点って何だと思いますか?」に対して、「問題があるのは都会の方だと思います」とお返事したのでした。という訳で、今回はこのネタでいなかマガジンを書こうと思ったのです。すみません、前置きが長くて。

 

 さて、わたくしも離島振興のお仕事をしていた時は、離島はどんどん人口が減っている、問題だ~という前提でおったのですが、今思うとちょっと変ですよね。確かに、いなかから都会へ引越す人が多くて、過疎→過密という流れがずーっと続いていて、それが社会のゆがみを拡大しているとは思います。

 例えば、対馬市の人口が32,519人。大都会の象徴、東京都世田谷区の人口が883,776人ですって。その差は27倍以上。スゲー!一方、対馬の合計特殊出生率は2.18ですよ。そして世田谷区は0.92ですって。いなかで子供が生まれ、やがて都会に出て行ってしまう。

 

さようなら~

さようなら~(写真はイメージです)

 

 

 この現状を「いなかの問題だ」と捉えるか「都会の問題だ」と捉えるか。わたくしは、もしかしたら都会にとっても大きな問題じゃないのかと思い始めたところです。もちろん、人類の進化、経済の発展、生活の向上という切り口で考えたら、人口集積が進むのは当然のことです。そして、人口集積が進めば生活は便利になるし、便利なところに人が集まるという循環も当然のことでしょう。

  ところが、いつの間にか集積が過度に進んでしまったことによって、弊害が現れていると思うのです。その最たるものが「出生率は低いのに長い待機児童の列」ではないかと。近頃では、待機児童が増えすぎて保育所を新設したいのに、近隣住民が反対して保育所が建てられないなどというニュースまで聞こえてくる始末。

<参考記事:保育所 役所駐車場に建設 待機児童に悩む東京・目黒>

http://mainichi.jp/articles/20160220/dde/041/010/034000c

 

保育園落ちた日本死ね!!

「日本●ね!!!」かよ、「都会●ね!!!」じゃねーのかよ

 

 

 そして、「人の多さ、GDPの大きさに対して極端に小さい一次産業」も気になるところです。5年前の大地震の直後、一日も経たずに都心のスーパーやコンビニの棚から食料が消えたことは、一生忘れないでしょう。無理やり都会で農作物を作る必要はないかもしれませんが、いつ食べられなくなるか分からない生活って問題ありませんか。

 現実的には、就職先が無い・やりたい仕事が無い・いなかが嫌など、様々な理由で都会への人口流出が続いているのでしょう。都会で育っていなかに移住した者としては、やはりやきもしきてしまうところです。

 頑張って都会で働いているけれども、家賃を払うのが精いっぱいの生活なんて嫌じゃないですか。待機児童の列や食糧生産だけじゃなく、満員電車とか孤独死とか狭い家とか、何でもあるけど何にでもお金が必要だったり、都会の問題だって、数えたらキリが無いですよね。

 

馬

都会って、、、

 

 

 最近、「田舎バンザイ記事は、田舎から人が出ていく理由を考えていない」との批判が一部の論客から発せられているようですが、いなかに移住した者の意見としては「都会で批判している人こそ、都会の問題を考えていない」と言い返したいのです。

 もちろん、「都会は問題が多いから都会に引越すのをやめましょう」と宣伝するのは変だし、そんなことはすべきじゃないと思います。

 でも、「いなかはのんびりしてそう」等の浅はかな勘違いでいなかへ移住するのを避けてもらいたいのと同様に、「都会は便利で生活しやすい」という思い込みで人口流出が続いているのだとしたら、もう一度考えてみてもらいたいのです。

 

生き馬の目を抜く

生き馬の目を抜くなんて、ひどい!

 

 

 待機児童問題を解決できない自治体で、ずっと暮らしてゆくのでしょうか。自治体が保育所を建てようとしても「迷惑施設だ」と反対運動が起こるような地域で、末永く幸せに暮らせますか。

 都会に限ったことではありませんが、内田樹さんが共同育児の仕組みを例に、これから高齢化・少子化・貧困化していく日本で、生活の質を保ち、愉快に暮らすためには『共同体ベースの生活にシフトする(地域の人々による相互支援・相互扶助する小規模コミュニティの形成)しかない』と書いておられました。 [TURNS vol.16 2016.4]

 近頃は「民泊」や「ライドシェア」などのシェアリングエコノミーが都会で注目を集めているようですが、いなかには従来から、SNSや通貨を介さずに成立する「食べ物のおすそ分け」や「相乗りでお買い物」や「持ち寄りで家呑み」など、豊かな分かち合いの生活・文化があります。

  「都会は冷たいけど、いなかには人情味がある」などと今さら紋切り型の主張をする気はないのですが、「いなかのご近所づきあいが嫌だ」と都会へ出ていった人たちも、今やシェアリングエコノミーに価値を見出しているのです。だったら、わざわざ都会に出て行かなくても、いなかで分かち合いの生活をしませんか。

 

 などなど、独身者が待機児童問題を語るなんて、それこそ見当違いの暴論かもしれませんが、待機児童問題を切り口として、都会といなかの暮らしを考え直してみてはいかがでしょう、という提言でした。子育て世代の移住なら、どこの過疎地でも大喜びで相談に乗ってくれることでしょう。

 という訳で、対馬北部で子育てに奮闘するお母さん方がプロデュースする『世界にひとつだけの贅沢なラグジュアリー』Tsushima Pearlをネットからお手軽に注文できるようになりますよ~。

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TsushimaPearl

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