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美味しい魚を食べ続けられるために僕ができること2

2016/04/20


  漁業協同組合の准組合員となり、漁業者を名乗れるようになりました。地方活性化、地方再生に関わる記事で漁業をテーマにしたものが少ないように思いますので、漁業を行うための手続きを紹介したいと思います。

  まず、漁業を行うためには漁業協同組合に加盟し、組合員になる必要があります。組合員になるための手続きは以下の通り。

 

対馬 漁業 MIT

 

 まず漁業協同組合へ行き、申請書を入手します。申請書に必要事項(住所や氏名など)を記入し、住民票とともに提出します。すると漁業協同組合の中で審査があり、通過すると以下のような通知が郵送されます。

 

対馬 漁業 MIT

 

  僕の場合は申請してから承認通知が郵送されるまで1ヶ月ほどかかりました。判定に異議がある場合は異議申立ができるようですが、承認されているので特にその必要はありませんでした。

 出資金は漁協によって額が異なるようですが、数十万円とそれなりに高額です。この承認通知と出資金を持って漁協へ行き、出資金を収め、晴れて組合員となることができました。

 ワカメやヒジキ、ウニ、ナマコ、アワビ、サザエなど、磯で獲れる資源についてはそれぞれ漁期が設定されているので、これらの漁期が記された書類を組合員腕章(最初の写真)とともにいただきました。晴れて組合員となりました。これで、漁獲を行い、漁業協同組合を通してそれら漁獲物を売り、収入を得ることができるようになりました。

 

 漁業権を得たわけですが、僕は漁師を長期的に続けていくつもりではありません。僕が対馬に来て、ここで成し遂げたいことは、水産業システムの再構築です。

 漁師さんの収入が今よりも高い水準で安定し、魚を過剰に獲らずにすむような持続可能な漁業システムを構築することを目指します。そのような漁業になれば、後継者問題は今よりも改善されるはずです。つまり、漁業そのものに従事するのではなく、漁業のシステムの改善を仕事にしていきたいと思っています。

 

 とはいえ、今は漁師さんと一緒に仕事をして、この仕事を理解することが大切だと思っています。

 日頃から漁師さんとコミュニケーションをとる中で、僕は自分のアイデアについて話します。そのアイデアというのは、多くの仲買を通して消費地に生産物が届く今の流通を見直し、なるべくシンプルな流通で速く消費地に送るというものです。仲買を通せば通すほど中間マージンを取られ、漁師さんの手元に残るお金は減りますから、シンプルな流通にするだけでも漁師さんの手取りは増加します。

 また、速く消費地につくというのは、鮮度命の水産物ではそれだけで付加価値になるので、単価は必ず上がるはずです。このようにお話をすると、「それはいい話だね~。」と多くの漁師さんは耳を貸してくれます。

 

対馬 漁業 MIT

 

 ただ、アイデアはアイデアのままです。アイデアが何かを生み出すことはありませんでした。ここは僕としては誤算でした。良いアイデアを披露したら漁師さんがすぐに協力してくれるだろうという、いま考えれば甘過ぎる見積もりをしていたのです。

 漁師さんは、いまのシステムに合わせて生活のリズムを作っています。僕のアイデアに協力するためにこの生活リズムを変えるのは並大抵のことではありません。(そのことも一年漁師さん達とお付き合いしていく中でようやく理解できたことでした。)このように僕が持っているアイデアを誰かにお願いして試してもらうというのは、とてもリスキーなものに思え、それならまずは自分でやってみるしかないという結論に達しました。

 

 まず自分で魚を獲り、既存の流通とは違う流通で消費地に送ることで収益にどの程度の差が出るのか。また、その流通を採用した場合、どのような生活リズムで漁業を営むことになるのか。そういったところまで最適化して費用対効果をあげる努力を、まずは自分が1漁師として検証してみることが必要なのではないか。そのような思いで、漁業権を取得しました。

 まずは自分で0を1にする。これが僕の直近の目標です。漁獲した魚を、持てる最高の処理をして最速で消費地に送る。その漁獲物が市場でどのような評価を受けるのか、その結果をしっかりと受け止めつつ、改善する一年にしていきたいと思います。

 

 今まで日本各地の海を見てきましたが、対馬の海で獲れる魚は高いレベルにあると個人的に感じます。

 

 

対馬 漁業 MIT

 

 多くの方にここで獲れる魚を食べていただき、その美味しさを感じていただけたら嬉しいです。

 

 

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