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柳川暮らしが楽しすぎて困ります。~ふるさと納税の巻~

2016/05/10

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執筆者: 阿部昭彦 柳川市地域おこし協力隊


 

 福岡県の最南部、佐賀県と熊本県に挟まれ、有明海に面した柳川市からこんにちは。柳川市地域おこし協力隊員の阿部と申します。

 東京から移住して1年半を超え、すっかり柳川での生活になじんできました。美味しい食材に恵まれているせいでしょう、体重もしっかり増えました。笑

 本当に良いところに移住できたと感謝しているのですが、「でもちょっと??」と感じることもいくつかあります。それを今日は書こうと思います。

 

福岡 柳川 ふるさと納税

 

 それは「ふるさと納税」です。柳川はウナギの蒲焼きや「あまおう」の返礼品が人気で、全国でも有数のふるさと納税額を誇っています。でも、それって本当にいいことなのでしょうか?

 簡単にふるさと納税の仕組みを説明すると、たとえば10,000円のふるさと納税をしたとしましょう。そのうち2000円は寄付者の負担となりますが、残りは控除の対象となって、確定申告することで後日、還付されることになります。ちなみに控除対象の8000円の内訳は、1600円が国の所得税から、6400円が寄付者の住む市町村の住民税から支出されます。

 

 ふるさと納税の仕組み

 

 柳川市の場合、10,000円以上の寄付で、このような「うなぎのせいろ蒸し」が返礼品でもらえたりします。これ、柳川のアンテナショップ「おいでメッセ」で購入すると、3456円(税込)です。つまり、2000円で3456円の美味しいせいろ蒸しが食べられる。しかも、送料もかからないから、さらにお得なわけです。

 こうなってくると、「どうせ納めなければいけない税金なのだから、ふるさと納税をして返礼品をもらうほうが賢いな」ということになり、現在では日本全国の市町村が、我も我もとふるさと納税に乗り出しています。先日もテレビを見ていたら「賢いふるさと納税の方法」なんて感じで、どうするといちばんお得なのかという内容の番組が流れていました。

 ふるさと納税をする人が得をして、寄付をもらった市町村も収入が増えて得をして、その土地の生産者もたくさん売れて得をして、どこにも損をする人がいない。これは奇跡的に素晴らしい制度だ!

 果たして本当にそうでしょうか?損をしている人はいないのでしょうか?

 

うなぎのせいろ蒸し

 

 実は、損をしている人はちゃんといます。ふるさと納税をしない人と、ふるさと納税をしない市町村です。だって、同じ場所に住んでいて、同じように公共サービスを受けているのに、ふるさと納税した人は住民税を少ししか負担していないということになるからです。ふるさと納税をしていない人は、その人の分まで税を負担しているのと変わりません。市町村としても、本来、入ってくるはずの税が他に流れるのに、これまでと同じサービスを住民に提供しなくてはならない。これは大きな負担になります。

 もっと大きな視点で見れば、国税、地方税をあわせて、日本全体としての税収は明らかに減るわけです。ふるさと納税で個人が得をする、一部の市町村や業者が得をすることで、日本全体が迷惑をこうむる形になっているわけです。

 さらに、高額納税者ほど還付額が大きくなることも問題です。これによって社会の格差が一段と明確になるわけですが、公平であるべき税金で金持ちほど得をするというのは、あまりにも納得できないことではありませんか。

 

ふるさとチョイス

 

 また、ふるさと納税で恩恵を受けている市町村や業者も手放しで喜んでいてはいけないはず。なぜなら、この制度は、業者の行政依存度を高め、本来あるべきの市場競争力を弱めることにつながるからです。中には、市場価格よりも高い対価で業者から市町村が買い上げ、それが地元の産業振興につながっているとうそぶくところもあるという指摘もあります。正当な競争をしない業者が、今後どうやって産業振興の軸になっていくと言うのでしょうか。これこそ行政と業者との馴れ合いの温床になるおそれが非常に高い。

 

ふるさと納税

 

 行政が、地元の産業を保護・振興することは間違いなく必要です。しかし、このふるさと納税というシステムに頼りすぎてはいけない。目先の利益に踊らされずに、長い目で見て、本当に地域の力をつけるにはどうすればいいのか、よくよく考える必要があります。

 私の好きな柳川は果たしてどうでしょうか。まだまだそこまで考えているようには残念ながら思えません。返礼品に頼るのではなく、地域に本当に必要なものに寄付金を充当することを明確にしてほしい。たとえば、保育所が足りない市町村であれば、「保育所を作るために○○○万円のふるさと納税を募集します」などと打ち出すことができれば、本来のふるさと納税のあり方に近くなるように思います。その意味では、ふるさと納税を一種のクラウドファンディングのように活用するというイメージでしょうか。

 都会に暮らしていながら、遠く離れたふるさとを応援する。これが本来の目的だったはずです。しっかりとそこを踏まえて、ふるさと納税を活用してほしいものです。

 

ふるさと納税で日本を元気に!

 

 

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