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ふくれしぴ はじまりはじまり

2018/04/10


 協力隊として赴任して、立山校区(地域)の担当になった時、一番最初にできたことは、「聞き取り調査」でした。

 

聞き取り調査

 

 しばらくしてから、鹿児島大学であった「みんなの暮らしを考える」ワークショップに参加した際、福岡の先生にアドバイスをもとめたときこうおっしゃいました。

「最初は3つの地図を手にいれなくてはいけない。ひとつは人、そして地域の地理、最後は人間関係の地図だよ。」

この言葉は、あとになればなるほど、本当だなぁと思います。聞き取り調査というのは、まさにこういった地図を手に入れるのに大切なことでした。
 
 聞き取り調査、というとかたい感じがするかもしれませんが、実際のところは、お家にうかがっていろいろお話をするだけ。
 じいちゃんばあちゃんに畑のことや昔のことをきいたり、お母さんお姉さんたちに最近のことや興味のあることなどをうかがったり、お父さんたちにアドバイスをもらったり。
 ずっとこの地域に住んでいたり、それぞれの背景があって地域に戻ってきていたり、移住をしてきたり。ぴょんとやってきたわたしよりも、ずっと長い間地域に住み、考え、そしてふるさとを誇りに思っている人たち。
 どげんかせんといかん。東国原元宮崎県知事がおっしゃった言葉ではないですが、皆さんそれぞれどこかにそういう気持ちを持っていたような気もします。
 
 いろいろなアドバイスやお話も聞く中で、個人的にわくわくしたトピックが2つありました。
 ひとつは、種子島には野生の実がたくさん生えていて、果実酒や酢を作っているということ。
 コッコウというキウイを親指の先にしたくらいの大きさのものや、ガレブというこれまたブドウを小さくしたような木の実たちは、それぞれ原種と呼ばれています。安納芋も実は芋の原種と呼ばれています。
 種子島の原種たち、季節ごとのシロップもいいなぁと思っていました。

 

季節ごとのシロップ

 

 そしてもうひとつがふくれです。いわゆる黒糖蒸しパンなのですが、これを皆さん畑のおやつにももっていきます。
 農業などには、10時と15時(3時)の休憩時間がつきもの。外に出てずっと作業をする農業の中でとても大切で楽しい時間です。また、ちょっとした集まりの時にみんなで食べるようにつくられるかたもいます。大きさもいろいろ、形もわりと個性があります。黒糖を使っているので、オーガニックというか、ちょっと体にも良い気がして。
 
 小さい子どもからお年寄りまで安心して食べることができる、このふくれ菓子。
 わたしがときめいたのは、これにオレンジやチョコみたいなものでも、なんでもいれていいんだよというお話をきいたことでした。

 

黒糖蒸しパン

 

 黒糖蒸しパンはともすると、じいちゃんばあちゃんのおやつという郷土料理というような印象がありました。でもそこにチョコやオレンジピールをいれるなんて、ちょっとおしゃれじゃないですか?
 また、あわせて、惣菜を入れ込んでもおいしいのではないかなぁという発想がわきました。肉まんのような。あとで、栄養士の方が「おやきみたいだね」というまとめをして下さったとき、そうそう!と思いました。
 地域の方とのお話の中で、おやきで村おこしをしていた事例の話をちょうどきいたことがあったので、それとも重なった気がして。
 
 オーガニックで年を選ばずみんなが安心して食べることができるふくれ、そして種子島のうんまかもん・特産品たち。
 これらを結び合わせたもの。そんなものをぼんやりといだいていた2年くらい前。そこから1年ほどして、給食室改装が本格的になり、にわかに実現の機運がやってきたようでした。

「そもそもふくれって何?」

改めてそういわれる方もいるかもしれません。
 前述の通り、ふくれは、黒糖蒸しパン「ふくれ菓子」のこと。鹿児島県の郷土料理です。
 
 茶色い色で、ふくれ!という印象を持つ方もいるかもしれません。
 黒糖の色? と見せかけて、実はこの茶色は、タンサン(粉)と酢の科学反応によるもの。二つを混ぜ合わせるとしゅわしゅわと反応し、これが「ふくれ」らしくふくれた蒸しパンにする秘訣でもあります。
 お店ではカラメル色素などを加えて茶色く仕上げているところもありますが、ご家庭で作るのには、色合いはかわるものの、ベーキングパウダーで作るのがお勧め。
 
 また、今回このふくれと結び合わせる特産品、種子島のうんまかものもたくさんの候補がありました。
 今回は季節ごとに2つずつ、ふるさと納税などでも買いやすいものや代用のききそうなものを中心に選びました。
 
 この本、というか小さなブックレットができるまでに、本当にたくさんの方のご協力がありました。役所の栄養士さんや本のプロの方々、地域の方や関係各所の皆さまはじめ食生活改善推進委員さんにもお世話になりました。
 ふくれしぴ活動の一番最初に行ったのは、市政の窓という市内3万軒に配られる情報紙?の料理記事とのコラボ作品でした。

 

料理記事とのコラボ作品

 

 種子島の端と端に白米と赤米の神様がいらっしゃいます。浦田海水浴場に程近い浦田神社さんとJAXAに程近い宝満神社さんです。
 この2つの神社さんは実は夫婦の神様。なんとなく、島の端と端に夫婦の神様がいらっしゃると、島全部ご利益の島みたい。加えて、中西南の1市2町、端と端だけでなく、真ん中にある、熊野神社さんこちらは黒米の神様といわれることもあるそう。そのことから、最初につくったふくれは、米粉ふくれでした。
 赤米と黒米と白米がお花のようにのったこのふくれは、市政の窓で作り方をご覧いただくことができます。
 
 このふくれは、西之表市の夏のお祭り、鉄砲祭りでアンケートと一緒に限定配布しました。米粉とパッションフルーツ(種入り)と昔ながらの種ふくれ3種セットでした。
 おかげさまで限定数全部お渡しが済み、いよいよ計画段階だったふくれしぴの構想がまとめから、本に向けて動き出したのでした。

 

ふくれしぴの構想

 

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