福岡水産
福岡慎吾さん
高知県土佐清水市は、四国の最南端に位置し、東京から最も遠い地域だと言われています。
その分、雄大な自然が残っており、黒潮本流が直接ぶつかる日本唯一の場所である「足摺岬」や日本で始めて海中公園として指定された「竜串海域公園」(足摺宇和海国立公園内)など、有名な観光スポットも数多くあります。
海水浴、サーフィンなどのマリンスポーツも盛んで、全国から移住者してくる人も多くいます。年間平均気温は18度で、雪もほとんど降らない過ごしやすい気候です。
今回ご紹介する福岡水産は、土佐清水の市街地から少し離れた足摺半島に位置する窪津集落にあります。
窪津集落
この地域にある窪津漁港は、昔から捕鯨と大型定置漁で栄えてきました。定置漁とは、魚の回遊する場所に網を設置し、そこに誘導された魚を獲る漁法で、メジカ、アジ、カマスなど様々な魚を捕獲することができます。
窪津漁港での買い付けの様子
この漁港で魚を買い付け、世に魚を届けているのが「福岡水産」という会社です。
福岡水産では、魚を買い付けて地元の量販店。ホテル、料理屋さんなどに販売するほか、「大漁屋」という店舗も経営し、個人のお客さんへの販売、県外への発送なども行っています。
今回募集するのは「大漁屋」の売り場に立って接客を行う人です。現在ここで働いているえりなさんとあゆみさんにお話を聞きました。
左があゆみさん、右がえりなさん
えりなさんは2022年4月から、あゆみさんは2021年6月からここで働いています。
「元々サーフィンをしていて、この海が好きになって大阪から移住しました。」
ここに来た理由を聞くと、あゆみさんはそう答えてくれました。
えりなさんは京都出身で、いなかパイプが行う「いなかインターンシップ」に参加し、四万十でしばらく働いた後、いなかパイプから福岡水産に派遣されています。
「お店は9時から営業なので、お店を開けて、魚を並べて、氷を張り直したり、値段をつけたりします。お店には野菜、お寿司、パンなども置いているので、生産者さんたちも来ます。あとは、レジ、接客、発送などもして、15時にお店を閉めます。」
「平日にお店に来るのはほとんどが地元のお客さんで、みんな優しくしてくれます。お客さんに喜んでもらえるのが一番のやりがいですね。地元の人はいつも“土佐清水に来てくれてありがとう”と言ってくれるんです。」
この地域には、お店がほとんどなく、福岡水産が閉まってしまうと、車に乗れない人は困ってしまうそうです。以前は大漁屋も人が足りず、土日も休みだったそう。今では定休日が水曜日のみになって、お客さんも喜んでくれているのだとか。
「社長もおもしろくて話しやすいし、何でもやりたいことやったらいいよと言って、色々やらせてくれます。魚を捌いたときも、下手でも“上等上等!”と言って褒めてくれます。」
福岡水産は「楽しんで仕事をするのが一番」という雰囲気だそうで、お二人ともいきいきと働かれているのが印象的でした。
一方で大変なところを聞いてみると、「魚の名前を覚えること」だと語ってくれました。
「関西と魚の呼び方が違って、戸惑うことがあります。例えば、“かんぱち”とのことを“ねいり”と呼んだり、“もんずま”のことを“ひら”と言ったり。」
「観光客に魚のことを聞かれたときに、地元のお客さんが代わりに説明したり、食べ方を教えたりしてくれることもありますね(笑)」
お二人のお話からは、地域の人とも、会社の人とも楽しく日々を過ごしている姿が想像できました。どんな人がこのお店に合いそうかを聞いてみると、「魚好きな人」と答えてくれました。
続いて、社長の福岡さんにお話を伺いました。
「おいしい魚を色々な人に届けたい。地元を活性化させたい。大漁屋をアンテナショップ的な立ち位置として県外、市外の人に発信していきたいという気持ちがあります。」
どんな想いで仕事をしているのかを聞くと、そう語ってくれました。
「この地域には昔、婦人部などの小さい集まりがたくさんありましたが、今は少なくなってきて、人とのつながりも薄くなってきています。人が少なくなってしまうと、雇用が減り、産業がなくなるので、少しでも組織力のあるグループを作っていくのが今後の課題だと思っています。」
福岡さんの主な仕事は、魚を買い付け、量販店や料理屋さんなどに販売することです。
「セリでは暑い、寒いなどを肌で感じながら、お客さんが今何を食べたくて、何を食べたくないのかを考えながら魚を買っています。」
「たとえば、スーパーから“アジが欲しい”、“カツオが欲しい”と言われたら、“今日はこの天気だからアジは売れない”、“こういう天気だからカツオがたくさん売れそうだな”ということを自分で考えながら仕入れます。この仕事をする上で、気候や人の気持ちを考えることも大事な部分です。」
「この仕事でのやりがいを感じるときはいい魚に巡り合えた時、それを仕入れられたとき、売ったとき、人に喜んでもらえたときです。」
「大変なことは、暑さや寒さ、魚を仕入れられないことです。お店などからは、一定の量を販売するように任せられているので、仕入れられなかったら、探しまくりますし、場合によっては代替の魚を準備します。」
「今は海の様子も不安定で、コロナとか戦争もあり、予想のつきにくい世の中になっていて、魚の仕入れも難しいです。」
「でもそれを苦にはしていないですけどね。性格がポジティブなので。」
「どんな人に来てほしいというのは特にありません。やる気があればどんな人でも。自分のやりたいこと、スキルとかを活かして、この店にマッチさせていけばおもしろいと思いますね。」
「楽しんでやってもらえればいいです。仕事に費やす時間が多いので、楽しく仕事をしないと人生を楽しむことに繋がらないでしょ。」
店舗での業務だけではなく、魚を捌いたり、場合によってはセリに行ったりすることも可能だそうです。
毎日海の近くで、地元の人と関わりながら楽しく働く、そんな選択肢はいかがですか?
大漁屋から車で6分ほどのところにいなかパイプの宿舎をご用意しております。四国最南端の土佐清水で住みながら働くいなかインターンシップにぜひご参加ください。