会津の伝統的な野良着「猿袴(さっぱかま)」

2016/06/19

 

 会津に移住してきてすぐに「さっぱかまって知ってますか?」と、先輩協力隊に聞かれたのが、私とさっぱかまの出会いでした。

 

猿袴 さっぱかま

 

 彼女が履きこなすタテジマのサルエルパンツのようなズボンのことを、会津地域では「猿袴(サッパカマ、サルッパカマ、サルバカマ)などと呼ぶらしい。その歴史は、調べてみるととても古く、400年近く前まで遡ってみると「会津農書」などの歴史的な書物にも資料として「山袴」などの絵が記されているそう。

 サッパカマは、会津地方に伝わる伝統的な労働用の袴の一種。会津木綿の野良着です。50年近く前までは、農家に嫁ぐ若い娘に嫁入り道具として会津木綿の反物を持たせたり、お歳暮には会津木綿の反物を贈るという文化もかつてはあった。農家の嫁たちは、雪深い冬の時期は農作業ができないので、春からの農作業に備えて、家族のために「猿袴」を仕立てていたそうです。

 

 「猿袴」のつくり方を知っている世代の多くは高齢者と呼ばれる方々。60代のお母さんたちがギリギリお姑様から習い、つくり方をご存じの方もおりますがその数は確実に減ってきています。残念ながら、私たちの世代になるとその文化は継承されていない。

 「猿袴」は地元の方にとっては、当たり前の文化であり「じいちゃん、ばあちゃんが履いてるイメージ」という言葉程度しか若者からは返ってこない。年配の方からは「涼しくって履き心地は最高なんだよね~」という答えはかえってくる。

 「猿袴」のこと色々と町の方に聞いてまわっていると、地縞(じじま)と呼ばれる縞柄模様の幅も地域や年齢層によって異なるということ。掘り下げていくと面白い。興味関心が高まり、猿袴で何かできたらいいな。と思うようになりました。なにより、会津木綿が素敵で魅力的。私もその文化に惚れてしまいました。

 今一度「会津木綿」「猿袴」という文化を見つめ直し、カラフルで豊富な柄、生地が丈夫で、通気性がバツグンである点も特徴を学び、地域の文化を学び継承していければいいなと思っています。

 

 

 猿袴の生地となる会津木綿の織物工場も会津地域では2社を残すのみ。昔は西会津町の中でも会津木綿の「染屋」という屋号を持ち、生業としていた。今では屋号だけが残っていますが、それだけ産業として盛んであったことが現在でも分かります。

 猿袴を西会津町の地域の特徴として、文化的な地域資源として生かしていくには地元の方の協力は不可欠でした。

 発端は、「猿袴のつくり方教えていただきたいんです」と地域の行事である「歳の神」に参加した際にふとお世話になっているお母さんに相談したところ、「いいわよ。いくらでも教えてあげる!」と翌日、教えていただけることになったのです。

 

猿袴のつくり方

 

 型紙はないけど、反物を無駄なく切って順序よくミシンで縫い合わせていく。手馴れたお母さんの作業は3時間近くかかって、ようやく1本の猿袴を仕立てあげられ完成しました。

 

ミシンで縫い合わせ

 

 もともとポケットの付いていない構造でしたが、「iphoneの入れられるポケットがあったらいいよね~」という私たちの声を聞いたお母さんは「ポッケなんて簡単に付けられるからつけてあげるよ」とすぐに要望に応えてくれました。

 「じゃあポッケは違う柄にしたら可愛いかも!」なんていう会話の中から、従来の形とは異なるオリジナルの「猿袴」が出来上がりました!!

 

 ウエストはゴムで、お尻の周りはゆったりとしているシルエットだけどふくらはぎのあたりはピタッとしまっていて作業がしやすい。そして木綿素材なので、通気性バツグン。蒸れないし、洗濯して乾きやすい!野良着としてではなく、普段着として履いても違和感はありません。むしろ野良着と言われなければ野良着とも思わないと思う。

 

お尻の周りはゆったり

 

野良着

 

普段着として

 

 そんな猿袴を西会津町主催のモニターツアーでは、制作できたり。いつも猿袴づくりに協力してくれている、お母さんたちの経営する農家民泊に泊まると、体験プログラムとして猿袴づくりが体験でき、お母さんたちも「若い人たちが猿袴に興味をもってくれて嬉しい!」とありがたいことに全面協力をしていただいています。地域の人の協力なくして、この活動はできていないので本当に感謝しています。

 

 猿袴づくり

 

ミシンの使い方

 

 昨年の夏には協力隊で、お母さんたちに習いながら猿袴制作を行いました。

 まずミシンを使い慣れていないので、ミシンの使い方からレクチャーを受け(笑)会津木綿を裁断し、縫い合わせていく。お母さんたちがお嫁に来た頃の話を聞いたり、生活の知恵やらたわいのない話を楽しんで。4時間?5時間?かかってようやく完成したMyサッパカマ!!自分の着るものを手作りした喜びは、ひとしおです。

 

Myサッパカマ

 

 会津木綿でできているこの猿袴をつくるワークショップであったり、販売なども含めて、お母さんたちと地域でこれを生かして活動していきたいと思っています。猿袴プロジェクトは始まったばかりです。でも静かにムーブメントが西会津から起きはじめています。今後の活動にもぜひ、ご注目ください!

 

会津木綿でできている

 

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