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いなか仕掛人

NPO法人土佐山アカデミー
理事 林 篤志

林篤志

学校方式の多様な研修プログラム

取組紹介

自然と生きる術を学ぶ「土佐山アカデミー」

 2011 年 7 月、高知市の「土佐山百年構想」の一貫で、土佐山アカデミープロジェクトとして立ち上がりました。2012 年1 月から3 ヶ月の長期滞在型プログラム「土佐山アカデミー」を開校し、これまで4期生、28人がこのプログラムを修了し、その内、6人が土佐山地域に移住し、今も定住しています。
 「人が自然の一部として生きる文化を育む」というヴィジョンのもと、土佐山の大自然の中で地域にある資源を活用し、土と農・食・ナリワイ・ものづくり・自然学・暮らしとエネルギーの6分野を季節に合わせて学べるプログラムが構成されています。長期滞在型プログラムだけでなく、1 泊 2 日の体験プログラムや子ども向けプログラムなど、様々なプログラムを展開し、新しい学びの場づくりが行われています。これまでにのべ約3000人の参加がありました。また、土佐山へ人を呼び込むだけではなく、日本中の人が流動し合うこと、また地域で生きる方法をシェアし合うことを大切にしていることもあり、土佐山アカデミー東京分校として都市で生きる人たちとも語り合う場もつくり始めています。

地域で何かしたい人のための働く場「土佐山ワークステイ」

 2014年からは、土佐山地域に暮らしながら、地域をフィールドに新たな仕事やプロジェクトを生み出しながら、小中学校で出張授業をしたり、地元の人たちとワークショップを企画したりする、新しい暮らしや働く場づくりを行う「土佐山ワークステイ」がスタートしています。
 滞在拠点として、古民家を活用したシェアハウスを構え、公共交通の少ない不便な土地柄を考慮して、カーシェアリングできる体制をつくり、地域内外の土佐山アカデミーが持つ人的ネットワークを提供して、地域で何かやりたい人のサポートをする仕組みです。

土佐山アカデミー

 

ココがスゴイ!

学ぶために自己投資する人が集っている

 土佐山アカデミーのプログラムに参加する人は、20~30代の若者が中心。自分の生き方や働き方を考える際の材料として、学び取ろうと3ヶ月で17万円という参加費を払います。このように新しい暮らし方、働き方を学びたい!という若者のニーズに応える形で、プログラムが提供されており、机上で終わらない体験を大事にしたプログラムや土佐山地域の住民も巻き込んだ環境で、お客様ではなく1住民となって参加者がアカデミー期間を過ごします。そして、修了した人が、移住定住にもつながっています。

都会とつながり、都会に暮らす人のニーズに合った情報発信

林さんは、愛知出身ですが、東京で働いていた経験から、東京に多様な人的ネットワークがあります。土佐山アカデミーのスタッフも都会から、海外からのIターンが多く、そのネットワークはワールドワイドです。プログラム実施においても、そのネットワークを活用して、プログラムが企画されており、参加者募集の広報についても、ネットワークや都会のメディアが活用され、このようなプログラムを求めている都会に暮らす人々のニーズに合った伝え方で、上手に情報発信がされています。

土佐山アカデミー

 

困りごと

より多種多様な層を巻き込む仕組みや情報発信ついて考える

 都市部でイベントやワークショップを実施すると、アンテナが高く、地域や田舎で活動したいと考えているコアな人は集まってきますが、地域での暮らしや活動に少しは興味があるものの、移住や起業まではいかない、コアではない「普通の人」にもまずは定期的に通ってもらえるような仕組みや見せ方がまだできていない現状があります。
 また一方で、地方で働くことを考えたことがなく、都会でバリバリ働いていて、それなりに満足している層へもアプローチして、そういう人材に「地方で働くこともありかも」と思ってもらい、移住してもらうことも地方にとっては戦力になると思います。このような様々な層へリーチできる情報発信の仕方と、そういった人たちが滞在できる環境づくりに取り組んでいきたい。

土佐山アカデミー

本ページは、平成25年度 地域をフィールドとした産業人材受入のための環境整備のあり方に関する調査事業(実施:四国経済産業局)において調査した時点のデータを活用して作成したものです。