一般社団法人いなかパイプ
佐々倉 玲於
参加者と事業者の資金で成り立つインターンシップ
取組紹介
いなかビジネス教えちゃる!インターンシップ&ツアー
「いなかで仕事をしたい」「いなかに住みたい」という人向けに29泊30日の現場実践型研修プログラム『いなかビジネス教えちゃる!インターンシップ』を行っています。高知の農山漁村に住み込んで、農業者・漁業者・商業者・観光事業者・デザイナーなどの下で「いなかビジネス」の手伝いをすることで、自分自身と向き合い、自分は何がやりたいのか、自分に何ができるのか、が見えてきます。さらに、地域に暮らす人々との出会いが「つながり」「人間関係」をリアルに感じさせ、田舎暮らしをしていけるのかを考える機会となります。 また、いきなり1ヶ月住み込むことは難しいとう人向けに、インターンシップの受け入れ先事業者を中心に、いなかビジネスの現場を周り話を聞く、1泊2日『いなかビジネス教えちゃる!ツアー』も開催しています。
https://inaka-pipe.net/intern/program01/
https://inaka-pipe.net/intern/tour/
廃校を活用した「シマントシェアオフィス161」
地域の廃校になった小学校を活用し、シェア型のレンタルオフィスとして利用できるように運営をしています。「元のまま活用して欲しい」という地元の声と、移住者が増えたことによって「事務所が手ぜまになったのでスペースが欲しい」という事業者の声をつないで、できた取り組みです。現在、地元の事業者5社が利用しています。オフィス環境は、四万十川近くの自然に囲まれた立地にある上、比較的新しい木造校舎であり、光回線が通り通信環境が整っていることから、リラックスして仕事に集中できます。
https://inaka-pipe.net/intern/shareoffice/
「いなか」と「とかい」のパイプウェブ『いなかパイプ』
「いなか」と「とかい」をつなぐことを目的に、田舎に住んでいる人や団体などが一緒になって情報発信をしていこうということで、田舎の面白さや楽しさを伝えていくwebサイト『いなかパイプ』を運営しています。田舎の日常情報を発信するコラム(いなかマガジン)や体験プログラム、イベント、田舎の求人などをコンテンツとしており、開始から1年半が経つ現在では、月間2万件がアクセスする情報発信ツールに育っています。
ココがスゴイ!
参加者と受け入れ事業者からの資金で成り立つビジネスモデル
田舎体験事業の多くが事業予算終了と共に打ち切りになる中で、いなかパイプでは2013年からインターンシップ事業を自主事業として継続しています。資金は、受け入れ事業者からの年会費と研修生からの参加費を充当し、行政事業から自立した仕組みづくりに挑戦しています。民間で成り立つビジネスモデルを確立し、事業を継続していくことができれば、他の地域でも、田舎に仕事をつくることと、人を引っ張ってくることができるかもしれません。
2つの廃校を活用して「住む」と「働く」を実現
いなかパイプでは、シェアオフィスとして活用する廃校とは別に、車で15分程の場所に、もう1つ廃校を宿舎として管理・運営しています。こちらは主に1ヶ月のインターンシップで来た研修生が宿舎として利用するほか、シェアオフィス利用者も安く滞在できることから、両施設を利用して、田舎で仕事をしてみたい方にとって「住む」と「働く」を気軽に試すことができる環境が整っています。実際に、数週間ほどの短期滞在をされる方からも好評です。
困りごと
田舎からの情報発信をして、どう集客につなげるか
参加費を払ってでも、田舎に来たいという人が実際にいるように、田舎に関心がある人がいないのではなく、田舎から情報発信ができていない、この地域がここにあるということの存在すら気づかれていないことが課題です。今はまだ都会側で「いなかで生きる」ことが選択肢として認識されておらず、存在すら気づいていない人も多い中で、目には見えないサービスをどう伝えて、売れるようにしていくかが問われています。
サービスを売るためには、モノを売る以上の商品開発が必要
田舎の農産物を商品開発して売っていくという取り組みが、全国各地で広がっていますが、モノが売れないと多くの人が試行錯誤しながら商品開発を行っています。それと同様に、田舎にある環境や人といった食べたり飲んだりできないような地域資源を、サービスとして商品化して売っていこうとする取り組みなので、目に見えるモノを売るよりも、もっと苦労しなければいけないと思っています。このようなサービスという商品を売るために、どのような努力をすべきなのか考えて動く必要があります。