田舎との出逢い
2012/07/03
- 執筆者 戸田早保
- 所 属一般社団法人いなかパイプ
蒸し暑くなって、「しそジュース」が美味しい季節になってきました。
色が鮮やかで本当にキレイ。飲むとすっとして、体が爽やかになります。
そんな「しそジュース」を飲んでいると、懐かしい思い出がそっと顔をのぞかせます。。。。
そこは「雪だるまカフェ」。
古民家を利用したカフェで、地域の名物、わんこ式おろしうどんやぼたもち、
もちろん夏はしそジュースも味わえます。
地域の常連さん、大学生、登山客といった多くの人たちと出逢える場所。
そんな所で私は働いていました。
私は、高知市で育って、東京の大学を出ました。
でも、何か足りませんでした。きっと人間味とか人間臭さとかを求めていたんだと思います。
そこで、田舎で濃ゆい人間関係や独自の食文化を経験したくて、田舎へ向かいました。
参加したのは、緑のふるさと協力隊という1年間の地域体験と地域活性化の事業でした。
そこで、偶然出逢った場所が石川県白山市白峰という地域でした。
人口約1,000人、白山登山客や温泉客で賑わう、山だけどどことなく神聖な雰囲気のある地域でした。
そして冬には3m以上の雪が積もる豪雪地帯です。
田舎=農村という考えだった私は農家さんが居ない地域で、
最初みなさんがどうやって暮らしているのかとっても不思議でした。
まず驚いたのは、地域の人が誰とでもあいさつを交わしていることでした。
また、話し出すと先日のお礼をまず述べること、そしてそのお礼にお礼を返すことにもびっくりしました。
そして、地域の新米の私にも素敵な笑顔で話しかけてくれました。
お裾分けをいただいたり、お家に呼んでもらったりもしました。
本当にみなさん優しくて、人なつっこいです。そして、みなさん祭りも大好きで5月~ほぼ毎月お祭りがあります。
もちろん飲み会も大好きでよく飲むし、盛り上がってくると民謡や踊りが出ます。正に濃ゆい人間関係を味わえました。
次に驚いたのは食文化。
春は山菜を取ってきて冬に食べる為に塩漬けや干したりします。
ゼンマイ、ワラビ、ウド、コゴミ、ヨモギ、タラの芽など。
書ききれないくらいの山菜を取ってきました。それを山菜の天ぷら、ワラビの酢の物、ウドの煮物などにします。
夏はワサビ菜、フキ、岩魚などを取りました。ワサビ菜の醤油漬けのご飯との相性の良さ。岩魚釣りの楽しさが忘れられません。
秋はアケビ、ヤマイモ、なめこ、マイタケ、わさびなど。
アケビの独特の甘さ、ヤマイモの葉っぱはスレンダーなハート型で掘るのが大変なこと、なめこが天然に生えていて汁にするとすごく香りが良いこと。
冬はウサギ、クマ、イノシシを狩猟したり、春の山菜を食べたりします。
他にも堅豆腐(普通の豆腐の6倍の濃縮)やそのお豆腐を使った絶品のあぶらげがありました。
冬には春の山菜を使って親戚をもてなす文化がありました。
山文化では
春は山から木を出してきます。雪の上でそりを使って運びます。なんと約1トン運べます!
夏には焼き畑をします。前年の秋から乾かしておいた杉の葉などを燃やして、消毒・肥料にします。なめこの菌打ちもします。
秋には炭焼き、なめこ収穫。
冬には自分で山の木を使って小屋を作ったり。
などがあります。
人
みなさん、とっても人なつっこくて笑顔がすてきです。90歳を超える人生の大先輩の話も聞けました。白峰のみなさんにたっくさんの思いやりをいただきました。。。。
そこで出逢った自然や地域は私の中の田舎の原風景になっています。
そんな濃ゆい田舎と多くの人が出逢って視野が広がって、価値観が変わっていくと良いなぁと思っています。
そして現在。私は四万十と出逢っています。
そして、高知や四国で頑張っている多くの人達と出逢っています。これは私が田舎と出逢ったことから始まりました。
先日の朝の風景はこんな感じでした。
本当に人間はちっぽけで自然の中の一部だと感じます。
そして、それを認められたらすごく居心地が良くなるんだと、最近そう感じています。
あ~、今日もしそジュースが美味しいなぁ♪