上勝というところ

2012/07/12

初めまして。

 

僕は四国一小さな町・徳島県上勝町にある、株式会社いろどりという会社でインターンシップの担当をしている粟飯原(あいはら)といいます。

上勝町は主に日本料理のわきに添えられる「つまもの」といわれる葉っぱを生産・出荷している町です。上勝の葉っぱは「彩」というブランド名があり、全国シェアの約8割を誇ります。株式会社いろどりは生産農家さんに対して、商品の売れ筋・売価・売り上げ順位等のやる気を引き起こさせる情報を提供したり、全国の顧客、市場に営業に回ったりといったことを担当しています。

 

葉っぱビジネス立ち上げから現在に至るまでのストーリー―すなわち㈱いろどり代表取締役・横石知二のドラマチックな半生は、ぜひ著書「そうだ、葉っぱを売ろう!」を読んで頂きたいということで省きますが、ところで株式会社いろどりのモットーは

 

「上勝町の農家さんに喜んでもらえる仕事をすること。」

 

です。

 

私が担当しているインターンシップ事業では、全国から様々な目的を持ってやってくる方々に対して、農家さんの下での作業を中心にして上勝町のことを知って頂き、双方が刺激し学び合う場をつくっています。

地域活性、ソーシャルビジネスの先進事例として葉っぱビジネスを学びに来る人、上勝に魅力を感じ、移住のきっかけづくりとして参加する人、上勝で彩農家さんを目指してやってくる人…等、様々です。

農家さんの中にも農作業の手間(=労働力)として研修生を受け入れる人、全国から来る研修生が持ってくる情報、研修生との交流を楽しみにしている人、彩やその他の農業の後継者を探している人…など、こちらも様々。

 

私自身、昨年の5月に内閣府の事業の一環で行われていたインターンシップ研修に参加し、2ヶ月間の研修を受けた後、上勝町に移住しています。

 

今回はブログ初寄稿、ということで自己紹介もかねて僕がインターンに参加するまで~現在に至るまでのことを綴りたいと思います。

 

 

大学を中退し、一年ほどしがないフリーター生活を送っていたある日のこと、同居していた母親が「あんた、これ行ってきたらどうや?」と、いろどりのホームページを僕に見せてくれました。上勝町の取り組みが、お昼のTVで紹介されているのを見たようです。

その頃の僕といえば、そろそろフリーターに見切りをつけて正社員の職を見つけようと思って、探していたところでした。しかし、当時のご時世ではなかなかそれもうまくいかず、正直早くもへこたれていました。いつもなら軽く流していたであろう母親からの提案も、この時ばかりは「ちょっといいかも。」とその気になりました。今思うと、とにかく「現状から逃げ出したい。」というあまりほめられた動機ではなかったような気がします。

ともあれ、いろどりのインターン事務局に電話をかけ、その一週間後には上勝町へ向かうバスに乗っていました。

上勝町が葉っぱを売っている町だ、ということをかろうじて知っている程度だった私は、「同期の研修生や町内の人達と仲良くなろう」という小学一年生のような目標を持って上勝町に降り立ちました。一方で、京都に戻っても仕事が見つかる気もしないし、「しばらくはここで農業でやっていこう。」という気持ちもありました。(「就農コース」への参加だったため。)

 

研修中で印象に残っていることは数知れずありますが、研修2日目に見た社長のメッセージDVDにあった

 

「素直」

 

という言葉が心に残り、意識し続けたことが、今自分がこうして㈱いろどりで仕事をしている理由だと思っています。

 

実際にやったことといえば、研修中は研修先の農家さんに質問をしまくり、宿泊先の月ヶ谷温泉に帰れば常にだれかと夕飯を食べ、温泉に入りました。本当にたくさんの話を聞いて、全てのことを吸収しました。なぜか人を自然と素直な気持ちにさせる上勝の雰囲気の中で同期の仲間とたくさん話をし、ギターの練習をしたりもしました。

 

研修の最後に行われた報告会では研修生一人一人が「なぜ研修に参加して、研修中何を学び、今後どう活かしていくか」を、集まってくださった受入農家さんの前でスピーチしました。僕は司会を担当し、自分のスピーチの番では溢れる思いを言葉にできず、全然まとまりのないものとなってしまいました。

それでも感じたことのないくらいの達成感を感じ、

 

「自分が一ヵ月間やってきたことは正しかったんだ」

 

と感じました。

 

あんなに中身の濃い一ヵ月間は今までの人生ではなかったし、研修が終わりに近づくにつれて、「上勝を去りたくない。」と思うようになりました。

就農コースに続けて行われる予定だった「映画コース」に参加できないかとダメ元でお願いをしてみたところ、拍子抜けするくらいあっさりOKをもらえました。「とにかくあと一ヶ月は上勝に居られるんだ。」と思うと本当に嬉しかったです。

 

研修中に生の鶏肉を食べて胃腸炎になり41度の高熱が出て社長に診療所まで運ばれたことも今となってはいい思い出です。おかげで丸2日間ベッドに寝たきりでしたが、激ウマだったので今同じものを出されてもきっと喜んで食べることでしょう。僕の胃だか腸だかが弱かったのです。

 

何もできないのに、なぜか

 

「何だってできる。」

 

と思っていた僕は、インターン事務局の方との面接の時に、「農業で残ろうかと思ってます。」と生意気にも言いました。今でこそ上勝町で農業で食っていくということがいかに難しい厳しいことか、少しは分かっているつもりですが、当時は本気でなんとかなると思っていました。それも一生農業を続ける覚悟もなく、当面の仕事として農業を考えている、と平気で言ったのですから救いようのないバカでした。ですがそこは事務局の方が懇々と諭してくれ、もっと自分のしたいこと、できることを考えろと言ってくれました。

 

上勝に来てから

 

「自分の夢は?」

 

と聞かれたら、

 

「世界平和。」

 

と答えるようにしています。

 

 

上勝行きが決まる直前に「自分は幸せ者だなあ。」と感じる出来事があったからです。

 

自分はすでに幸せ者だから、あとは身近な人が幸せになってくれたらいいな、と。

 

その結果が「世界平和」だな、と。

インターンを終え、まもなく㈱いろどりに入社し早一年が過ぎ、今年は厄年ということもあり、これでもかというくらい悪いことが続き、いかに自分がちっぽけで人に迷惑を振り撒いて生きてきたかということが分かってきました。最近はちょっと反省の日々が続いています…

 

でも上勝に来てから、「振れ幅の大きい人生になったな。」という実感があります。

大変なことは多いけど、嬉しいときはとことん嬉しい、楽しいときはとことん楽しいということです。

 

生意気で世間知らずは今もまだ健在ですが、いい面は残しつつ大人の階段を上ろうと思います。学生時代はベビーフェイスと言われてきましたが、上勝に来てからは研修生の人には必ず30代と言われます。急激に老けたのか…

 

今日は初めてなのでちょっと熱く自分のことを語ってしまいましたが、次からは日々の出来事をつらつらと書いていこうと思います。

 

ブログってそういうもんです。

 

読んでくださってありがとうございました。

もしよかったら次も読んでみてください。

記事の感想送ると100ポイント進呈!
ポイント貯めてプレゼントGETしよう

いなかマガジンを読んだら「いなかパイプアプリ」へ感想をぜひお送りください。
アプリを下記からダウンロード→「お問い合わせ」へ感想を送信でOK!
ポイントを集めるとプレゼントがもらえます!

FacebookTwitterLine