農家の話(1)

2012/09/14

私は、農家に生まれ育ち、最近農家に嫁ぎました。

私の実家・宮脇家は専業農家です。もともとは、兼業農家でしたが私が小学校4年のころ、お父さんが会社を辞め、おじいちゃんの反対を押し切って専業農家になりました。

おじいちゃんは、これから農業一本で喰うていくのはしんどいきと言うて反対したようです。

 

それまでもお米は作りよったし、ちょっとずつですが栗、お茶、ししとう、菜花なども作っていたので、農業の素人という訳ではなかったのですが。

 

お父さんが専業農家に切り替えたポイント

○     ちょうどこの前の年から、国の事業でうちの集落の農地が基盤整備され、細々していた農地や、ちょっとしかなかった茶畑が、広い田んぼになったこと

○     旧大正町内で、町を挙げてスプレー菊の栽培を始めることになり補助金などを利用してハウスを建てることが出来たこと

○     お父さん的に、本格的に農業を始めるには、年齢的にも今しかない!と感じたらしいこと

 

山を切り開いて建てた、スプレー菊のハウス

山を切り開いて建てた、スプレー菊のハウス 約3反5畝

 

 

 

この時、お父さん40歳

 

私はあんまり記憶に無いですが、中学生だったお姉ちゃんに

「お父さん仕事辞めんとって」と心配そうに言われたそうです。

おじいちゃんが心配した理由も、今ではよくわかります。

今、お父さん世代で現役で農業している方は、農業の大変さを一番よくわかっているし、それほど儲かるもんでもないし、自分の子供たちに後継いで農業せぇってよう言わんと言っているのをよく聞くからです。

定植して約3週間

定植して約3週間

 

それだけ聞くと、なんか農業=マイナスに思えてしまいますけど、お父さんたちを見ていると不思議と楽しそうに見えるんですよね(笑)

もちろん農作業が大変なのは見ていてよくわかりますが。

うちのメインの農産物はスプレー菊ですが、一番忙しい定植や出荷の時期をある程度自分でコントロールできるので、それ以外の時間は、趣味の海釣りに行ったり川漁に行ったりなんとも自由に暮らしております。

夏場は特に、「今日も暑いきしんどいにゃ~やめた!」と、早々に仕事を切り上げて、酒を一杯ひっかけ網を手に川へ鮎を獲りに行く姿を毎晩のように見ます。

 

 

 

 

 

定植後、約3ヶ月で切り頃

定植後、約3ヶ月で切り頃

 

結果的に、専業に切り替えてどうだったのか??

 

今では家族全員一致で、専業農家に切り替えてよかったと思っています。

スプレー菊を作り始めて2~3年は市場の価格も比較的よかったらしく、私たち3姉妹が学校やらで一番お金がかかる時期だったのでスプレー菊のおかげで何とかなったのです。

今は土建業も昔ほど景気がよくないので、あのまま会社にいたらリストラさちょったかもしれないし。

 

ただ、そんないい時がずっと続くはずは無く。。。

スプレー菊の市場価格は、平均して1本当たり70円~90円くらいです。

昨年の東北大震災の直後は、市場の混乱もあり1本1円という金額になって、出荷するだけ赤字という事態に陥りました。菊農家さんは大体、良心市を持っていたり近くのスーパーや直売所などの売り先も持っているのでなんとかなりましたが。

他にも、スリップスや白サビなどの病害虫にやられ、1作丸々捨てたこともあります。

「いい時もあれば悪い時もある、天候や災害にも左右されるけど、辛抱してやりよったらそのうちまたいい時が来らあぇ」それがお父さんの口癖です。

 

 

作り始めたころに借金して購入した、葉を落とし、茎を切り、束ねる機械

作り始めたころに借金して購入した、葉を落とし、茎を切り、束ねる機会。この子超いい仕事します!

 

あくまでお父さんの持論ですが、

「本気で農業を始めようと思うなら、借金抱えてやらないかん。土地、ハウス、農機具なんでもかまんき、借金抱えちょったら死ぬ気でやるろ?親が持っちゅうもんでやったちいくかぇ、続きゃせんちゃ」

 

お酒を飲んでは、若くして中々大規模に農業をやりゆう私の従兄弟や、私の旦那さんにいつもこんな話をしています。

一見するとただの能天気で酒好きなおやじですが、菊作り・米作りなどに関してプライドを持ってやりゆうので、プロの百姓として尊敬しています。

 

そんなお父さんが来年、還暦を迎えます。

 

多分まだまだ現役バリバリやけど、将来的にこの田んぼやハウスどうなるがやろ。。。

うちは、3姉妹で姉二人が先に嫁にいったので、私がお婿さんをもらって跡を継ぐ予定でした。

が、私も思わず嫁に出てしまい。。。

私が一番近くにいるので、ちょくちょく手伝いに帰ってはいますが。

 

どうなる!?宮脇家!

 

お父さんと、お母さんが作りあげたこの立派なハウスを、出来れば残して行きたい。

嫁にいった姉二人が実家に戻ってくるよう一縷の望みを託し、若干気持ちが傾いている東京在住の長女夫婦に「田舎暮らしはえぇで~、水も食べ物も美味しいし~」と洗脳しているところです。

 

 

こんなに固いつぼみの状態で市場に出荷します

こんなに固いつぼみの状態で市場に出荷します

 

 

長々失礼しました。

 

次回、農家の話パート(2)では、嫁ぎ先の岡峯家の話をしたいと思います♪

 

それでは

 

 

 

 

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