日本一高い地鶏「はたやま夢楽の土佐ジロー」
2012/10/04
「土佐ジローって犬ですか?」
「土佐次郎のお兄さんはダレですか?」
私たち土佐ジローの生産者が、たまに巡りあう質問・・・。
たぶん、このブログを読んでる人でも、
同じことを思ったと思うので、
今日はうちの「(有)はたやま夢楽の土佐ジロー」について
紹介したいと思います。
「土佐ジロー」は、高知県の地鶏で
国の天然記念物「土佐地鶏」の子どもです。
鶏の原種鶏「赤色野鶏(セキショクヤケイ)」に近いとされる地鶏です。
母は在来種のロードアイランドレッド。
必ずこの2種を掛けあわせた
子どもだけが「土佐ジロー」になります。
いわゆるF1、一代種です。
名前は、両親の頭文字?を取ってつけています。
「土佐地」+「ロー」=「土佐ジロー」
商標を登録している高知県が
両親を掛けあわせて種卵をつくります。
そして、高知県土佐ジロー協会がふ化をさせます。
専門農家が1ヶ月間預かり、卵を産んでくれるように育てます。
その後、協会が認定した高知県内の生産者100戸が
有精卵を生産するために引き取って飼育し、採卵しています。
もちろん、我が家にも採卵用の鶏もいますが
メーンを占めるのは、卵を産まない雄。
夫の靖一さんは、20年ほど前から
ふ化した直後に雌雄鑑別で捨てられていた雄を
肉用として育てています。
卵用の鶏と違って、
雄たちは、ふ化した日に畑山へ連れて帰ります。
この日生まれたばかりのヒヨコ♂。
隣の子をつついて追っかける子もいれば
ぼぉっとしている子、一生懸命エサをついばむ子…。
見てて飽きない憂いヤツらです。
普通のブロイラーだと
生後2ヶ月位内で3kg以上になって
お肉になっていきます。
うちの子たちは、
その頃はまだ、ピヨピヨ鳴いていますし、
1kgに満たないくらい。
暖房付きの鶏舎から、
外気に触れる開放鶏舎に移った時期です。
外の鶏舎では、食べたい時にエサをついばみ、
畑山の谷水を飲み、土を食べ、
時には仲間で喧嘩をし、
空を飛ぶタカの姿を気にしながら、
自由奔放に生きてます。
同じ日に生まれた子たちですが
遺伝子の関係もあって
*土佐地鶏は小さく、ロードは大きな鶏
お母さんに似て大きかったり、すばしっこい子は、
自分の好きなようにエサを食べますが
お父さんに似て体が小さかったり、要領が悪かったりする子は
なかなか思うようには食べられません。
お母さん似の子たちは、4ヶ月が経つと
十分な大きさに育ちますが、
お父さん似の子たちは、まだまだ。
1.1kg〜1.8kgと大きな差があります。
うちでは、だいたい4〜5ヶ月でお肉にしていますが
飼育日数が通常の倍以上と長い上、
個体差が大きい点でも
養鶏業界では、かなりの異端児です。
そして、普通の鶏肉よりも小さな、小さな土佐ジローは
大きな食鳥処理場の機械的なレーンには適合しません。
体が小さいこともありますが、飛んだりはねたりの得意な彼らは
そんなレーンでおとなしくお肉になることはないからです…。
はたやま夢楽では、食鳥処理場も備えていて
自社で育てた職人5人が
週4日、1日50羽程度さばいています。
私には他の施設をあまり知りませんが
東京などからやって来るバイヤーさんたちは
はたやま夢楽のお肉や処理場、処理の仕方に驚き
商談をまとめてくれます。
でも、買い付けに来られない鶏の卸屋さんからの電話では
こんなことを言われます。
「お客さんから欲しいって言われて問い合わせをしてるんですけど
この見積り価格って、小売の値段じゃなくって卸の値段ですか?
比内地鶏よりも高いですよ」
そう、はたやま夢楽の土佐ジローは
全国一高いんだそうです…。
部位売りをしないため、正確にはわかりませんが
はたやま夢楽のホームページ価格で
100gあたり600円程度。
一時期、大阪のデパ地下で売られていた時は
100g900円を超えていたんだとか…。
取り引きがある卸屋さんの販売価格を把握してないので
今も日本一高く売られているのかも知れません。
「日本一高い」と言われても
私たちが土佐ジローの飼育方法を変えることはないです。
企業努力はしなければならないけれど、
土佐ジローを土から離して飼ったり
お肉をつけるためだけのエサを与えたり、
身動きができないように囲って、
食べた分がお肉になっていくようにすることはないです。
鶏が鶏らしく育つことをモットーに
畑山の自然を生かした育て方をしなければ
全国の鶏ファンを唸らせ、“畑山詣で”に惹きつける
はたやま夢楽の土佐ジローにはならないからです。
育て方も違えば、食べ方も当然異なります。
土佐ジローは全国的にも珍しく
内臓類もお刺身で食べられます。
レバーだけでなく、砂肝も心臓も。
そして、大人になった雄鶏の象徴である
白子やトサカもお刺身で食べることができます。
普通の鶏肉は、さばいた直後から食中毒菌との戦いで
「なるべく早めに、きちんと加熱して食べてください」
「片面じっくり焼いて、ひっくり返して片面を焼いてください」
という風に言われています。
でも、はたやま夢楽の土佐ジローは
強火で、こまめにひっくり返しながら
水分を閉じ込めるような感じで焼くと
旨みが凝縮され、より美味しく柔らかくなります。
「土佐ジローが固い」という方は
親鳥を食べたか、焼き方がまずかった、と思います…。
お客さんの中には、
「土佐ジローは、届いて数日後に熟成した感じで食べられる。
僕は数日後が好きだ」
という方もいらっしゃいます。
年に何度かお取り寄せしていた人で、畑山に食べに来た人の中には
「焼き方を教えてもらったら、味が全然違った。
今まではもったいないことをしてた」
とお肉の追加注文をしてくれました。
年に数回、土佐ジローのコースを食べに来る常連さん。
仕事の都合で日帰りしかできないのに、
毎回友だちを連れて、親子丼を食べに来るお客さん。
コースに炭火焼き用のお肉を追加して、
ずっと唸りながら、黙々と食べる人。
お客さんとのやり取りを通して
土佐ジローを囲んでできる幸せそうな笑みを見るにつけ、
たとえ日本一高くても、分かってくれる人がいることは
とても嬉しく、土佐ジローって凄いなぁと思うがです。
文量の都合上、語り尽くせないことが
はたやま夢楽の土佐ジローには、まだまだたくさん。
もっと知りたい!と思った人は
はたやま夢楽へどうぞ☆