例えば、かち栗
2012/11/02
【続報】:趣味での道の駅訪問数が104箇所となり、100箇所を超えました!
記念すべき100番目は愛媛県の「道の駅ひろた」でした。
期待せずに立ち寄ってみたら、やっぱりあった変わったもの、『かち栗』。
見た目は栗だけれど、これは生栗では無く、乾燥させた栗で保存食です。
広島県の山奥で見つけた時は、殻を剥いて湯がいて?綺麗に中身だけ乾燥させて保存していたけれど、
こちらのはそのままを乾燥させて保存食としているようだ。
中身だけ乾燥させたほうがかさ張らないし、壊れにくいのに、
殻のまま保存しているのはなぜだろう・・・。
質問し忘れてしまった。
食べ方は広島ではそのまま食べずに湯がいて正月料理として使うと聞いていたが、
現地ではオヤツとして硬いまま食べるし、正月料理でも使うとのこと。
一方、高知に戻ってきて使い方を聞いてみたら、
そのままかじってオヤツにしていたぐらいで、調理はしていなかったと聞き、
たった一つのものだけれども、3地域で異なる地域性を垣間見た気がした。
以下引用(引用元:http://www.geocities.jp/kinomemocho/sanpo_kachiguri.html)で詳細を紹介します。
“作り方を聞いたところ、日に干して軽く炒る作業を何回か繰り返すのだという。
いくらか焦げ目が見られる。振ればころころと鬼皮の中で実が踊る。
歯で噛んで鬼皮を割って実を取り出すと渋皮は割れていたり、
付いていても簡単にぱりぱりと剥がすことができる。
この渋皮を簡単に剥がせる点がミソである。
昔から子供達にとってはおやつ代わりになっていたとのことである。
もちろん実は硬いから、口の中で転がしてもよし、
入れ歯でなければガリガリと噛んでもよしということである。
昔からシバグリは栽培種よりも甘味があることが知られているから、
少ないながらもシバグリのファンが今でもいるようである。
なお、干した栗を炒る時に爆ぜるのではないかと心配したが、
しっかり干せば爆ぜる心配はないとのことである。
ここで、「かちぐり」が登場しているわけであるが、
本来の「かちぐり(搗栗、勝栗))」は「栗の実を殻のまま干して、
臼で搗ち(注:搗つ=搗(つ)く)、殻と渋皮とを去ったもの。
搗と勝と通ずるから出陣や勝利の祝、正月の祝儀などに用いた。
押栗。あまぐり。〔広辞苑〕」とされる。
この粉末状態のものが現在でも生き残っていることは確認できないが、
語義による認識に立てば、先程の「かちぐり」の場合は、
「搗栗」の表記はなじまないことがわかる。
次に、現在「かちぐり」の語を使用している商品を調べたところ、次のような例が見られた。
①乾燥し、渋皮を除去した状態の実を袋詰めして「勝栗」の名称で販売しているもの(九州産)
商品説明では、「特産の栗をゆがいて渋を取り、乾燥させたものです。」としている。
問い合わせて確認したところ、栗は蒸しているとのことであった。
同様の商品では、利用方法について「お正月用の黒豆煮によく用いられます。
30分位お湯につけ黒豆が2/3位煮えてから一緒に煮てください。
又、栗ぜんざい・甘煮にも最適です。」とした説明を付している例が見られた。
②ふつうの天津甘栗に「かちぐり」の名称を付しているもの
これについては特に深い意味はなさそうである。
③栗入りの白あんの饅頭に「勝栗」の名称を付しているもの
これは縁起をかついだ演出としての需要を期待した商品である。
といった具合で、「かちぐり」の語は広く使用されているが、中身には随分幅がある。
なお、古典的な「搗栗(かちぐり)」に関しては、
和漢三才図会に以下のように「造法」(作り方)の記述があった。
(平凡社口語訳より)
「老(ひ)ねた栗を殻つきのまま晒乾し、やや皺(しぼ)んだとき、
臼で搗いて殻やしぶ皮を取り去ると、肉は黄白色、堅くて味は甜(あま)くて美(よ)い。
また、熱湯に浸したり、火灰に埋めて柔らかくなってから食べるのも佳(よ)い。
あるいは食べるとき、1,2顆を掌の内に握り、やや温めると柔らかく、乾果の珍物となる。
これを嘉祝の果とするが、それは勝軍利(かちぐり)という言葉が縁起がよいからで、
武家では特に尊重する。」”
今では市場に出回らず、有名では無いものでも、
食べ物というものは一つ一つに人との関りや歴史があって、
各地で違い(名前、利用方法、保存方法など)もあって、それを知ることは面白いし、
それを調べて地域での再評価や差別化に自分が活かせれば、と思う。