「みまき夕日の写真展」の舞台裏
2012/11/14
最初に謝っておきますが、
旧高知駅の記事の後編を期待しておられた方々ゴメンナサイ。
ネタの鮮度の都合で今回は、
現在、御槇(みまき)で開催されている、
「みまき夕日の写真展」の舞台裏と、
その会場で開催したイベントのお話を書かせてもらいます。
旧高知駅の記事はまた次回までお待ちくださいませ。
さて、
今年の6月から10月まで、
「第1回みまき山里に沈む夕日フォトコンテスト」を開催した。
御槇(みまき)の地理的な特性から、
山に沈む夕日がきれいに見えることを活かした、
村の活性化のための企画だ。
最終的に全国22県から、
155点の作品が集まった。
(写真は審査会の時の様子)
現在、そのすべての作品を展示する、
「みまき夕日の写真展」を開催している。
会場として借りたのは、
御槇で一番大きな築100年の古民家、
「旧・福田百貨店」だ。
「旧・福田百貨店」という名前のとおり、
以前は何でも扱う田舎の商店だった。
お酒・たばこ・塩・味噌・醤油・衣料品・薬・農具・金融などなど。
「ここに来れば何でもある」と言われていた。
まさに“百貨店”である。
目の前がバス停だったということもあり、
当時はさぞ繁盛していたそうだ。
その福田百貨店も、
閉店してから20年ほどが経つらしい。
家主さんは宇和島市内に家を構えているため、
住む人は誰もおらず、
物置状態の空き家になっていた。
写真展を開催するにあたって、
会場をどこにしようか考えた時、
迷わず最初に思い浮かんだのが、
この建物だった。
いい雰囲気で写真を展示するなら、
「ここしかない!」と思った。
そこから、
知り合い伝いに家主さんと話をさせてもらい、
直接交渉の末、
使わせていただけることになった。
交渉の際、
「いくらで借りたいの?」
と家主さんに聞かれたが、
有志で活動している実行委員会に、
資金などまったくない。
「協賛という形で無料で使わせてください。」
とずうずうしくお願いしてみた。
ないものはないとしか言いようがなく、
開き直ってお願いするのみである。
「お金は全然ない!!」
という割り切りがあればこそだが、
“お金がない”というのは、
変な“迷いもない”分だけ、
強気になれるものだと思った。
結果、
「御槇の活性化のためになるならば…。」
ということで、
写真展を開催する1か月間だけ、
無料でお借りすることができた。
“御槇のために”という想いを、
共感していただける家主さんでとてもありがたかった。
ただし条件があった。
①水道光熱費は実費負担すること
②家の中に置いてある荷物は自分たちで片づけること。
いずれも、元々そのつもりだったが、
今回とにかく大変だったのは、
②の荷物を片づけることだった。
さて皆さんは、
「空き家に荷物を置いてある」と聞いて、
どんな状態を想像するだろうか?
先ほど掲載した土間の写った写真は、
すべて片付いた後の、
写真展開催中の写真だ。
小奇麗に片付いた今の姿は、
“片付け前”を知っている僕たちにとっては、
感慨無量の感がある。
そんな感慨を与えてしまうほどの、
片付ける前の状態を見てもらいたい。
↓↓↓
「足の踏み場もない」というのはまさにこの状態だ。
長年置かれた荷物は、
ネズミに食われていたり、
朽ちかけていたり、
むせるようなホコリで覆われていたり、
カビで真っ白になっていたり…。
“荷物”というよりも、
“ゴミ”と言って支障のないような状態だった。
いやホントに…。
こんな状態が、
合計16部屋、
広さにしてザッと120帖分くらいあるのだ。
心の準備はしていたものの、
いざやってみると想像をはるかに上回る大変さだった。
この状態から、
いるものいらないもの分別しながら、
1部屋ずつ片づけていった。
最初にこの状態を見た、
実行委員会の相棒「(通称)やまおさん」は、
「何も考えず無心でやろう…。」
という言葉を漏らした。
僕の「福田百貨店を会場に!」
という思いつきに乗ってしまったがために、
大変な目に逢った被害者と言ってもいいだろう(笑)
(2tダンプに満載でゴミ捨てに行った時の写真)
8月末から週に一度、
仕事が終わって19時半から片付けを始め、
日付が変わるころまで作業した。
それでも次第に間に合わない予感が漂い、
午前2時や3時まで片付けをするようになり、
週1回だった作業が週2回になり、
最終的には2晩徹夜でなんとか初日に間に合わせた。
気付いたら、
「最近はお互いの嫁さんといるより、
この二人でいる時間のほうが長いよね(笑)」
という状態だった。
写真が飾られたのは開館日の前日という、
なんともギリギリのスケジュールだった。
それでもなんとか形になって、
まるでお洒落な古民家ギャラリーのような雰囲気で、
オープン初日を迎えることができた。
最初の荷物だらけの状態から、
写真が飾られた今の状態を見ると、
まるで別の建物じゃないかと思ってしまうくらいだ。
これこそリアル“劇的ビフォー・アフター”。
「なんということでしょう!!~♪~♪」
の世界だと本気で思った
初日には愛媛新聞の取材もしてもらい、
県内に写真展の情報を発信してもらった。
「新聞を見て来ました。」
と言って来場してくれる方がたくさんおられるので、
新聞の効果は絶大である。
今回の写真展の企画を、
情熱を燃やして取材してくれた、
新聞記者さんに感謝×2である。
思い返せば、
やる気と時間しか持ち合わせていなかった実行委員会で、
なんとかここまでのものにすることができたのは、
協賛金や商品を提供していただいた、
協賛各社さんのおかげだと改めて思う。
(だからさりげなくこの写真を載せておこうっと。)
会場では夕日の写真のほか、
福田百貨店から“出土”した、
さまざまなお宝グッズを展示している。
古くて価値のありそうなものから、
懐かしさでつい見入ってしまう味のあるものまで、
見ごたえ十分な展示内容となっている。
ときおりお客さんに、
「写真がメインなのか展示がメインなのかわからないくらいだ」
と言われるほど、
面白いものがたくさん並んでいる。
高知県民が尊敬してやまない“あのお方”の写真も出てきた。
とにかく展示品が面白くて見入ってしまう。
そのほか、
いろんな方に来て写真を見てもらおうと、
週替わりでいろいろとイベントを考えている。
最初の日曜日には、
「みまき裏MAPづくり」という、
フォトワークショップを行った。
この企画、
参加人数は思ったより少なかったけど、
主催者の想像を超えて参加者同士が盛り上がり、
結果的には大成功のイベントとなった。
参加者の言葉を借りると、
「参加するまでそんなに期待してなかったけど、
参加してみたら予想以上に楽しかった!」
ということらしい。
(各自が撮ってきたオモシロ写真を解説付きで発表中)
そんなわけで調子に乗って、
第2回・第3回とやってみようかと思っている。
ただ難点は、
参加前の期待値が低いため、
参加者が集まらないことだ(笑)
先日の日曜日には、
「みまき自然の学校&母カフェ」を開催した。
この日は、
子供たちを自然の中で遊ばせる、
「みまき自然の学校」の開催と併せて、
そのお母さんたちに、
“体にやさしい”をコンセプトに、
写真展の会場で母カフェを出してもらった。
マクロビのテイストで作ったお菓子や、
玄米大豆おにぎり、
ジンジャージュースなどが並んだ。
ちなみにこの日は残念なことに“雨”。
しかも横殴りの風が吹く暴風雨。
みまき自然の学校の、
子供たちの方はどうしたかというと、
「雨と風が吹き荒れる日にも外で遊んでみよう。」
ということで、
さすがにいつもより参加者は少なかったけど、
暴風雨の中それでも決行してみた。
用水路でイモリに遭遇したり、
道端でヒキガエルに遭遇したり、
雨風が強くて最初は少し嫌がっていた子もいたが、
次第に慣れてこの天候の中で遊んでいた。
普段はこんな天気の日に外で遊ばないだろうから、
いつもと違う貴重な経験だったことだろう。
そうは言っても、
11月に雨にぬれるとさすがに寒いので、
最後は温泉に入って、
冷えた体を温めた。
温泉から出た後、
写真展の会場に戻ってお昼ご飯を食べた。
その後は、
会場の福田百貨店が広いのをいいことに、
子供たちは有り余るエネルギーを爆発させ、
ドタバタとはしゃぎ回っていた。。。
まるで体育館のような、
はしゃぎっぷりだった。
古民家×子ども=・・・。
家が壊れるかと思った(笑)
そんな感じで、
いろいろイベントも交えながら開催している写真展だが、
今度の23日と25日にもイベントを企画している。
特に23日は、
年に一度の地区のふるさと市と同時開催になるため、
かなり盛り上がるのではないかと期待している。
その日は写真展の会場でも、
お琴の生演奏やカフェの出店などがあり、
夜にはキャンドルナイトBARもオープンする。
山奥で夜にお酒を提供して、
果たしてお客さんは来るのか!?
というチャレンジな企画だ。
詳しく書き始めると長くなりそうなので、
その他イベントの詳細など興味のある方は、
こちらを見て貰いたい↓↓↓
https://inaka-pipe.net/event20121109/
「御槇の活性化のために」
と思って始めた写真展だが、
何より地元のお年寄りの方々が、
写真展を楽しんでくれているので、
やってよかったなと思う。
普段、御槇地区外に出ることがほとんどなさそうな、
お爺ちゃんやお婆ちゃんなども、
夕日の写真を見に来てくれる。
そして、
「福田百貨店は昔いつも来ていたから懐かしい」
と言って、
昔話をしてくれる。
「いつもカウンターで酒を飲んでいた。」
「1円で大きな飴玉買って一日中舐めていた」
「バスで小銭がないとき両替してもらった」
などなど、
人それぞれ、
いろんな思い出は尽きない。
やってみて気が付いたことだが、
ただ個人の家ではなく、
福田百貨店という昔の商店を会場にしたことで、
年配の方はみんなが「懐かしい」と言って来てくれる。
誰もがみんな、
昔買い物に来ていたからだ。
当時を知るお年寄りにはとっては、
この建物を何十年ぶりかに見るだけでも、
十分楽しめるようだ。
途方にくれながらの大片付けは大変だったが、
お年寄りのそんな姿を見ていると、
ここを会場にして良かったなと、心底思った。
みまき夕日の写真展も残すところあと5日。
17日・18日の土日と、
23日~25日の3連休が営業日だ。
もし興味を持った方がおられたら、
御槇まで遊びに来てもらえたらうれしい。