百業スタイルで生きる
2013/01/16
- 執筆者 高橋洸貴
- 所 属高橋洸貴 地域づくり事務所
こんにちは、高知・仁淀川町在住の高橋です。
前回の投稿を振り返ってみたら11月16日でした。
あれから早2ヶ月が経とうとしています。時間が経つのは早いですね。
僕が自営業を始めて2ヶ月半が過ぎました。
今、再び大きな局面を迎えています。
自営業を始めたといっても、これまでは請負業務をしていました。
それもほぼ雇われているに近い状態でした。
僕は大学卒業してから、3社(企業2社・NPO1社)に勤めた後、今に至っているのですが、
自営業をしてもなお雇われに近い状態に身を置いてしまっていました。
これじゃ意味ないですよね。
ということで、この状態から脱するべく動き出した次第です。
田舎暮らしは百業暮らし。
百業とは100個の仕事をして年間の暮らしを営むという意味です。
が、いきなり100個も仕事は作れません。
一業ずつ仕立てて行けば良いのだと思います。
僕がまず仕立てようと思ったのが「ポン菓子職人」です。
ポン菓子は百業にする副業としてもとても優れています。
まずは費用面。僕はポン菓子機をお借りしましたが、購入するとしても一番小型のものは30万円。
諸々の備品を入れても35万あれば余裕で揃います。
実演販売系のビジネスでも初期投資額はかなり低いと思います。
よって参入障壁が低いです。
そして、素材は地域にある素材を活用できます。
各地域の固定種などを調べていけば、素材自体はバッティングしないです。
それに素材がかぶっても食は文化なのでその地域ごとにストーリーは異なります。
異なるストーリーがあれば同じ素材でも別物です。
なので、地域ごとの固有のストーリーを食を通じて運び伝えることができます。
なにより僕が一番推したいのは、その社会技術としてのポテンシャルです。
社会技術とは、ソーシャルテクノロジーとも言います。
はてなキーワードの説明を引用すると
「私たちの生活を脅かす社会問題を技術で解決しようとする新しい分野。より良い暮らしを得て、将来への不安を少なくするために、技術を用いて貢献することを目的としている。」
とありますが、ポン菓子はまさにこれを体現する媒体の一つだと思います。
そして、この技術は誰でも利用可能で、
機構がブラックボックス化しない簡易なものである程よいとされています。
僕の地域づくり事務所のビジョン・ミッションでは「受け継ぐ」ということを大切にしています。
今、地域での早急な課題は、戦前の記憶をできるだけ多く残すということです。
それを失うことは地域の個性の消滅につながるので何とか避けなければならないです。
この受け継ぐための媒体は紙面・WEBなど様々ありますが、
食を媒介とすることが最も人の興味を引き、かつ人の心を掴めると思います。
食欲は人間にとって書かせない欲求ですし、何より「おいしい」は人を幸せな気持ちにします。
そして、食には必ず地域固有の歴史と文化がついて回ります。
仁淀川町にはコメが少なかったという歴史があり、
それがキビやイモや豆類の食文化につながっています。
「貧しさは個性」だと僕は常日頃から思っていますが、
地元の人は貧しさを恥ずかしいことだと考えるので隠したがります。
となると、それを何のバイアスもなく発信できるのは僕のような移住者になってきます。
僕に何らかの役割があるとすれば、
その個性をその地域と歴史と文化を背負った食を通じて運ぶことです。
なので、僕らはポン菓子を売るわけではなく、あくまで地域を伝えるためにポン菓子という媒体を用いて
食を通じてそのメッセージをゆるやかに伝えていくのです。
それをする媒体として、最も優れているものの一つがポン菓子です。
ポン菓子を通じて、再度地域の食を通じた文化・歴史を探索していき、
食材の呼び方、食べ方、作り方を整理していくことが大切です。
これは地元学の吉本さんの受け売りですが、地域の個性は方法論に込められています。
呼び方、食べ方、作り方、どれも方法論です。
その地域ならではの方法論こそが尊いのであって、
それを知ることでその記憶を留め受け継ぐということに一歩迫れます。
ポン菓子はそのスタートを切るのにはとても優れています。
と、そんなことを考えつつ、僕は「条件不利地域をなんとかする人」としての役割で生きていきたいので、ポン菓子はその一つとして使えると思った次第です。
もちろん百業の中核はプロジェクトを企画し実践していく企画実践屋にしていきたいのですが、
経験も不十分で実績も少ない中ではなかなかそれだけでは生きていけません。
なので、企画実践屋の取り組みを進めつつ、
それを支える副業もしながら百業暮らしができるようにしていきたいと思います。