あなたのふるさとの味は?
2013/02/22
皆さんは旅行に出かけた先で、地元のスーパーに入ることがありますか?
特に田舎へ旅行した時には、お土産屋さんに入ることはあっても、
中々地元のスーパーに行って商品を見る、ということはされないと思います。
私自身は、旅をした際には必ず現地のスーパーや個人商店に入って品物を見るのですが、
石垣島に行った時に、石垣にもイオンがあって、もはやどこにでもイオンが進出している現状と、
一部を除いてほとんど同じものしか置いていない現状に非常に違和感を感じました。
日本各地には伝統ある食材や加工品が多種多様にあった筈なのですが、
近年のグローバル化、流通の発展に伴い食の画一化・均一化が加速し、
日本の古来からの食文化が失われつつあります。
それは、ただ単に食文化が失われるだけでなく、
生産地の変貌、生産者の減少、家庭の変化、遺伝的多様性の減少、
環境の多様性の減少なども含む、危惧すべき事態だと思います。
日本料理の味を忘れ、中国やアメリカなどから入ってくる大量生産の個性のない食べ物を受け入れ、
日本の食べ物を見向きもしなくなりつつあります。
しかも、イタリアから「スローフード」の概念を輸入しないとそれに気付かない・・・。
各地の個人商店を価格競争や商品数でつぶして、チェーンの大型店舗をだして、画一化した商品を売る。
大手の食品会社にとっては、「各地の違い」なんて無くなって共通化した方が、
大量に売りやすいし、コストも下がるし、マーケティングも、ブーム作りもしやすいだろう。
最近は「ジビエ」ブームが来たからと、目先の流行にとらわれて、
非常に限られた選択肢の猪と鹿の肉だけ対象にして洋食化したジビエ料理のPRやコンテストをやっている田舎がありますが、食の文化が初めから減っている都会ならまだしも、「田舎でそんなことしてる場合か? もっと足元みろよ。洋食化しなくてもふるさとにはいいもんいっぱい転がってるのに!」と言いたい。
さらに、昨年、国は日本食をユネスコに無形文化遺産として申請したようだけれど、
外堀から埋めるのもいいけれど、とっとと各都道府県、各市町村、各集落、
各家庭にわずかに残る食の文化を残せるようにしないと、
そのうち地元の住民も作れなくなり、観光客向け料理店でしか
その土地のふるさとの味が食べられないような世界がきてしまう・・・。
と誰もが知っているであろう一般的なことを書きましたが、
私が実際に住んでいた高知の四万十の限界集落で生活の中で感じたこととしては・・・
◆まだ地域に残っていた独自の料理としては、
・九年母(柑橘の1種)の味噌漬け
・サバの姿寿司を焼いて食べる
・ふわふわ豆腐
・いももち
◆環境の悪化でほぼなくなりつつある料理
・シバエビ料理
・あゆのうるか
・あぶり鮎
◆全国的な文化であるが失われつつあって、住んでいた地域でまだ残っていた料理
・たぬき汁
・ニッキの根を掘り起こしてかじる
・小鳥の骨ごとつくね
・山茶、野草茶
・いもあめ
・むかしきびの焼きもろこし
などが感じられました。
限界集落ではスーパーがあって無いようなものなので、
各地の家庭料理が守られた。
言い換えれば不便だったから、家庭で伝承されて残っている現状を肌で感じることが出来ました。
では、限界集落に住んでみて、食の多様性を残すために思ったことですが、
- ・今から限界集落になれ!とは言えないので、今ある限界集落の多様な食文化を早期に保存・活用する
- ・必ずスーパーに地場産品、地域食材、郷土料理のコーナーを一定の面積以上設ける
- ・日本ではハレの日だけの料理も存在するので、正月・盆や地元の祭・神事も大事にする
- ・どんな料理があるかを聞き出せる人が必要、ただ聞くだけだと出てこない
- ・他の地域を見てはじめて、自分の地域の料理が見えてくる
- ・給食は和食メインでバンバン郷土料理や郷土素材を入れる。子供が喜ぶから好きなものを、とか、骨の無い魚を、では無くて、日本人として、そしてその生まれた地域を知るために食べさせるべき。本物の味を小さい頃から五感で感じさせるべき。
- ・家庭料理を作れる親が減っているので、料理教室で学ばせて、実際作って子供に食べさせる
- ・お婆ちゃんは生きているうちに使え! いや、教えてもらえ!
- ・できれば田畑で季節の収穫体験をさせて、旬や本来の生きている姿を見せる
- ・どこも画一化してしまったら、ふるさとの自然も浮かばず、郷土料理も浮かばず、
- 地域の個性も感じられず、なーんの郷土愛も感じない人になってしまう。
まだまだ案が浅いかもしれませんが、
みなさんはもっと様々な考えがあると思いますが、
あらためて身近な食・「あなたのふるさとの味」について考えてもらう機会になれば幸いです。