こいのぼり、始めました
2013/04/26
- 執筆者 横山光一
- 所 属高知県四万十町役場
朝晩は、まだまだ肌寒い四万十からこんにちは!
春は恋の季節!とも言いますが、先日、「もてもてナインティナイン(通称:もてナイ)」なる番組収録のお手伝いをさせていただいた四万十町役場の横山です。
もてナイの番組企画である「お見合い大作戦」が四万十町で行われ、自分の同級生や後輩も参加者として出演していたのですが、他人の恋模様にあれだけ一喜一憂したのは人生初めてかもしれません。
四万十町で行われた撮影の放送日は、5月21日(火曜日)で、ナント3時間の特番らしいですので皆さんぜひご覧ください。
さて、長々しい前置きはここまでとして、今回の本題です。
前回の記事で、
『サハラマラソンレポートも、次回で最終回ですよ!うひょー』
と書いていましたが、旬は外せないだろうと思い、今回は「こいのぼりの川渡し」について書かせてもらいます。
自分の住んでいる四万十町十和地域(旧幡多郡十和村)は、近年全国各地で行われている「こいのぼりの川渡し」の発祥地として有名な所で、地域のいたるところにこいのぼりに関するモノがたくさんあります。
勤務先である四万十町役場十和総合支所(最近、新築されてキレイになってます!)にも、
出納室の前には、ペーパークラフトのこいのぼり
自動ドアにもこいのぼり
果てには、画像がないですけど、国道沿いにある街路灯にもこいのぼりのモニュメントがあるくらい十和地域はこいのぼりの村として知られています。 その中心にあるのが、毎年4月中旬から5月中旬にかけて行われる「こいのぼりの川渡し」。
こいのぼりの川渡しとは何ぞや?
と思われる方は、コチラをご覧ください。
どーん!
これが「四万十川のこいのぼりの川渡し」
四万十川を中心に両岸の山から山へとこいのぼりを約500匹ほど渡しているのですが、この取り組みも今年でちょうど40回目を迎えることとなりました。
この川渡しを行っているのは、役場でも観光協会でもなく、住民さんで組織された「十川体育会」という団体(自分も所属しています)が行っているんですよ!
始まったきっかけは、諸説あるのですが、一番有名な話が四万十町のHPに掲載されてますので、そちらをコピペしますね。
○四万十町HP掲載文
「最近は僕らぁが、大きくなったけん、家で鯉のぼりを上げてくれん!」
こんな会話を聞いた、当時の体育会のお兄さんたちは、
「よっしゃ。それやったら、おまんらあの鯉のぼりを、持ってこい!おれらあが、まとめて上げちゃうけん!」
と、翌昭和49年に50匹程の鯉のぼりを、ロープを使いながら川の上になんとか渡した。そんな、体育会のお兄さんから子供達への、心のこもったプレゼントが「鯉のぼりの川渡し」の始まりである。
十川体育会のメンバーは、30年以上もの間、この子供たちとの約束を守り続け、毎年忘れることなく鯉のぼりを四万十川にかけ続けている。(当時の子供達は、すっかりおじさんになってしまったのだが・・・)
その後、この取り組みはマスコミ等で取り上げられ、全国各地から鯉のぼりが送られてくるようになる。
と言うようなけっこう美談としても有名です。
今年も、子供たちの約束を守り、4月14日から行っていますが、毎年、この期間中には、
「あの川渡しは、どうやって行っているのですか?」
という問い合わせがたくさんあります。
という訳で、どうやって川渡しを行っているのか、ここでご紹介!
こいのぼりの川渡しができるまで
①ラジコンで対岸の山にヒモを飛ばす。
文字だけでは、なんのこっちゃわかりませんよね。
この青いヒモを、
ラジコンに結びつけて、対岸の山に飛ばす。
どうです?これでイメージがつかめましたか?
②対岸に渡したヒモをロープに代える。
これもよくわからないと思います。こいのぼりを渡すのには、丈夫なワイヤーを使用しています。が、やはり重量があるので先ほどのヒモではワイヤーを両岸に渡すことができません。(切れちゃいますから。)
なので、ワイヤーの重量に耐えられるロープをまず両岸に渡さなければなりません。
これがそのロープ。けっこうな長さです。
ヒモにロープを結んでいるの図
それをえっちらおっちら引っ張ってロープにかえているの図
③ロープをワイヤーにしまっせ!
ワイヤーにかえる時が、一番の重労働に思いますが、うちでは秘密兵器があります。
それが、これ。
山奥で切った木材を搬出する時などに使用するウインチです。
これで、ロープを巻き取りながらワイヤーに切り替えていきます。
このウインチは、一本のワイヤーを端と端をつないで輪っか状にしておけば、こいのぼりを片づける時にも使用できるということも利点なんですよ!
ただ、ワイヤーにかえるときは、機械の力だけではダメなので、ここでもえっちらおっちらひっぱります。
笑ってますけど、けっこう重労働!
④ワイヤーに沿ってこいのぼりを括り付けるロープを取り付ける。
ご存知の方も多いと思いますが、ワイヤーは細いワイヤーをらせん状に編み込んで強度を持たす構造になっています。
このらせん状になっているのが、こいのぼりを括り付けるのにはクセモノで、直接ワイヤーに括り付けてしまうと、送り出す際にこいのぼりがグルグル回ってからまってしまいます。 なので、ワイヤーとは別にこいのぼりを括り付けるロープを取り付けています。
このあたりは、長年の経験値の蓄積によるものです。
ワイヤーに取り付けるロープを結んでいるところ。ロープは弛まないように先頭にオモリを取り付けます。うちでは、オモリにトラックのホイールを使用しています。
⑤ようやくこいのぼりを取り付けちゃうよ!
ワイヤーとロープに番線でこいのぼりを取り付けていきます。
こいのぼりを取り付ける時は、両岸で同時進行で行います。
最近では、地元のスポーツ少年団の子供たちも手伝ってくれています!
みんなで色合いも考えながら取り付け中。
どうです?
こいのぼりの川渡しは、どんな工程で行われているのかわかりましたか?
この取り組みは、十和地域に代々根付いてきたモノです。 今後、自分たちの世代が中心になって行っていくことになろうかと思いますが、同世代の友だちとは、
「俺らの体が動かんなるまではやろうかね!」
といつも言っています。 そんな自分たちも楽しみながら行っている「こいのぼりの川渡し」は、今年は、5月18日まで行っていますので、ぜひ興味があった見に来てください!
そして最後に、この川渡しに使っているこいのぼりは、家庭で使われなくなったこいのぼりを全国各地から送っていただいた物です。
ただ、近年は、少子化の影響や、マンション住まいが多くなっている等の住宅環境の変化、そして同じような取り組みが全国各地で開催されだしたことなどの理由により、年々送られてくるこいのぼりが減っていました。
1か月間行っている十和地域の川渡しでは、期間中に風等の影響により、毎年100匹前後のこいのぼりが破損等により使用できなくなり、近年ストックしていたこいのぼりが少なくなり、今後の開催が危ぶまれていました。
そんな時に、FBやブログ等で呼びかけてこいのぼりの募集を呼びかけてもらったり、地元新聞社やテレビ局等でも募集を呼びかけてもらったりした結果、今年は200匹ほどのこいのぼりを北は北海道、南は九州熊本から送ってもらいました。
この場をお借りして送ってくださった方々、募集呼びかけをしていただいた方々にお礼を申し上げます。
本当にありがとうございました!
今年送ってもらったこいのぼりの一部。段ボール全てにこいのぼりと善意が詰まってます!