かわいそうな小夏
2013/06/17
大正町市場の川村です。
4月から本格的に大正町市場のど真ん中でお仕事することになってふた月半たちます。
ずーっと今まで外から大正町市場を見て、市場とその周辺の活性化をやってきましたが、
中に入ってみるのと外から見ているのとでは大違い。
市場の活気はまだまだ。 傍で見るより、ずっとにぎわっています。
でもこれでいい、わけではないので、更なる活気とお客様のニーズにこたえながら、
また、いい意味で期待を裏切る楽しい市場になるよう、何か考えないといけないと思う毎日です。
さて。
そんな大正町市場の活性化が私の主なお仕事なのですが。
同時に、”市場のめし屋浜ちゃん”の経営もどんどん上向きになるよう、
店頭に立ち接客をしながら考えています。
浜ちゃんは市場の中にあるので、メニューはもちろん新鮮なお魚。
とれたての鰹(かつお)、鯵(あじ)、かんぱち、ひらまさ、ぐれ、
季節のお魚も漁があればどんどんお出ししています。
とはいえ定番は”鰹(かつお)”
鰹の刺身定食、タタキ定食、鰹丼、この3つが定番メニューです。
丼は値段も手ごろ、いろんな雑誌、テレビ番組などに取り上げられ、
年間2万食売れるヒットメニューですが、定食もなかなかです。
鰹のタタキorお刺身に、小鉢がふた皿ついて700円。
そしてこの時期、小鉢のデザートに”小夏”をお出ししています。
”小夏”は高知県の代表的な果物。 こじんまりしたグレープフルーツみたいな果物です。
でも食べ方は独特。 周りの黄色い皮の部分だけを包丁で向いて、白い甘皮ごと食べます。
こうすると酸味と甘みがちょうどのバランスになります。
でも。
この食べ方を知っている、というか小夏を知っているという県外の方はとても少ないです。
そのままパクっと食べられるよう、定食の小夏は甘皮つきで6~8等分に切ってお出ししています。
でも。
”かぼす”のように刺身やタタキに果汁だけ搾られる小夏。
食べてもらえるとしても、すっぱい果肉の部分だけ食べられ、甘皮をむかれて残る小夏。
さぞかし、「すっぱ!」と思われていることでしょう。
あるいは、「甘皮ばっかりで食べるとこ少なっ!」と思われ、手にさえとってもらえてない小夏。
帰られたお客さんの下げ物をし、残された小夏を見て、同僚が「小夏ってかわいそうでね」とボソっと。
高知県の人に小夏の説明しても、ちょっと失礼だろうし。
お客さんを高知の人か県外の人か、見分けるにもなかなか難しく。
結局、お客さんが小夏をしぼって鰹にかけようとしているのを見かけたときに、
「あ、これは・・・」と小夏の説明をしてあげるのが、
今の私にできる小夏に対しての精いっぱいのことです。
かわいそうな小夏。
そう思ったら、それまで好んで食べてなかった小夏でしたが、ちゃんと食べてみようかなと、
10こ1袋くらいで売られている小夏を買って、私は今日も小夏を食べるのです。
(もうすぐスイカだけどね!)