赤線調査隊!
2014/12/03
まず始めに断っておきます。「赤線」というと、1958年に廃止されたあの「赤線」を連想する方が多いかと思いますが、まさかこのいなかマガジンでそんなトピックについては取り上げません。ご安心ください。
ここでの「赤線」とは、現在のような車道が整備される前に、人々が生活や仕事のために使っていた昔の歩き道のことを指します。一昔前までは、集落の中、家々の間を結び、山を抜け、集落と集落を結ぶ「赤線」を歩いて、人や物が行き交っていました。今回は、そんな「赤線」にロマンを感じ、魅せられた上勝人たちの道中記です。
去る9月末日、7人のメンバーが上勝町某所に集結しました。
名付けて「赤線調査隊」です。なぜ、調査隊なのか? それは、今回の旅が単なる歩き旅ではなく、「赤線」という歴史ある地域資源を観光資源として活かすことができないか、という壮大なプランに基づいた第一歩だからです。そこで、まずはとりあえず、町の端から端までいっぺんに赤線を通って制覇してみようということです。
まずは舗装された車道を歩いて赤線の起点を目指します。大人の遠足みたいです。ワクワクします。
今回の調査隊長は「ヌキさん」。パイプをふかすのがトレードマーク。本職はテレビマンですが、上勝町では古民家でBarを営んでいます。
隊長はこの旅に向けて、ゼンリンの住宅地図を購入し、町役場にて明治時代に描かれたという巨大な地図を閲覧し、現在の地図と照らし合わせて、残っていると思われる赤線を書き込むという準備を行いました。全六日間の旅の途中、何度このスペシャルゼンリン住宅地図に助けられたことか…
ありがとうゼンリン。
ありがとうヌキ隊長。
山頂まで車道を登っていったところ、眼下に綺麗な景色が広がってきました。「ここからこんな景色が見えるんだ」とか「ここからあそこの集落が見えるんだ」という発見は最後までこの旅の醍醐味でした。
そうこうしているうちに赤線と思しき道を発見→突入。
ん?なんか案外整備されてる?
あとから分かったことですが、この道の先には鉄塔があり、工事や点検のため電力会社が整備しているのだろうとの推測でした。
その鉄塔です。
こんな山奥に、こんな傾斜地に、よくぞこんなに大きな塔を建てたものだな、と素直に感心。
進むにつれて徐々にハードさを増していく赤線。
果たしてこの道で合っているのか? ヌキ隊長とゼンリンを信ずるのみです。
赤線突入から30分ほどで、最初の目的地であった「柳谷(やなぎたに)集落」に到着することができました。
この記事を読んでくださっている方には伝わりにくいかと思いますが、上勝町民としては「えっ?もう着いたの?」と、なんだかワープしたかのようなお得感を感じることができました。合っているのかどうか不安を感じながら赤線を歩き、集落へと抜けた時の嬉しさは、まさに探検隊ならではのものです。
おお。なんと美しい稲刈り前の柳谷。住んでいる家はもう数軒で、空き家が目立つ集落ですが、こんなに美しい風景があるのです。
歩いていてなんとも気持ちのよい赤線を発見。こんな道を毎日歩いてみたいものです。隣に沢があったので、ここを「せせらぎロード」と名付けました。
八幡神社にも立ち寄りお参り。どこの神社もそれぞれに風情がありますね。この八幡神社を抜けてからなかなか赤線を見つけ出すことができず、鹿よけネットに何度も行く手を阻まれ苦労しました。鹿の苦労がよく分かります。
もうあきらめて車道に出ようかと話していた矢先に光明が…!
ぱーっと視界が開け、自分たちがいまどこにいるのか認識できた瞬間でした。
ちょっと休憩をとったあと、再び赤線に突入。
一日目の最終目的地である藤川集落に出る算段です。
しかし、ここからが更なる試練の始まりであった…!
(続く)