7日間からの漁村留学

2015/04/11

 

 こんにちは、初めまして。群馬県高崎市出身、宮城県石巻市在住の林陽子といいます。初めて「いなかマガジン」を執筆させていただきます。これから毎月、私の大好きな石巻の自然のこと、文化のこと、漁師さんたちのことなど、徒然と紹介していけたらなぁと思っております。

 

林陽子

 

 初原稿のタイトルは『7日間からの漁村留学』。その『漁村留学』の運営が今の私の仕事です。といってもこれはあくまでもキャッチコピーで、正式なプロジェクト名は「イマ、ココ プロジェクト。」といいます。なんかよくわかんない名前ですよね。まぁこの名前の由来はまたいつかのマガジンで書かせていただくとして。今日は私の自己紹介も兼ねて、「イマ、ココ プロジェクト。」(通称「イマココ」)とはいったいどんなものなのか!?について書きたいと思います。

 

イマココプロジェクト

 

 

このプロジェクト、大きなポイントは2つ。

 

☆POINT 1  「参加期間は最低7日間」

☆POINT 2  「参加期間中は、受入れ先の漁師さんの自宅かその地域の会館に泊まらせてもらう」

 

 この2つ、それぞれいくつかの狙いがあり設定しているものなのですが、共通している狙いもあります。それは、このプロジェクトで一番大事にしていることでもある、「繋がりを作る」ということ。

 1週間(もしくはそれ以上の長期間)寝食を共にしながら作業をお手伝いするなかで、参加者は漁業の大変さや楽しさを知り、漁師さんは漁業以外の人生について聞き、触れる。大変な作業を一緒に経験し、時には漁師さんに怒られたり、お酒を酌み交わしながら人生の先輩からの説教をいただいたりもする(笑)そうやって培われる関係は、1~2日の漁業体験で得られるそれとはまったく密度が違います。

 

 食卓囲みながら

食卓を囲みながら交わす他愛のない会話が心の繋がりを育む。

 

 漁師さん

前の晩遅くまで盛り上がっても、仕事モードのスイッチが入ると表情がピリっと一変するのが漁師さんの習性。

 

 石巻市の過疎化高齢化や一次産業の担い手不足といった問題は、東日本大震災によって大きく加速しクローズアップされるようになりましたが、震災前から抱えていた深刻な問題です。そして私たちピースボート災害ボランティアセンターは、「イマ、ココ プロジェクト。」がその解決の糸口の一つになるのではと考えています。1週間現地に泊まり込みという形だからこそできる人と人との繋がり。「体験」ではなく1週間ガチでお手伝いをすることで見えてくる漁業・浜の魅力や厳しさ、格好良さ。

 地域おこしのキーワードの一つとして、「ファンになってもらう」「ファンを増やす」ということがよく言われると思うんですが、このプロジェクトでは「ファン」を通り越して、自分もその浜の「一員になる」という感覚の方が近いかもしれません。だから、参加期間を終えて自分たちの生活に戻っていった後も、自分の休みを使ってお世話になった漁師さんのお手伝いに足を運んだり、お盆の時期はおじいちゃんの家に帰省する感覚で浜に帰って来たり、中にはアルバイトとして働きに戻って来る人もいます。

 

 例えるなら、大好きなアーティストを客席から応援する「ファン」ではなく、ステージを一緒に作り上げる「チームのメンバー」とでも言いましょうか。もちろんファンを増やすのはとても大切なことです。コンサートを開催したくてもファンがいなかったらできないですからね。それと同じで、ファンがいてもコンサートを作り上げるメンバーがいなかったらステージが成り立たないんです。照明、音響、ステージを組み立てる人、バックダンサーなどなど。

 「イマココ」は、ファンを通り越してメンバーの一人になってもらって、参加期間が終わってもそれぞれがそれぞれのできる形で関わり続けていける、そういうものを作りたいんです。もしかしたらボーカル(=漁師さん)とバックダンサー(=参加者)がコラボレーションして、新しい何かが生まれるかも知れない、そんなことも期待しながら。

 

牡蠣の水揚げ

朝4時に起きて、牡蠣の水揚げへ。

 

メカブ

メカブの「耳削ぎ」と呼ばれる作業。

 

宴会

お世話になった漁師さんたちとの楽しい宴で一週間が幕を閉じる。

 

…というような「イマ、ココ プロジェクト。」は、プロジェクト開始から2年が過ぎ、累計参加者数727名、日延べにすると5651名(2015年2月末付)の方にご参加いただいてきました。3年目を迎えた今年は、プロジェクトの幅をさらに広げ、より沢山の繋がりやコラボが生まれるものにして行けたらと思っています。その様子はFacebookTwitter、このマガジンでも紹介していきますので、楽しみにしていただけたら嬉しいです。

 

 それにしても、文章を書くのって難しいですね(汗)これから毎月執筆すると思うと今さらちょっとどきどきしてきました。でも、お散歩好きな私の脳味噌の中で、ふわふわとお散歩している何気ない「これスキ」を発信していける場をいただけてとても嬉しいです。

みなさん、これからもよろしくお願い致します!

 

 

 

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