移住から2年経ち、都会といなかの生活環境を比べてみたら、どっち(で)もいいね!と思ったハナシ

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執筆者 冨永健
所 属一般社団法人MIT

2015/07/31

 

 こんにちは。対馬のいなかベンチャーMITの冨永です。対馬では、7月と言えば国境マラソンです。マラソンと銘打っていますが、最長でもハーフ、その次が10kmという距離設定になっています。何故かと言うと、、、激坂の連続なんです。スタートするといきなり登り、そして下り、そして登り、そして下り、、、言わば、舗装路のクロスカントリーですよ。(あと、国境は越えませんので、日本人ならパスポートは不要です。)

 

国境マラソン

ゴールも急な下り坂の先です

 

 さて、前回のいなかマガジンでは「霞が関で役人をやること」と「超いなかのベンチャーで働くこと」を「働く環境」という切り口で比較してみました。その後、某経済新聞のサイトで、某IT系の社長さんが「ウェルカムバックレター」という制度について話していました。これは、会社を辞めた人に出す、辞めてから2年間のうちに会社に戻ってきてね、というお手紙なのだそうです。要は、出戻りOKで給料も据え置きという制度。優秀な人材を手間をかけずに取り戻す手段なのでしょう。

 国家公務員には無い制度ですし、「優秀な人材を」ということなので自分には縁が無さそうですが、仮に「内閣府からウェルカムバックレターが届いたらどうしよう」との考えが浮かびました。前回の記事に書いた通り、「働く環境」として比べたら、東京に戻ることにはデメリットも多いのです。ということで、今回は「都会といなかの生活環境を比べてみよう」と思っております。

 

 さて、「都会で便利なこと」と「都会から見たいなかの不便」をざっと比較してみましょう。なお、もっと便利だったりもっと不便だったりという事例もあると思いますが、個人的な感覚での比較なので念のため。

 

1つ目 5分おきに電車が来る(いなかでは1日にバスが2本)

2つ目 コンビニやスーパーや牛丼屋が24時間営業してる(最寄りのコンビニまで車で1時間)

3つ目 本屋がでっかい(小さい書店まで車で40分)

4つ目 病院がたくさんある(最寄りの診療所は一週間に半日しか診ない)

5つ目 風呂、キッチン、床暖房を都市ガスで使える(プロパンガスで調理+灯油で風呂)

 

といった感じで、都会のメリットを一言で言うと、何事においても「選択肢が多い」ということのようです。しかし、実際にいなかで暮らしてみると、上記の5点は「不便極まりない」というほどではありませんでした。

 なぜかと言いますと、1つ目は「どうせ車で移動するから、むしろ都会より便利」だったりします。駅まで歩かなくてもいいのです。電車を待たなくてもいい(いくら待っても来ないけど!)のです。家から目的地まで、路線検索しなくても行ける、これは便利な生活ですよ。(ただし、ガソリン代が高いです。昨年はリッターあたり200円まで上がりました!)

 

馬

馬で移動できればもっと楽しいのに

 

 2つ目は「慣れる」の一言に尽きます。スーパーでの品ぞろえが貧弱でも「ないものはない」の精神が自然と身に付きます。どうしてもコンビニでなければ解決できない問題は、某ローカルTV局の人気番組のDVDが手に入らないことくらいです。あと、釣りの帰りに「コンビニで肉まんでも食べたいねー」と思っても叶わないとか。(家から釣り場まで歩いても5分) 逆に、このような状況なので自ずと出費が減ります。大きな不便ではありますが、良い面も大きいのです。

 

スイスバナナ

スイス産のバナナを売ってます

 

 3つ目は「アマゾンさん、そしてクロネコヤマトさんありがとう」ということで解決しています。ただ、大きな書店で立ち読みしながら本を選ぶ、という書店の醍醐味は味わえません。しかし、ネット書店と宅配便のおかげで、早ければ翌日には家に届くのです。(クロネコヤマトが営業していないような小さな離島だと、それさえも叶わないので気の毒ですが) そして、クロネコヤマトを使っていない通販会社だと、恐怖の離島料金設定があったり、そもそも離島には配達してくれなかったりします。なので、ヤマト運輸さんへの感謝は尽きることがありません。

 

対馬クロネコ

島内を走るクロネコヤマト車にはステキな絵が貼ってあります

 

 4つ目は「怪我、病気に気を付ける」しかありません。今のところ健康なので、不便なことはありませんし、むしろいなか暮らしで適度な運動+仕事のストレスが減って体調が良くなったと自負しております。一方で、日常的に刈り払い機や草刈り鎌を使いますし、出刃包丁で魚を下ろす機会も多く、怪我のリスクは都会よりも大きいのです。くれぐれも気を付けましょう。

 

ナタ

ナタも買いました(Amazonで)

 

 5つ目は、、、これは不便。ですが、都市ガスorLPガスの利用世帯は、全国でも半々ですし、都市ガスエリアはほとんどが東名阪地区。いなかの不便として特記するほど際立った不便ではありませんし、むしろ薪で湯たんぽ用のお湯を沸かしたり、炭火でイカとかサザエを焼いて食べたりできますので、都会の人から羨ましがられることも多いです。クーラー不要のさわやかな夏を過ごせますし。

 

炭焼き

炭は重要な熱源ですよね

 

こうやって比べてみると、とかく「都会は過剰」だと思うのです。コンビニの真正面にコンビニがあったり。選択肢が多過ぎるというか、サービスが過剰に提供されているのではないかと。

 

その他のデメリット

●家の中とか外に変な虫とか動物がいる(慣れるの一手)

●トイレが汲み取り式(だけど、洋式便器で簡易水洗)

●台風で停電する(台風じゃなくても停電する)

●通販で買えないものがある(離島は配達エリア外とか)

●スタジアムでのサッカー観戦ができない

●密会ができない(不思議と誰かに見られている)

●車が運転できないと行動範囲が狭い

●油断すると草ボーボー

 

Iターン特有のデメリットとしては

●旧友に会いづらくなる

●移住数年後からは、地域や学校での役員に担がれる機会が増える

 

メリット

●家賃が格安

●通勤が楽

●保育園は待機児童ゼロ、小中高は少人数教育

●宅急便やゆうパックは、家に不在でも置いてってくれる

●庭に野菜がある

●終電を気にしなくてよい(基本は家飲み。カラオケ屋さんには送迎サービスがある!)

●(離島だと)毎日でも釣りに行ける

 

 釣り

実益のある娯楽

 

 他にも、人それぞれにメリット・デメリットがあると思います。しかし、「毎週のサッカー観戦だけは失いたくない!」と思っていた東京人も、対馬に引っ越して来たらそれほどでもないことに気づいたり。引っ越してきた当初は「風呂トイレは別棟か、、、」と思っていたのに、いつの間にか全く気にならなくなっていて、今では湯上りに外で夕涼みできるという優雅な暮らしを送っています。

 どちらの生活も良いのです。住めば都とはよく言ったもので、風呂上がりに満天の星空が見られる生活と、マンションから会社まで傘をささずに往復できる生活、どちらの生活にもそれぞれの良さがあるということを実感しています。

 

 しかしどうでしょう。移住からちょうど2年経ちますが、何かの間違いでウェルカムバックレターが届いたとしても、その権利は行使しないような気がします。何かが便利だとか不便だとか、それだけではない「生活自体の楽しさ」がいなかにはあります。馬の世話をさせてもらったり、庭で鶏を飼ったり(もちろん二羽!)、都会暮らしでは想像もつかなかったような楽しさや驚きの毎日です。

 

ニワトリ

ニワトリ小屋って売ってないですよね

 

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対馬 自然と暮らしを学ぶ3日間

 

 

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