操山ワンダーランド
- 執筆者 小林恵子
- 所 属おばあちゃん文庫
2015/09/28
9月といえば、中秋の名月。一年で一番月のきれいな季節です。月は太陽の対称で陰。竹は陰の植物と言われ、月と竹はゆかりがあるといわれています。その為、竹から生まれたかぐや姫は、月へ帰ったと言われています。
岡山の後楽園は、三大名園に数えられます。三大名園のそれぞれを松竹梅で表すと、後楽園は「竹」だそうです。竹にゆかりのある後楽園の名月鑑賞会。月もお庭も格別の美しさです。
私は、地元の岡山で、~えん(縁)もたけ(竹)なわ~ 竹藪を生かして、認知症の人の「居場所」と「出番」と「役割」作りに取り組んでいます。うちの小さな竹藪は、後楽園のお庭の借景であると言われる「操山」の一部にあります。
農業従事者の高齢化により、リタイアなどによって果樹園であった場所が荒れ、もともと竹藪であったところはさらに荒れた竹藪が広がっています。せっかく、日本三大名園である後楽園の借景の山なのに、残念なことになってきています。
89歳になる、家のボケボケおばば様が、これまで自分たちが守ってきた山が荒れていくのを何度も何度も憂慮するので、少しでも竹藪が活用できれば、と取り組んでおります。
「操山」には、 古墳群や、鎌倉仏教をはじめとしたさまざまのの神社仏閣があります。トレッキングコースになっていて、30分くらいのゆる~い入門コースから、半日以上かかる上級者コースもあります。 ふもとには、「里山センター」もありますので、休憩できる施設。トイレ、公園、駐車場もあります。普段は行くこともなかった「里山センター」でしたが、様々な情報も提供してくれます。知るにつけ、「里山センター」は本当に地域の宝です。
地元のことを調べることで歴史を知り、緑豊な自然を知り、散策をすることで心癒され、だんだんと愛着がわき、この操山を荒らすにまかせるわけにはいかない。祖母たちの言うように、山は、自分たちの手で守っていく必要があるのではないかと思われるようになりました。かつては、自分たちで守ってきていたはずのものです。
祖母に介護が必要にならなければ、祖母が何度も山のことを言うことがなければ(認知症であるがゆえに、言ったことをすぐに忘れ、何度も言っていました)、私は山が荒れていっていることに気づきもしていませんでした。今では、一部放置竹林も広がっていっています。
「操山ワンダーランド」と称して、操山の山ごとを楽しむイベントを企画しました。数人が集まる企画を3回行いました。それぞれのメンバーに合わせたトレッキングや、葡萄や、祖母たちの作る竹ビーズで竹アクセサリーつくりなどを楽しみました。
私を含め、それぞれが、岡山に住んでいながら、発見の連続でした。まだまだ知らないことの多さに気づきました。太古からの歴史、豊かな自然、地域にはお宝がたくさんあることに改めて気づきました。
これまでは、当たり前すぎていた景色でしたが、地元を知ることで、ここにしかない歴史、文化、風土、とてもありがたく感じられるようになってきました。
皆で山を楽しみながら、森や竹藪のことを話たりすることで、さまざまのわくわくするアイデアも出てきました。わくわくしてまいりました。
微々たるあゆみながら、地元に愛着をもて、少しでも山を守っていける取組ができますよう取り組んでまいります。
今回は、竹ビーズを磨く手仕事という、「出番」と「役割」が祖母にできました。生活の張り合いとなりました。子供たちに喜んでもらえることで、竹を通して、祖母たちと子どもたちとのつながりができました。
これからも、めげずに、~えん(縁)もたけ(竹)なわ~な活動に取り組んでまいります。長文をお読みくださりありがとうございます。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。