人口より「かかし」が多い限界集落って!?
2016/02/29
- 執筆者 佐藤亮太
- 所 属ひと・まちデザインオフィス
はじめまして!
○広島市だけど限界集落
○高齢化率約9割
○人口よりカカシのほうが多いよ
という上多田(かみただ)集楽に2014年に移住しました、トん佐藤こと、佐藤亮太と申します。今は、「田舎cafe おそらゆき」というカフェを営んでおりますが、そのお話しの前に、今回はまず、上多田のことをお伝えしていけたらと思います!ちなみに、こんなカフェです。雪のあとの晴天って、本当に美しいですよね!
1.上多田って、どこ?
上多田は、広島市の中心部から、北西方面に車で約1時間進んだ場所にあります。直線だと約23.6km、実際の走行距離だと約40kmです。地図でいうと、このあたりです。
日本で言うと…
世界だと??
視野は広くいきたいものです(笑)
さて、大都市広島市から車で1時間という、その部分でいうと恵まれている立地かもしれませんが、最後、辿り着くには車がすれ違うのも少し大変な道を進みます(お店のお客様はなかば冒険気分でのご来店だそうです、辺鄙な場所ですみません…)。ちなみに、狭い道になる前には、湯来温泉という広島の奥座敷と呼ばれる温泉街を通ります。上多田からは車で10分くらいなので、よく入りに行きます。上多田移住を決めた、一つの要因でもあります。温泉大好きです!
温泉モデルもやっています(笑)
そして、湯来温泉を過ぎると、こんな道に。。
一応、国道です。。
しかし、そこを頑張って乗り越えると、こんな素敵な風景が!広島ですが、結構雪が降るのです(このときは50cm)。雪が降ると車の移動は結構大変ですが、最高の気持ち良い空気になります。ちなみに、夏はこんな風景です。
谷あいの小さな集落、という感じでしょうか。広島の秘境、と勝手に言っています。毎日癒やされています!
2.上多田集楽って?
さて、上多田集楽の概略を、簡単にご紹介します。
①広島市、です。
冒頭にも申しましたが、こんな風景ですが、一応広島市です^^; 住所で言うと、広島市佐伯区湯来町大字多田。2005年に、湯来町と広島市が合併し、広島市になりました。
再度、地図で確認してみましょう。ちなみに、広島市は全国で29番目に大きい自治体だそうです(人口は全国10番目(120万人近く)とのこと)。
広島市も広島県もそうですが、山と海が近いところ・どちらも楽しめるところが魅力です。人間なので、たまには海を感じたくなりますしね(笑)大海原を!海水浴、という言葉が表しているように、たまには海水に触れることも大切だと思っています。ちょっと、脱線しました^^;
②人口100人未満、高齢化率約9割!
上多田の人口は、もう100人を切ってしまいました。戦後、林業で栄えた頃は、人口は1,000人を超えていたそうですが、もう1/10に。しかも、65歳以上の割合は約9割。75歳以上の人が75人を数えます。なかなかの高齢化率です。(でも、75歳以上の人が75人、というフレーズを言うのが好きだったりします笑)
これは次回しっかり触れようと思いますが、歴史に残っているだけでも1000年以上続いている、上多田集楽(大同年間(806年から810年)に、この地に人が住んでいた記述がされている書物があるそうです)。しかし、このままでは自分たちの代で上多田を無くしてしまう・・・。そんな想いから地域住民が2013年から立ち上がり、様々な活動が始まりました。その想い・活動に触れ、若い人たちの移住が増えてきています。
2014年に、僕と妻が移住第1号に、2015年にはカフェの店長として雇用した女性と、”田舎タレント”として活躍する、モデル事務所にも所属が決まってしまった新卒の社会人(笑)。そして、今年の4月から、うまくいけばまた20代が2人移住。いい流れでできてきています。(昨年は我が家に娘が誕生し、地域では15年ぶりの赤ちゃん誕生となりました^^平均年齢引き下げに貢献!)
上多田には地域おこし協力隊の制度はないので、よっぽどの物好き、いや想いが無いと、来れないような場所ですが、それでも、着実に増えてきています。それも、地域住民の人柄と、素敵な活動があってこそ。あ、これは次回のネタだった!ついつい、想いがほとばしってしまいますね~^^; はい、次回詳しく触れます!次回も読んで下さい(T_T)
田舎タレント 吉田峻。こういう切り口もありでんな~。
③人口よりも、リアルなカカシが多い…。
先ほど人口は100人を切ったと言いましたが、その人口減少を補って余りあるのが、リアルかかしの増殖。いや、定住?(笑) とある夫婦のいたずら心から始まった上多田のリアルかかしは、今やその数、160体にも迫ろうとしています(しかも、全てそのご夫婦だけで制作されています)。人口の1.5倍を軽く超えてきました。悔しい!(笑) 2倍にはならないように、僕らも頑張らねばなりませぬ!!
かかし、本当にリアルなのです。例えば、こちら。
髭男爵。似てません??
リアルかかしを見に、芸能界の皆さまもお越しになりました。
とにかく明るい安村さんと、昨年お騒がせの熊切あさ美さん^^ おふたりとも、とても素敵な方でした。安心して下さい!普段はお風呂ありませんから! いや、普段もちょっと欲しいかな^^;
たくさんメディアに取り上げられたおかげで、県外からも観光客の方々が来られるようになりました。これは、かかしに足を向けて寝られませんね。。(笑) でも、たま~に衣替えが行われるので、服が変わった直後は本物かカカシかわからず、ビクッとすることがよくあります。地域住民でもそうなのですから、初めて来る方には衝撃だと思います。よかったら一度、遊びに来てみてください^^
ぜんぜん概略になっていませんが、もう少し続けます・・・。
④蝶鮫にほんもろこ、そして極上のお米。
上多田には誇れる地域の産物がいくつかあるのですが、まずはこれ、蝶鮫!
こんな山奥に、蝶鮫の養殖場があるのです。蝶鮫といえば・・・キャビア!ですが、ここでは、観賞用や食用としての養殖が主みたいです。蝶鮫を食べるということに、僕も最初はピンと来なかったのですが、食べてみると、、、美味しい!僕のお好みは蝶鮫のフライです。何度でもおかわりしたくなります(笑) 直営のレストラン(SAMESAN)もできていますので、ぜひお立ち寄り下さい。
続いて、ほんもろこ!みなさん、ご存知ですか、ほんもろこ?きのこ?海藻?と言われることもありますが、お魚です!これまた、美味しいのです。京都の料亭などでは、かなり高値で取引される、高級魚として知られています。中山間地域での生業づくりとして、注目されはじめていますね。
実は、今は僕が先代から引き継いで、ほんもろこの養殖事業もしています。まさか自分が、人生で魚の養殖をするとは思いもしませんでしたが(笑)、やり始めると、なかなか楽しいものです。ほんもろこ、かわいいし!まだまだ試行錯誤の連続ですが、このことも追々触れたいと思います。(今日はあくまでも、概略です!)
そして、お米!上多田の辺りは標高が500メートルほどあり、朝昼晩で気温の変化が激しいところ。そして、上多田は清流・水内川の最上流部にあたり、これより上流には人が住んでいないこともあり、水がとっってもきれい。そうした条件が揃っているので、とても美味しいお米が穫れる場所なのです。僕も初めて食べた時は感激しました!
上多田のために一緒に活動してくれている、学生団体STYLEのみなさんも、上多田のお米が大好きです。
かかしのみなさんも、好きみたいです(笑)
こんな素敵な資源をうまく活かしながら、これからの生業づくり、雇用づくりに勤しんでまいる所存です!
⑤上多田の課題
いいところばかりあげていても信ぴょう性がないので、課題も簡単に触れてみたいと思います。
・耕作放棄地がもりだくさん
・山も荒れ放題
・ますます進行する少子高齢化
・インターネット環境劣悪(ADSLすら入りません(笑)。ようやくLTEは入るようになりましたが。)
・すれ違いが難しい道路環境。雪降ると滑りまくり。
・仕事ない。創るしか無い。地域おこし協力隊制度ない。
上多田に限らず、このような問題を抱えているところは全国にたくさんあると思いますが、これぐらい課題があったほうが、燃えます^^萌えます^^。もう底なら、上がるしかない~!そして、それを一緒にやれる、仲間が、ここにはいます。
⑥そう、人。
ありきたりかもしれませんが、上多田の最大の魅力は、やっぱり“人”です。僕も、妻も、田舎タレントも、最後はそこに惹かれて、移住してきました。たくさんの外からの支援者(上多田支援隊や行政のみなさん)がいるのも、そこが魅力だからでしょう。みんな、素敵なんだな~。これも、追々触れていきたいと思います!
住民と、学生と、支援者との交流会。大崎上島のいなかマガジン執筆者、まっつんもちゃっかりいます(笑)
3.田舎cafe おそらゆき、など。
簡単に、上多田集楽について触れてきました。僕は今この大好きな場所で、田舎cafe おそらゆき、などを営んでいます。など。他にもいくつかあるのですが、完全に文字数オーバーです(笑)
ちょっとだけ、おそらゆきについて。実はおそらゆきは、僕が移住する2年前(2012年)からありました。そして、不思議な巡り合わせから、前オーナーと知り合い、共通する想いを持っていたこともあり、買い取らせていただき、今があります。感謝してもし切れません。そして、僕たち夫婦の強烈な運の強さも一因です(笑) この辺りも、次回お伝えします。
このカフェを上多田と都市部・世界とをつなぐ場所に、そして来ていただけるお客様にとって、蘇りの空間になるように、今年さらに進化させていく予定です。
店長(中央)と、WWOOFERのみなさん(左から、台湾、フィンランド、オーストラリア、日本)
僕の人生のモットーは、”地球を遊び尽くす”。語弊があるかもしれませんが、人生は、全て遊びであり、実験だと思っています。それくらい、好きなことをして、楽しんでいきたい。でももちろん、それが自己中心的であっては意味がありません。自分が子どもゴコロさながらに人生を、事業を楽しみ、その結果として、ひとが蘇り、まちが蘇り、そして地球も蘇る。そんな生き方・事業を、すると決めています。
次回以降、なぜ僕が、福島で震災を経験して、ここに辿り着いたのか。そして、上多田のさらなる魅力やこれからどんなことを考えているのか、そんなこともお伝えしていけたらと思います!長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!