宇和島の水産業を支える、九島の巻き網漁! 前編

2016/03/16

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執筆者 村上将司
所 属九島地区地域づくり協議会

 

 九島がある愛媛県宇和島市は典型的なリアス式海岸で、海と山がすぐソコにあります。急傾斜を利用した温州ミカン発祥の地であり、温州ミカンだけではなくポンカンや「せとか」「はれひめ」「河内晩柑」「ブラッドオレンジ」など多品種を栽培していて、柑橘生産日本一。もちろん中山間部では稲作農家や畑作農家さんも。

 水産業ではタイやハマチの魚類養殖、真珠養殖が日本一。養殖技術や生産者の工夫と努力で天然よりも身が締まり美味しく、全国的に再評価されてる。今では岩ガキの養殖も盛ん。地の利を活かした柑橘栽培を中心とした農業と養殖業を中心とした第一次産業が中心のまち。

 

九島 宇和島 水産業

山にはカンキツ、海は養殖と巻網漁。港には漁船がたくさん!

 

 

 九島に住んでいる人のお仕事はどうかというと、フェリーに乗ったら約15分で宇和島市内に行けるけん市内に通勤する人が結構いて、僕もそうだしウチの父ちゃん母ちゃんも勤め人です。とはいえ、やっぱり農業や漁業されている島民は多い。九島は平地がほとんどないけん、農業は柑橘栽培。海の方は養殖が盛んやけど、九島の場合は「巻網漁」が中心。

 その九島の巻網漁は中型巻網船団で漁場は主に九州と四国の間の豊後水道。瀬戸内海と黒潮がぶつかる良い漁場で、主に採れるのはアジ・サバ・イワシ。大分のブランド「関サバ」「関アジ」と同じ漁場。1船団あたり8~9人でチームをつくって、本船・中船・てこ船・運搬船の漁船団で沖に漁に行きます。中船が集魚灯で海中を照らして射光性のある魚を集め、それを本船が網でぐるーっと囲って一網打尽!イメージ湧くかなぁ~。

 

巻き網 宇和島 水産業

愛媛県HPより

 

 

 宇和島漁協には19船団あり、そのうち九島には17船団!九島に住んでいながら目の前に巻網漁船がいて、漁師さんがたくさんいて、巻網が盛んだよーって聞いて育ってきたけど、実際どんな所でどんな漁をしてどう出荷しているのか知らんかったけん、お願いして漁に連れてってもらいましたー!

  連れてってもらったのは「勝生丸」。僕が住んでいる集落の人が多く、九島の巻網漁船団のなかでも比較的若いメンバーです。(ちなみに僕が住んでいる集落は「蛤(はまぐり)」って言います。ハマグリは採れませんがアサリは採れます!)

  巻網漁は集魚灯で魚を集めるけん漁の稼働時間は夜中の12時頃。夕方に出港して夜中に漁をして、夜明けに市場で水揚げする、昼夜逆転の仕事。宇和島漁協では休みは毎週土曜日と月夜(満月の日)の日だけ。昔は「魚と親のカタキは見たときに取れ!」と、休みなく各船団が競い合って漁に出ていたらしいけど、「休みがないと嫁さんを見つけれん!」とか家庭のこともあったりして今は休漁日を設けている。

 親方の岡崎源さんから「17時半に船元に!」とLINEが届いとったけん17時半に行ったらもう既にみんな来てる!さすが九島じかん!

 

勝生丸 宇和島 水産業

勝生丸

 

乗組員 宇和島 水産業

うーん、ガラが悪い…。けどスゴくイイ人達!海の男達!

 

 

 漁に連れて行ってもらったのは5月末。この時期はアジを狙って漁をします。大きいアジから小さい豆アジまであり、小さい豆アジは宇和島ではスーパーゼンゴって言ってて値が良い。スーパーゼンゴは東シナ海で生まれて黒潮に乗って日本までやってきて、急潮で豊後水道に入ってくる。水温が上がってクラゲがたくさん出てきた時がスーパーゼンゴが獲れる時期。今回の漁の時期はスーパーゼンゴの時期ではなかったです。19時頃に出港して約1時間半ほどで漁場周辺に着きます。その間に操縦室内で親方に色々話を聞きました。

 

●去年はサバがたくさん獲れた。水温の変化などで数年サイクルで獲れる魚が変わっている。

●巻き網船団は減っているのに、アジの漁獲量も年々減っている。

●潮流や潮の満ち引きが大事で、せっかく魚を集めても潮の流れを読まないと網に入らない

●イルカやサメが邪魔をする。イルカが来ると魚が逃げてしまうし、サメがくると網を食いちぎってしまう。

 

など、自然を相手に仕事をする難しさが伝わってきます。また、

 

●漁の後にしばらく活かすことができる運搬船にしたり、養殖イケスに活かしておいたりしている。時化で獲れない日や月夜休みの日は全国的に値が上がるけん、活かしておいたアジを水揚げしている。

●魚市場によって値が違う時があり、少しでも値が良い港に水揚げすることがある。

 

など、安定的な運営をするための工夫にも取り組んで少しずつ成果が出ている。

 

船上 宇和島 水産業

漁場に着くまで約1時間半

 

岡崎源さん 宇和島 水産業

勝生丸の親方 岡崎源さん

 

 

 漁場に付近に到着すると、本船、中船、運搬船それぞれで魚を探しながら魚場を決めていきます。勝生丸の操縦室内には魚群探知機やレーダー、潮流計など様々な機器があり、天候や満干も考慮してタイミングを計ります。

 

魚群探知機 宇和島 水産業

勝生丸の操縦室には色んな機器が。魚群探知機が無かった昔はアジが出す「あぶく」の量を船上から見て漁場を決めていたらしい。スゴイ!

 

宇和海 宇和島 水産業

漁場はだいたいこの辺

 

集魚灯 宇和島 水産業

集魚灯で魚を集めます。

 

宇和島 水産業

さぁ準備だー!

 

 

この先は後編につづきますー!

 

 

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