安心してください。車がなくても生活できますよ。
2016/03/30
都会と違い、地方での生活には車が必須と言われています。先日、東京都内で行われたとあるイベントで、岩手への移住を検討している方からこんな質問を受けました。
「ペーパードライバーなので、今さら運転するのは怖いんです。やっぱり岩手では車がないと生活できませんか?」
その時は「あったほうがいいと思います。」と答えました。自分のことを考えると今の仕事は車がないと成り立ちませんし、運転は好きなほうです。震災後に仕事や転職で岩手にやってきた知人の大多数も、車を運転しています。
説明するまでもなく、車は購入費用のほか維持費がかかります。月々のガソリン代や駐車場代、定期的に交換するパーツ類、数年おきの車検代に冬道を走るためのスタッドレスタイヤ、そして意外と見落としがちなのがタイヤの保管場所。賃貸住宅の場合、必ずしも保管場所が用意されているとは限らないので、年間数千円で保管スペースを借りなければいけないこともあります。(もし必要な場合でも、ガソリンスタンドなどの身近な場所でタイヤ保管のサービスについて相談できます)
但し、これらはお金で解決できることでもあります。今回は視点を変えて、経済的な問題はいったんスルー。まずは、「運転が必須になる生活」が苦痛な人のために、その心理的負担を下げる条件を、岩手限定ではありますが考えてみました。
冬の時期は外出先で雪が積もる場合に備えて、こうした雪払いの用具も車に載せておくと安心です。
車なし生活のすゝめその1.盛岡市内で職住近接!
岩手県で車なしに住むなら盛岡市中心部がおすすめです。「自然豊かな環境にも憧れるけど、ある程度の都市機能も手放せない。病院だってコンビニだって少しはあったほうがいい…。」そんな、覚悟のいらないゆるーい地方暮らしを叶えるのに、人口30万人都市の盛岡は適しています。盛岡は観光で訪れるよりもむしろ、住むのに適していると言われたりもしますからね。
住まいも勤務先もある程度町なかにして職住近接にすると、車がなくても大丈夫。盛岡在住の知人には、ペーパードライバーどころか運転免許すら持っていない人も何人かいます。だいたいの場合は自転車かバス・徒歩通勤をしています。路面が凍結する冬場の自転車はおすすめしませんが、徒歩でも15分ほどの職住近接であれば、軽い運動だと思えばいかがでしょう?地下道を駆使しながら、ウィンドウショッピングしながら、一駅二駅と歩けてしまう東京と違い、意外と地方では歩くことが少ないですからね。
車なし生活のすゝめその2.マイカーがなければバスを使えばいいじゃな~い?目指せバスマスター!
「マイカーがないと、平日はよくても休日の行動範囲がせばめられるのでは?」という心配も無用です。ある程度町なかに住んでいれば、バスという手があります。盛岡には岩手県交通と岩手県北(けんぽく)バスという2つのバス会社があり、一定の範囲ですが比較的バス網が発達しています。イベントバスも使いこなせれば、盛岡近郊にも行けちゃいますよ!イベントバスというのは、盛岡近郊で行われる、例えば地ビールやワインのお祭り、観光地などを楽しむために発着する臨時バスのことです。
余談になりますが、岩手県内には東北のイメージである日本酒の酒蔵もたくさんあるのですが、「エーデルワイン」(花巻市)という老舗ワイナリーや、100年前のヨーロッパの醸造設備を受け継いだ地ビール「ベアレン」(盛岡市)をはじめ、洋酒の醸造メーカーも豊富です。ワインに至っては葡萄栽培から醸造まで手掛ける自園自醸の生産者がいますし、地ビールは本場英国からの移住者が始めたものまで、種類はとっても豊富♪秋は各地でワインや地ビール関連のイベントで賑わいます。
これは町なかのイベントになりますが、ホテルで行われているワインフェスタです。マグナムワインが開けられるのを今か今かと待ちわびる参加者の熱気で会場はむんむんしていました。
盛岡ならどこがおすすめ?一度住んだら離れられない!肴町界隈がおすすめ。
盛岡市といってもそこそこ広いので、「ある程度町なか」という範囲も限定して考えないといけません。わたし的におすすめエリアは、バスの終着駅・バスセンターがある肴町(さかなちょう)界隈。友人の間でも人気です。
肴町のバスセンターは始発になることが多いので利便性は高く、商業施設「Nanak ななっく」と肴町アーケードは普段の買い物にも便利です。特にNanak1階には、都心のセレクトスーパーに負けない品揃えの食品売り場や、ソムリエもいるちょっと立ち飲みできるワインコーナー、ナチュラルでおしゃれな岩手県産品を取りそろえる売り場もあって、最近頑張っています。
Nanak1階・食彩工房で買える私のお気にいりの商品。高知で人気の久保田のアイスキャンディーが盛岡で買えるなんて感激です。
肴町アーケード内にある県産食材とお惣菜のお店「彩彩(さいさい)」。盛岡から片道1時間以上かかるちょっと離れた地域で人気の商品も扱っています。一関市で有名な「金時まんじゅう」(一関市)や、カナン牧場(一戸町)のシンプルな素材で美味しいパン、港から定期的に入荷する魚介類もあります。
肴町界隈は飲食店も充実しています。珈琲通にはたまらない喫茶店、野菜がたっぷりとれるお惣菜のお店、マクロビ系レストランにワインバー、あの福山さんも訪れるというスコッチウィスキーの専門店から、ジモティーのおじさまが集うディープすぎる立ち飲み屋まで、かなり豊富。車の有無にかかわらず、食いしん坊でお酒好きな人なら肴町界隈がおすすめです。
しかも肴町は、盛岡を流れる川の中でも、鮭があがってくることで有名な中津川も近く、川沿いを散歩したり、釣りを楽しんだりすることもできるのです。川のせせらぎを聞き、遡上する鮭に季節の移ろいを感じながら通勤できる町もなかなかないですよ。
鮭が遡上してくる中津川。海から200キロ以上離れた盛岡に鮭が遡上してくるというと、県外の方はだいたい驚きます。
車なし生活のすゝめその3.友達の輪を広げる!
車なし生活の条件として、「盛岡市内の町なかで職住近接」「バスをマスターする」に続く最後の条件は、ずばり!「友達の輪を広げる」ことです。友達が増えると、その中には必ずマイカーがあって運転できる人もいるはず。岩手県は四国4県ほどの広さがあり、片道1時間くらいの距離ならば、ドライブして出かけるのはよくあること。特に夏から秋にかけての土日はお出かけする場所には困りません。仲良くなって、誘いあって出かけましょう♪
移住体験ツアーでも人気の高かった遠野市で定期的に開催されているマルシェ・空市。青空ヨガも行われていて気持ちよさそうでした!
次回は、ではどうやって友達の輪を広げるか、ここに焦点をあてて私の経験談や考察結果をお伝えしようと思います。ハードルが高そうに見えますが、そんなこともないですよ♪(つづく)