達人に教わる、奥深い古酒の世界

2016/04/26

 

 はいたーい!突然ですが、沖縄のお酒と言えばなんですか?

 オリオンビール!という方もいるでしょう。オリオンビール工場は私たちの住む名護市にありますよ~見学もできますので、是非お越しください!

 今日はオリオンビールの宣伝がしたくて記事を書いているのではなく!沖縄のお酒と言えば、、、「泡盛」ですよね。泡盛について熱く語りたいと思います。

 

泡盛古酒

 

 なぜ私が泡盛について語るか。それは泡盛について、地域に住む古酒の達人から熱く語って頂いて、「泡盛は面白い!」と思ってしまったからです。これは伝えずにはいられません。泡盛が好きな方も、そんなに好きではない方も、一度最後まで読んで頂けたらと思います。

 

まず、私に泡盛を語ってくれたのはこの人。

 

 島袋正敏さん

島袋正敏(せいびん)さん。草玩具やものづくりもとっても上手で教えてもらっています。

 

 

 写真の後ろに目がいきますよね。そうです、正敏さんは泡盛コレクターであり、古酒の達人なんです。ボトルは約3000本(3000本くらいまでは数えていたけどその後は数えていないそうです笑)、古酒甕(こしゅがめ)は約40個貯蔵しています。ここは市指定の場所でも泡盛をつくる酒蔵でもありません。正敏さんがコツコツ手作りでつくり上げた場所「黙々100年塾 蔓草庵(まんそうあん)」です。

 

蔓草庵

 

 建物も手作り。お庭にある植物たちは沖縄在来のものばかり。沖縄在来のバラもあるんですよ。有名で貴重なサガリバナも。にわとりやカメもいます。正敏さんはそろそろヤギも飼おうとしているそうです。すごい。

 なぜこんなにこだわりっているか。正敏さんはもともと名護市博物館の館長をしていたこともあって、昔ながらの暮らしの文化や知恵を大切にしたい。この地域に伝わる大切なものを次世代へ繋いでいきたい、という想いを持って活動されている方なんです。そして私達、久志地域交流推進協議会の会長でもあります。

 

古酒甕たち

 古酒甕たち。小さいものでも一升瓶5本分の泡盛が入っています。

 

 

 泡盛と古酒の話に戻りましょう。古酒って何かというと、泡盛を熟成させて古酒化させたものを言います。泡盛の歴史は600年とも言われていて、言葉の由来は諸説あります。古酒甕に泡盛をつめる時に「泡を盛る」ように継ぎ足すことから、泡盛と呼ばれた説。さらにはインドのサンスクリット語でアルコールのことを「アワモリ」と発音するところからきた説など。面白いですね~奥深いですね~。

 

 私が泡盛で奥深いな~と感じたところは、「仕次ぎ(しつぎ)」です。「仕事を次へ」と書きます。何のことかと言うと、泡盛も古酒化する作業のことを言います。泡盛を熟成させるためには、何年も放っておけば良い訳ではありません。「仕次ぎ」という作業が必要なんです。1年間で古酒甕の1割汲み取り、新しいお酒を継ぎ足します。いわゆるブレンドですね。

 正敏さん曰く、古酒甕を3つ用意して、15年もの、10年もの、5年ものがあるとすると、15年ものから1割汲み取り、嗜む(たしなむ)。10年ものから15年ものへ継ぎ足す。5年ものから10年ものに継ぎ足す。5年ものに新しいものを継ぎ足す。こういった作業を「仕次ぎ」といいます。

 

仕次ぎをしているところ

実際に仕次ぎをしているところです。

 

 

 この仕次ぎをすることで、古酒化が進み、より良い古酒になるそうです。その研究も実際にされていて、放っておいたものと丁寧に仕次ぎを繰り返したものとは、全然違うものになるそうです。古酒を育むためには、古酒甕のお酒を仕次ぎの度に1割しか飲めません。だから価値があるんですね。ガブガブ飲むお酒ではなく、古酒は嗜む(たしなむ)ものだそうです。

 昔の人は「家の鍵を人に預けても、古酒蔵の鍵は預けない」と言っていたほど、古酒にはお金に換えられない価値があったそうです。先の戦争で、100年以上ものの古酒はもうほぼなくなってしまったそうです。正敏さんは「自分の孫に100年ものの古酒を飲ませてあげたい」と言っています。そうやって次世代に想いを馳せながら今の時間を過ごすって、素敵ですよね。

 

正敏さんの背中

正敏さんの背中には「すべての家庭の床の間に古酒甕を」と書いてあります。

 

 

 仕次ぎを通して人の手が加わることで、より熟成されていく。そうやって古酒と人との関係が築かれています。泡盛と沖縄の人との関係はそんな風に築かれてきているのです。ちょっと学ぶと泡盛や古酒のことに興味が湧いてきませんか?

 

 こういったことを学ぶ古酒講座を民泊の受入家庭のメンバー(民泊部会と呼んでいます)で行いました。民泊部会のメンバーのお家に古酒甕がある方も多くいますが、「新築祝いに全部飲んでしまったさ~」「飲んでから蓋がなくなったさ~」「気づいたら発酵してしまったみたくて空っぽになったさ~」などなど。正敏さんは一人ひとりに「こうしたらいいさ~」とアドバイスしていました。

 まさに古酒のお医者さん。これを機に新たに古酒作りを始めた方もいます。民泊でお家に来られたお客さんに話をしたい!とみなさん必死にメモを取って学んでいました。

 今記事を書いている私もそうですが、人に伝えた時に初めて知識は自分のものになります。人に伝えることで新たに自分の地域や文化の良さに気付く。民泊や体験ツアーでの交流の魅力はそこにもあります。これからも私たちの久志民泊は地域の知恵や歴史、文化を大切にした取り組みを進めていきます!

 

 

 

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