ツライ時こそ成長期
2016/05/13
みなさま、ご無沙汰しております!1年ぶりにいなかマガジンの執筆に復活しました、福田百貨店の黒田です。これから1年よろしくお願いします!
さてこの1年間いなかマガジン執筆を休んで何をしていたかというと、主に大規模風力発電の建設反対活動なるものをやっていました。…いや、「やっていました」の過去形なら良いのですが、残念ながら現在進行形で対応中でして、昨年の6月頃から日々の半分以上はそちらの活動に費やす毎日です。いや~正直たいへんです(≧w≦;) 復帰していきなり重たいネタを放り込んで行くスタイルでございます(笑)
現在僕の住む御槇地区の山の尾根には、全国でも最大規模の発電量を誇る約10基の巨大風車の建設計画があります。さらに、その尾根伝いには合計約60基、南予地方一帯では最大で約90基にも及ぶ事業計画がありました。現在は1事業が撤退したので約70基になっていますが、それでもすごい数です。各地区ではそれぞれ建設の反対活動が起こっており、それぞれの団体の代表者が合流する形で、えひめ風車NETというネットワークを形成して活動しています。えひめ風車NETの発足の時には、愛媛県庁記者クラブで、人生初の記者会見もやりました。
風力発電の反対活動に関しては、また改めて別の記事で書かせて頂こうと思いますが、いま全国各地で同じような問題が起こっています。脱原発のために再エネ、CO2削減のために再エネ、そんなクリーンなイメージで誤魔化されていますが、本質はそんな単純な話ではありません。そしてこの問題は、田舎暮らしや地域おこしとも密接に連動しています。もし身近で風力発電の建設計画がある方や、この話題に興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、えひめ風車NETのHPを見てみて下さい。いろいろと情報が載っています→
風車情報の一例です。松山市駅の上にある大観覧車くるりんの直径は45m。風車の羽根の直径はだいたいこれと同じ大きさ…ならまだ良いのですが、なんとこの観覧車の2倍以上もある102mとメチャクチャ大きいんです!風車の高さも、後ろに見えるお城山とほぼ同じ132m。ビルなら40階建てくらいに相当します。こんな巨大なものが山のてっぺんに何十基も立ち並びます。
さてさて、そんな日々を過ごす一方で、福田百貨店というお店も運営しています。これまた田舎の山の上でこだわりのものを売っているという、儲けにならない商売をしている一風変わったお店です。無添加の調味料とか、オーガニックの食品とか、フェアトレードの商品など扱っています。
よく勘の鋭いお客さんに、「この田舎でこういう物を売っていて地域の人は買ってくれるの?」って聞かれます。そういう時は自信を持って答えます。「いや、売れませんよ(笑)」って。
まあ正確には全く売れない訳じゃなくて、地元のおじいちゃんおばあちゃんにも個々の好みに合わせて色々ヒットしてはいます。「刺身はこの塩が美味い!」とか、「醤油はいいやつが良い」とか、「糖尿だからいい砂糖を使いたい」とか動機は人それぞれ。でも、やはりそんなには売れません。
では何でこんな商売の仕方をしているのかというと、情報を発信するためです。こういうものが世の中にあるということを知って貰わない事には、世の中いつまで経っても変わって行きません。詳しくは改めて別の記事で書かせて頂きますが、とりあえず店主のこだわりが強い情報発信がコンセプトのお店をやっているいるんだなという感じで受けとめておいてください。
そんな福田百貨店で、昨年あたりから面白い現象が起こって来ました。それは何かというと、よく分かんないけど“すごい人たちが集まってくれるようになってきた”ということです。
これは林家染太さんという落語家さんが高座をしてくれた時の写真。地元のお年寄りにも大盛況。大阪から来てくれました。
これは東京からベリーダンサーのmelekさんが来て踊ってくれた時の写真。まさかこの山奥で本格的なベリーダンスが見れるなんて。。。
これはカリフォルニア在住のジャズハーピスト古佐小基史さんの演奏会。まさかこの山奥で、国際的に活躍されているハーピストの生演奏を聴く日が来るとは驚き!
その他、ガーデニング業界では人気の高いポール・スミザーさんが宿泊してくれたり、何だかんだとすごい方々が訪れるようになりました。しかも、僕が自ら企画して来て貰うというパターンではなくて、福田百貨店のことを気に入ってくれたお客さんや友人などが、こういう話を持って来てくれるんです。「知り合いに○○という人がいるんだけど、福田百貨店でイベントをしてもらったら面白いと思うんだけど?」という感じです。おかげで、自分では到底呼べないような方が、人の縁で来てくれるようになりましたし、そうして来て下さった方々と親しくなることが出来ました。これはとてもありがたい出会いですし、良いご縁だと思っています。
その良い流れは今年も続いていて、ベリーダンサーのmelekさんは今年も来てくれるし、ジャズハーピストの古佐小基史さんも今年も来てくれます。その上、又吉直樹さんが惚れ込んだアーティスト・世田谷ピンポンズさんというアーティストのライブがあったり、僕が学生時代に一世を風靡したアーティスト「元・19(ジューク)」の岩瀬敬吾さんのライブがあったりと、自分でも思いもよらぬような質の高いイベントが今後予定されています。ちょっと恐ろしいくらいの充実っぷりです。
(もし興味のある方は福田百貨店のHPを見てみて下さい→http://fukuda100.com/)
ただ、風車の反対活動のために、福田百貨店の運営にかけれる時間がかなり削られています。稼ぎ時の土日を休みにせざるを得なかったことも一度や二度ではありません。「本当はもっとお店の運営に時間をかけたいのに…」と日々悶々とした気持ちがある一方で、“時間をかけていないのにどんどんすごい話がやってくる”という面白い現状があります。そして、その質がどんどん上がっています。
また、風車の反対活動の方も“普通ではありえないような質の高い人”との出会や、偶然のタイミングの良さや、貴重な体験で溢れています。その活動自体は、どんなに労力をつぎ込んでも「目に見える報酬」を得られることはない無償の活動ではあるのですが、その一方で、普通ではまず体験できない得難い経験や、人のご縁といった「目に見えない報酬」の大きさには、ただただ驚かされるばかりです。
『巨大風車はいらない原発もいらない』の著者で、フリーライターの鶴田由紀氏の講演会を開催。本当にいろいろ得難い経験が出来ます。
そもそも、まともな大人が日々の半分以上何の稼ぎにもならない活動をするというのは常識的には考えにくいことで、しかも一家の大黒柱がそんなことをしている訳ですから、黒田家の家計のやりくりはとっても大変です。旦那が1年近くその調子でまともに仕事をしなければ、普通の奥様なら「実家に帰ります」宣言をしてもおかしくないのですが、旦那が仕事もせずそんな活動をしていても、三行半を突き付けない大変理解のある奥様に恵まれているのもありがたい限りです。
そんな感じで本当に「忙しい」日々を送っていて「とてもいなかマガジンの執筆どころじゃないよ!(っていうかまずは仕事しなさいヽ(`・ω・)ノ)」という状況ではあるのですが、最近少し心境の変化が起こりました。
というのは、風車の反対活動というのは、これまではそれが「異常事態」だと思ってスクランブル体制で取り組んでいたのだけれど、いつまで経ってもなかなかケリがつかないので、もはやこれが「日常」なんだと割り切ることにしたんです。「非日常」の状態が「日常」へと組み込まれたわけですね。そう考えると、日常取り組むべき項目にそこまで頭を悩ましている訳には行かない訳です。自分という人間をそのレベルに上げなきゃいけないなと思ったんです。それくらいは通常業務として捌けるようにならないといけないなと。
そう思わせてくれたのは、僕の周りで起こっている良循環が、僕を取り巻く人や環境のレベルを上げてくれているからなのですが、とにかく「自分の当たり前のレベルを上げなくてはいけないな」と思った訳です。ひと皮どころか、ふた皮くらい剥けた自分にならないと、良くも悪くも周りがいろんなもので満たされていっているので、溺れちゃいそうなんですよね(笑)アップアップと。これは本当に成長のチャンスだと思います。ここまで目に見えて成長しなくてはいけない状況に置かれると、人間は「成長するしかないな」って腹をくくれるものなのだと気付かされました。
そして面白いことに、ギブアップしそうになるほど大変なことをやっていると、やたら経験値が上がって、いろいろと情報を発信したいネタが溜まって行くんです。時おり頭の片隅にフッと「あ~こういうことをいなかマガジンで発信したら面白いだろうな~。」とか思い浮かぶ訳です。でも、「忙しい」からそれどころではなくて、いろいろ発信したいことはあるのに、発信することが出来ないという日々を送っていました。だけど、先程も書いたように、「“忙しい”からいなかマガジンが書けない」などと言っていてはいかんなと思った訳です。この状況下でも情報を発信出来るくらいの自分にならなくては、とてもこの状況を打破できない。それくらいの処理能力のある人間に成長しなくちゃいけない。と思ったんです。人生大変な時はあるけれど、きっとそんな時こそ成長しているんですね。
というわけで、1年ぶりにいなかマガジンに復活した経緯をツラツラと書かせて頂きました。いなかマガジンを書きたい理由は人それぞれですが、僕の場合は自己鍛錬ということになるでしょうか。。。いや、僕は本来、情報を発信することが生きがいみたいな人間なので、それにお付き合い頂けたら幸いです。
今年の2月に3人目が生まれました。家庭もやること一杯!(笑)