地域で子育てをしながらつれづれなるままに
- 執筆者 上田知子
- 所 属ハンター民宿 BA-BAR
2016/06/10
鳥取の梅野知子です!初回コラムでは熱く真面目に書きすぎてしまいましたが、今回は文体を変えて柔らかめに書いています。改めまして、よろしくお願いします!
私は、ハンター民宿BA-BAR運営のための家を借りている弓河内と、旦那の実家のある地域とで、2つの地域でお世話になりながら子育てを楽しみながらぼちぼち奮闘しております。子どもは5月現在で生後はや11か月。
とある知人の言葉で、「外から人を入れるのもよいけれど、地域の子どもが一旦よそに出てまた戻ってきたい!と思うようなものをつくることを考えることも大切なんじゃない?と思う。」というものがありました。地域で何かをするには、地元を長く知る人の存在が必要不可欠なので、私はその言葉にとっても賛同できました。
ただ、私も地元福岡から出て、なかなか福岡に戻る機会はつくれておらず、地元友人からも、「梅ちゃんいつ福岡帰ってくるとー?(博多弁(笑))」と言われることが多い身。よって、私自身が同じ言葉を使っても全く説得力がないですね。
私の立場ならではの発信できる想いや言葉をいろいろ考えてきておりまして、親になってから気づかされることもありました。ということで、今回は、田舎で子育てをしながらつれづれなるままに思うことを発信します。
妊娠中も多くの人に支えられる
妊娠発覚後は、悪阻と始めての妊娠で不安でいっぱいの気持ちが折重なってしばらく体調がよくなく、仕事でも、地域の行事で担当していたことも、他の人に代わってもらう点も多く、たくさん迷惑をかけてしまいましたが、優しい方々に恵まれたことに本当に感謝です。
その時期は、大好きだったイノシシ肉の脂がよくのった部分(ロース、バラ等)や、アナグマ肉が全く受け付けなくなってしまい、本当にショックでした。
ハンター仲間がアナグマを獲った日、たまたま体調がよかったので一緒に解体するとき、ほとんど脂しかないアナグマであり、目で見るだけで脂を味わって勝手にお腹いっぱいになったり。それでもいただいた命を無駄にせず、またお腹の中の時点で、わが子に命の大切さを伝えるがため、しっかりとお肉に。
アナグマって本当に美味しいんですよ。とくに、脂がのりすぎていない時期のアナグマは、個人的には獣肉の中で一番美味しいと思っています。食べ方は、手を込んで何かするよりも、シンプルに焼いて塩かけて食べるのがベスト!
アナグマ肉は絶品です!!!
論点が少しずれてしまったので戻します(笑) 地域の方々からは、「元気な赤ちゃん楽しみにしてるよ!」「無理しなさんなよ。転ばないこと、重たいものを持たないこと、冷やさないこと。この3つだけは本当に気を付けて!」とあたたかい言葉をたくさんいただきました。ハンター仲間の職場の方々と獣肉交流会でワイワイしたときには、お祝いにとっても可愛いお洋服をいただいたり。
とっても素敵なお洋服いただきました!
親になった瞬間
たくさんの人に支えていただき、ありがたいマタニティライフをすごし、あっという間に臨月。出産予定日ちょうど前日の夜に、陣痛なのかよくわからない痛みを感じ、「これは無理して一晩のりきるのは子どもによくない気がする。」と予感し、旦那に夜に産院へ連れて行ってもらいました。すると予感は的中し、産院に着いたらすぐに陣痛が始まったのです。
はじめての陣痛が、思っていたよりも痛くて、「これからどんどん痛くなっていくのだなぁ、でも頑張ろう!旦那が今そばにいてくれているのが心強い。」と思うもつかの間。へその緒が巻いているのもあって、陣痛時に子どもの心拍がさがるというとっても怖い事態に陥り、緊急帝王切開に!帝王切開で痛かった話など周りから聞いていたので、「マジか!でも我が子のためにすべての痛みを受け止める!」と覚悟しつつ、「もう会えるのは嬉しいなぁ。」とふと思ったのでした。
麻酔を受けて痛みはほとんどないですが、「あ、お腹切られた!」と感覚を味わう間もなく、わが子が「おぎゃぁぁぁぁぁ!!ふやぁぁぁぁ!!」と元気に産声をあげる。「わぁぁ!!!本当に自分の中から人間の赤ちゃんが出てきたぁ・・・!」と人間の神秘を感じた衝撃を今でもはっきりと覚えています。「この子にはいっぱいいろんな人と接して、自分ならではの楽しい人生を生きてほしい!」という想いと、小さいわが子が本当にかわいくてかわいくて、心身健康に育つよう守りきれるか不安で胸がいっぱいでした。
2つの地域で子育て
産後1か月は、弓河内の家で、実家の母に来てもらい助けてもらいながら慣れない子育てを旦那とともに奮闘しておりました。改めて親の偉大さを思うのでした。
自分が子どもを大切に思うように、親も自分を大切に思ってくれている。子どもとともに、自分を大切にせねばと改めて感じます。
弓河内の総事の慰労会の際に、はじめてわが子をみなさんに披露した際も、たくさんのお母さん方、お父さん方に抱っこしていただきました。不器用な私は、最初は抱っこに慣れずに泣かせることが多かったのですが、ベテランお母さんに抱っこしてもらうとふと泣き止んだり。わが子にいろんな人と接してもらう初めての第1歩でした。
産後2ヶ月目以降は、旦那の実家にいることが多いのですが、弓河内に戻ったときも、あたたかく迎え入れていただき、抱っこしていただいたり。
弓河内でも、旦那の実家のある地域でも、わが子をお散歩に連れていくと、地域の方も笑顔になってくれたり、わが子も笑顔になったりと。わが子をあたたかく見守っていただきありがたいと思うとともに、赤ちゃんの力ってすごいなぁとしみじみ思いました。こうして、2つの地域でお世話になりながらわが子は順調に成長しております。
わが子のイノシシ肉初デビュー!圧力鍋で柔らかく煮て子どもも食べやすく!
親になってから想う今後の方向性
子育てをしながら、ハンター民宿BA-BAR再開後、具体的にどのようにしていこうと考える日々。親になって強く思うことは、子どもにいろんなものを見せてあげたい、子どもが何にワクワクするのかを大切にしたい、そのために自分がいろんな人と接しながら、楽しく生きる姿を見せていきたいということです。
ずっと前に、家族連れのお客さんを受入して、お客さんの子どもたちが、地域の子どもたちと一緒になって、とっても楽しそうに虫取りをしていたことがありました。その子どものお父さんは、「親は子どもを遊ばせたいので、来てよかった!」と言っていただきました。
その時の言葉を、親になって改めて思い出したのと、弓河内が今、いろんな人を受け入れてリピーターになってもらって地域と交流する機会を作っていこう!という流れになっていることも含め、私自身、「子どもがまた来たい!と思えるようなものを大切にしよう。」と思っている今日このごろです。
子どもを大切に思う親も喜んでくれるし、その家族がまたこの地域に来てくれたらとても嬉しい。ここに住みたい!もしくは、何かしたい!と思ってくれるとさらに嬉しい。そうでなくとも、別のところでその経験が活きることにつながれば嬉しい。私も、そもそも鳥獣害対策に方向性を定めたキッカケが、ザンビアでの野生動物保護活動をしている人や、北海道に参加した狩猟セミナーだったので。自分の子どもに対しての「いっぱいいろんな人と接して、自分ならではの楽しい人生を生きてほしい!」という想いをいろんな方面で波及できるように。
自分の初心も振り返りつつ、親になってから想うこれからの方向性でした。